0015 帰還
盧安は黒い岩の浜辺を散策する。
ここの海はとても豊かだ。盧安は何度も予行演習で水面下に潜り、ユリに似た生物が大量に海底に横たわっているのを見た。
この時代の海は、盧安を軽々しく振る舞わせてはくれない。浜辺にいる貝類でさえ、毒があるかどうかを盧安は見分けられない。現代文明では、化石だけを頼りにどの原始生物が有毒かを判別することはできない。ちょうど、電気ウナギに遭遇しなければ骨格を見ただけでは、この生物が筋肉で放電して狩りをするとはまったく気づけないのと同じだ。
盧安は浜辺に立ち、海の向こうを眺める。黒い火山が雲と霧の中に、魅惑的な趣を漂わせている。
盧安には、カヌーで海峡を渡りたいという衝動があったが、理性がその考えを繰り返し否定した。海には大型の捕食生物がいる。例えば、尾がまだ魚のヒレに進化しておらず、蛇のような尾を引きずる原始的な魚竜などだ。そして首長竜は、盧安はまだ見ていない。『ジュラシック・パーク』の映画で印象的なモササウルスについては、今はまだ陸上の小型の崖硝煙ゲかもしれない――モササウルスは白亜紀になって初めて出現したのだ。
下水はあまりに危険だが、盧安の心はますます焦燥に駆られていく。見えるのに手に入らない感覚が、盧安の心を満たしている。理性は海の向こうへ行くことはそれほど重要ではなく、最も重要なのは生きて帰ることだと盧安に告げ続けているが、感情面では今回を逃したら、もう二度とこの時代の地球を探索する機会はないかもしれないと考えている。この探検されるのを待つ神秘の世界が、永遠に自分から離れていってしまう。その感覚は、子供の頃に欲しいものを見つけたのに小遣いが足りず、しかももう二度と売られないと知った時の、無力な落胆と無力感のようなものだ。
人格としては、自分はもう子供ではないが、盧安はそれでもこの見慣れた感情を感じた。この感情に振り回され、海の中の魚竜を見て、化学工場を建設して廃液を流しこの海域を皆殺しにするという恐ろしい考えさえ浮かんだ。
盧安はこの感情が自分をどんな姿に変えるかよくわかっている。もし自分に実力がなければまだしも、ひとたびそれを実行できる力を持てば、まるで狂人のように成し遂げようとする。まるで貪官が金銭をむさぼるのをやめられず、暗君が美女を囲い込むのをやめられないのと同じだ。それは間違いだとわかっていながら、自分を抑えられずに行動してしまう感情だ。盧安は、こんな好き勝手に振る舞える力をまだ持っていないこと、今の自分を抑えるのがとても簡単なことを、心から幸運に思っている。
ジュラ紀任務の最後の日々、盧安はこうして自分の奔放さを抑え込み、この厭な感情の中で過ごした。
「手のかかる青春期だな。」きらめく海面を眺めながら、盧安は深く息を吸い、感慨深げに言った。青春期とは少年の意気盛んな時期であり、まず行動し、それから代償を考える時期なのだ。
盧安は海辺で大声で叫んだ。予行演習で発散しただけでなく、現実でも発散したのだ。
任務世界の最後の時間がこうして過ぎ去った。一年にも及ぶ任務がついに終わった。
全員の手首に光点が現れた。この光点が急速に拡大する中で、盧安は六角形のトンネルを見た。後ろの世界が即座に縮小し、徐々に光点へと変わる。この感覚はまるで井戸に落ちていくようで、井戸の口からどんどん遠ざかっていく。
約十六拍の心臓の鼓動の間、周囲の闇が霧のように晴れ、盧安は自分がプラットフォームの上にいるのに気づいた。自分だけでなく、生き残った十三人全員がここに現れていた。そして少なくとも数百ものプラットフォームが、この空間の地面の上方に浮かんでいた。
盧安が見上げると、太陽のように空に浮かぶ砂時計が目に入った。砂時計の中の「砂」は、すでに約十分の一ほどしか残っていなかった。
そして盧安がいる台の上では、皆が原始社会から現代社会へ物乞いに来たかのような姿だった。誰もが長くボサボサの髪を伸ばし、異臭を放っていた。服はボロ布のようになり、獣皮は臭い靴下のような匂いを発していた。少女たちは、異世界に来る前の生まれ持った美しさは全く見られず、アイラインもファンデーションもなく、村娘よりもみすぼらしかった。唯一の救いは、皆スタイルがとても良かったことだ。
「おめでとう、皆さん初心者向け任務をクリアしましたね。」皆が台から這い降りると、カムが素っ気なく言った。「初心者向け任務をクリアできなかった者は、すでに脱落した。」
