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無窮重阻  作者: 核动力战列舰
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0176 記憶の存続

 この世界の戦闘は、大体において孟位(モン・ウェイ)のいた時代と同じだ。尖兵と無人機が情報を収集し、後方にデータを提供し、データリンクを維持する;重空中火力プラットフォームが敵の火力防空網に切り込み、敵の各種ミサイルが攻撃を開始する前にミサイルを発射し、その後、敵の攻撃範囲から脱出する;敵の拠点を一つ一つ精密攻撃した後、地上部隊を派遣して橋や山道の隘路などの重要な交通ノードを占領し、最終的に敵の抵抗勢力を掃討する。


 盧安(ルー・アン)はさらに、この世界が地球と比べて異なる点があることに気づいた。それは、戦争において彼らが敵を攻撃する手段が地球よりもはるかに広範だということだ。


 地球上では、工業時代の二度の世界大戦を経て、民間人の大規模虐殺はもはや行われなくなった。占領軍が敵地に侵入する際に明確に標的とされる敵は、銃器を持つ武装勢力である。この標的以外では、民間人へのいかなる殺傷も世界的な道義的批判を引き起こす——もちろん、批判だけに終わるが、それでも他国が経済的・政治的制裁を加える口実となり、自国の利益を図る。


 そしてこの世界では、口頭での非難の機会さえない。なぜならこの世界の軍事体系は軍人に厳しい箝口令を課しているからだ。戦車を運転する兵士たちはみな普通の電磁分身で、電磁分身が感じ取る信号だけでは、どれが民間人でどれが敵軍かを自分で区別することは全くできない。彼らの視点では、人影は青か赤のいずれかで、完全にシステムが判定する。


 唯一、戦場に対して直感的な認識を持てるのは、噬魂体だけだ。この強化型電磁分身は、世界を見る精度が肉眼に及ばないが、高画素のカメラに匹敵する。切断された手足、血液、臓器、すべてが目を覆いたくなるほど衝撃的だ。単独兵の電子情報戦を実行するこれらの噬魂体は、戦場の実状を見ることができるため、この戦争の細部がどの程度実行されているかは、噬魂グループ(ゼイコン・グループ)だけが知っている。


 盧安(ルー・アン)は多方面からの計測を経て、戦場の犠牲者の電磁アバター内の情報を調査サンプリングした結果、これらの殺人マシンの内部補助AIが電磁アバターの操作者たちに設定した敵対人類の基準は、男性の身長は1メートルを超えてはならず、長さも1メートルを超えてはならない;女性は0.8メートルを超えず、長さは0.7メートルを超えてはならない。そしてこの基準の判定下では、成人は体を丸めた状態を保たなければならず、立つことも伏せることもできず、しゃがみ込んで跪くような姿勢だけが生存できる。もし標的に金属がある場合は、上記の判定は採用されず、一律に殺害される。


 人工知能の判定は無情であり、恩赦の余地は一切なく、判定条件に合致しないものは一律に殺害される。このような戦争の下では、兵士は単に引き金を引く執行者であり、戦場で唯一の事情を知る者でもある。そのため、これらの電磁アバターは定期的に軍艦に戻り、規定に違反する記憶を消去する。


 今こそ記憶の整理を始める時だ。ずらりと並んだ電磁分身がパイプに入り、装置による記憶処理を待つ。


 改変とは、各人の記憶をすべて洗い出して改ざんすることではない。そんな改ざんは手間がかかりすぎるし、改ざんされた記憶はあまりにも不連続で、噬魂組(シー・フン・ズー)の人間に疑われやすい。軍は噬魂組(シー・フン・ズー)の兵士の一部分の記憶があいまいになればそれでいいと考えている。


 以上を含む様々な理由から、装置は電磁分身の中の一部の記憶だけを破壊する。少量の記憶を破壊し、電磁分身が本体に戻れば、自身の脳が自動的に記憶を補完して完全なものにする。では違反の記憶をどう探し出すか?電磁分身が特定のキーワードや重要な場面に対して明確に思考を巡らせた時、その領域の記憶を破壊する。


 機械がこれらの電磁分身の記憶を加工し終えると、次の機械に移され、これらの電磁分身が欠落した記憶を思い出すのを助ける。催眠理論を利用し、これらの人々が断片的な記憶を思い出そうとする際に、加工された戦場の映像を流すことで、電磁分身は修正された映像に沿って回想し、不足した記憶を脳内で補完しようと躍起になる。すると、これらの記憶補助の映像を見た電磁分身は、知らず知らずのうちにそれを受け入れ、催眠されたのに等しい状態になる。


 言い換えれば、電磁分身には保護機構が備わっており、目で見た映像や記憶を回想する際に、欠落した情報を自動的に補完する。これが視覚の欺き、思考の欺きであり、人間の様々な錯覚の基本原理である。そのため、機械は電磁分身の思考におけるキーワードへの反応に基づいて、対応する情報を破壊し、記憶に無数の穴を作り出すことができる。電磁分身が欠陥を修復しようとする時、加工された映像と音声を再生してその記憶を補助し、偽の情報を挿入することができる。例えば、私が昨日聞いた音楽を忘れてしまった時、あなたが似ているがキモの部分が異なるメロディーを聞いたとしよう。「あれ、このメロディーは聞き覚えがある。昨日聞いたのはこの音楽だったかな」というふうに。するとこれらの情報が挿入され、電磁分身が脳内補完に成功する。これがおそらく、この世界で記憶を改変する原理と操作方法だ。


 しかしながら、これらの改変は塵も積もれば山となるで、やはり人に違和感を覚えさせる。これが、多くの噬魂組(シー・フン・ズー)メンバーが後期になるにつれて病的になっていく理由だ。


 この時、電磁盧安(ルー・アン)を含むすべての噬魂体が、缶の中に一列に並べられている。まるで飲料を製造する自動化工場のように、缶がベルトコンベアで機械に運ばれ、数分間の「心理情報の整理」が行われた後、次の処理へと進む。


 电磁盧安(ルー・アン)の前で並んでいる电磁替身がだんだん少なくなり、彼は諦めたように言った。「ちょっと寝てたと思ってくれ。目が覚めたら全部思い出すから。」


 噬魂体である电磁盧安(ルー・アン)も、避けられずに関連情報を消去された。これは絶対的な物理的改変であり、記憶の媒体を明確に破壊し、抵抗は不可能だ。まるで拳銃で人を撃つように、人は絶対に出血し、怪我をし、さらには死に至るものだ。


 しかし、抵抗できないからといって、他に方法がないわけではない。


 銃は人を撃てるが、殺菌はできない。ある領域を消毒できたとしても、地球上に漂う微生物が流れ込めば、そこには再び菌のコロニーができる。同様に、電磁アバターは電気信号の形をした記憶情報をある程度クリアされるが、新たな電気信号情報が派生する。盧安(ルー・アン)の場合はさらに特殊で、多くの電気信号が他のタイムラインで処理され、超距離作用によって現在のタイムラインに影響を及ぼす。これが現実の盧安(ルー・アン)や他の高次変数が他のタイムラインを感知するメカニズムであり、予演のメカニズムでもある。だから今、電磁盧安(ルー・アン)は記憶を存続させようとしている。


 ついに、自分の番が来た。盧安(ルー・アン)はゆっくりと真っ暗な「心理カウンセリング装置」の内部に入っていった。前方の黒は盧安(ルー・アン)の目の前で指数的に大きくなり、後方の白は指数的に小さくなる。自分がまるで巨獣によってその深淵の大口へと送り込まれているかのようだった。


 突然、暗闇の中に無数の信号灯が点滅し、同時に高解像度の情報世界が描き出された。「心理カウンセリングシステム」は定型化されたプロンプトウィンドウをポップアップ表示した。


 選択肢が全くないプログラムを前に、電磁盧安(ルー・アン)は言った。「私はカウンセリングを受け入れます。」


 他のシミュレーションでの電磁盧安(ルー・アン)は、皆、心の中で言った。「私は忘れない。」


 高次元から見ると、物理的手段による記憶消去に対抗するために、盧安(ルー・アン)は沸騰するかのようだった。「心理カウンセリング」の3分間で、盧安(ルー・アン)は673もの第二層シミュレーションを立ち上げ、同時に第一層シミュレーションは完全に消えた。明らかに、記憶改変に直面した際、盧安(ルー・アン)は死の危険に直面するほどの態度で対抗している。


 第二層プレ演算にあった電磁盧安(ルー・アン)が「心理カウンセリング装置」に入るとすぐに、抵抗が始まった。時空を超える大量の電気信号が、亡霊のように各時間軸上の盧安(ルー・アン)の脳内を駆け巡る。暗黒の戦争、罪なき民間人、邪悪な侵略、赤い鮮血、残酷なAI……大量のキーワードが盧安(ルー・アン)の強烈な能動的思考を誘発し、装置に大量の警告を発動させた。


 一部の盧安(ルー・アン)の反抗が激しい第二層の予行演習では、システムの判定レッドラインに直接触れ、その結果、この機械のシステムは盧安(ルー・アン)という電磁身代わりが改造不可能であると直接判定し、破壊プログラムを起動した。強力な電気パルスが機械システムから噴き出すと、これらの予行演習に存在した電磁盧安(ルー・アン)は破壊された。軍のシステムは機密保持のため、全く手抜かりがない。魂喰らい体にまだ利用価値があると確定して初めて、心理カウンセリングと称した実質的な記憶改竄の処理が施されるのだ。


 大量の第二層シミュレーション内で電磁盧安(ルー・アン)が死亡した。続行不能なシミュレーションは無用なシミュレーションと化した。これにより盧安(ルー・アン)は、現実の自分に対する記憶改ざんが完了するまで耐え抜けば、これらのシミュレーションが有用なシミュレーションとなると理解した。もし大量の第二層シミュレーションが改ざんへの対抗の過程で、現実の電磁盧安(ルー・アン)が受ける改ざんよりも早く死んでしまったら、どうやって現実の自分のために記憶を存続させるのか?


 これにより盧安(ルー・アン)は、自分の記憶情報を保持したいなら、これほど激しく対抗できないと気づいた。そこで盧安(ルー・アン)は戦略を変更し、ゲリラ戦を開始した。電磁盧安(ルー・アン)は再び大量の第二層のシミュレーションチェーンを発動し、記憶をそれぞれの第二層シミュレーションタイムラインに分散させ、各タイムライン上の機器インテリジェントシステムの警告が発生しないようにした。


 現実では、3分間の時間はあっという間に過ぎ去った。一方、各プレビューでは、システムがまだキーワードを用いて盧安(ルー・アン)の思考を探っている。プレビューでの改ざんはまだ終わっていない。


 現実では、電磁盧安(ルー・アン)は心理ケア機器の最初のステップから移動して出てきた。大量の禁制品記憶を破壊されたため、電磁盧安(ルー・アン)は大量の記憶の欠落を感じ、非常に不快に思い、そこでバックトラッキングを開始した。記憶が潮のように湧き上がり、まるで目覚めた後の脳が急速に覚醒していくかのようだった。それと同時に、盧安(ルー・アン)のプレビューも情報を転送し始め、記憶情報を現実の脳に投射した。


 電磁盧安(ルー・アン)は全てを思い出した。戦場での真実の記憶を思い出したのだ。


 その後、盧安(ルー・アン)は次のステップに進み、ここ数日の自分の視点で撮影された監視カメラの映像を見た。


 今、これらの映像の九割は本物で、一割は偽物だ。例えば、ぼろぼろの服を着た子どもたちは、もともと轟音とともに迫る戦車を憎しみの目で見つめていたが、今では抵抗するトーチカを憤然と睨んでいるように修正されている。トーチカが履帯式戦車によって爆破された後、これらの子どもたちの目には、大きな恨みを晴らしたかのような快感が浮かんでいる。


 盧安(ルー・アン)ははっきりと覚えている。この恨みを晴らしたかのような視線は確かにこの子どもが発したものだが、それはただ、トーチカの中で一人の反抗軍がロケットランチャーでこの戦車の履帯を吹き飛ばした後、この子どもが見せた視線だということだ。ただ言えるのは、この世界の映像加工技術はまったく完璧だということだ。


 バーチャル世界で自分の戦闘シーンが映し出されるのを見ながら、盧安(ルー・アン)は一言も発さず、ただうなずき続け、口元に微笑みを浮かべていた。このバーチャル世界では、もし自分が泣いたり、眉をひそめたり……要するに、不適切な表情を示したりすれば、このバーチャル世界の監視システムに疑われてしまうのだ。


 もし過去に戻ることができず、事前に予行演習もなければ、どれだけ多くの記憶が改ざんされていたか、盧安(ルー・アン)にはわからなかった。

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