白露は尋ねた。「脱落って、死ってことですか?」
カムは大きな白い歯を見せて、うなずきながら言った。「はい。任務世界で死ぬということは、完全に死ぬということです」
これを聞いて、皆の心は冷たくなった。元々のチームは十八人だったが、途中で二人死に、十三人が残った。だから、最初に逃げ出した三人は確実に全員死んでいる。
原始林の中で生き残るには、人数が多ければ多いほど生存確率が高まる。猛獣に遭遇したとき、人間の知恵と精密な言語の相互協力によって、集団の力を発揮できる。
獣の戦闘技術はすべて、できるだけ自分が傷つかないようにすることであり、食物と交配権を得ることを目的としている。しかし、人間は正反対で、現代の格闘術は同類を殺すために生まれ、時には傷ついたり死んだりすることも厭わない。人間同士の殺し合いは、実は獣よりも狂気じみており、だから獣同士の戦いと人間同士の戦いを決して比較してはならない。複数人による執拗な妨害の下では、単独行動の獣は必ず対応に疲れる。特に人間は牙や爪よりも長い鋭器である槍を手にしており、獣に傷を負わせさえすれば、獣は大きな心理的圧力を受けることになる。しかし、もし人間が単独になったり、獣を見て猿のように一斉に逃げ散ったりすれば、それは危険で、孤立した人は猛獣に食べられてしま宇田ろう。
集団になれば生き残れるが、野外での生存が簡単だとは決して言えない。つまり、生存力から見れば、集団行動する人間は単独行動の大型動物よりも強いのだ。
カムは皆を見渡し、李三祥を見た時に少し意外そうな顔をしたが、うなずいて言った。「これは新兵任務で、任務中、諸君の活躍に応じて相応の功績ポイントと体力ポイントが与えられる。」
「功績ポイントはそれぞれの物資、才能、力、そして特異、魔法、叙事詩、伝説レベルの神器と交換できる。」
「もちろん、元一会は君たちと契約を結ぶ。これらは現実に戻っても勝手に使うことは許されない。使用を決めた時は申請するのが望ましい。申請が間に合わず、緊急で使用した場合は、必ず後から使用申請を提出しなければならない。」
查虹が尋ねた。「まだ戻れるんですか?もう1年以上も経っているのに。」
話を遮られたため、カムの顔には少し不機嫌そうな色が浮かんだ。彼は続けた。「君たちが元の世界に戻る際、初期の身体状態、つまり初期属性に、交換した血統や後天的に追加した属性が加わる。君たちが得た体能点というのは、まさに任務期間中に身体に起きた変化のことだ。身体が良くなれば体能点はプラス値となり、逆ならばマイナス値となる。体能点を使うことで、自分の身体能力を任務期間中と同じ状態にすることができるし、あるいは加えないという選択もできる。」
カムは盧安の方を指差して言った。「彼を例に取ろう。彼は十四歳でこの新兵任務に一年間参加し、背丈も一伸びした。彼の世界に戻れば、十四歳の身長に戻り、筋肉、さらには脳の発達も初期状態のままだ。しかし今の彼の身体は、任務前よりも確実に良くなっているから、任務前の現実世界に戻れば、体能点は間違いなくプラスだ。今の身体状態に早く戻りたければ、体能点を使うことで数ヶ月の間に急速に成長させることができる。」
カムは查虹を見て笑いながら言った。「もしマイナスでも心配いらない、毎回の任務で残りの体力ポイントはゼロにリセットされる。これは皆の時間を無駄にしないための救済策だ。」
「もし何の血統も交換せず、純粋に体力ポイントだけに頼るなら、それは限界鍛錬の効果に過ぎず、超人にはなれない。体が安定し、任務中の鍛錬で何の変化もなくなった時、体力ポイントもなくなるが、自分が到達できる限界は維持できる。」
カムの言葉を聞いて、盧安は笑った。盧安はこの空間に入ってから非常に喜んでいた。というのも、盧安は自分の時間能力のパッシブ効果が消え、アクティブ効果だけが残っていることに気づいたからだ。盧安はもう常に予演する必要がなく、自分が価値があると思う予演だけを選択して発動できるようになった。
カムは続けて言った。「さあ、自分の功績ポイントを確認してくれ。注意してほしいのは、初めての新兵任務ではお前たちを納得させるために、功績ポイントに簡易評価がついていることだ。よく見てくれ。」そう言うとカムが手を振ると、光のスクリーンが現れた。
「李三祥、功績ポイント1783、二等平民。簡易評価。優れたリーダー。理性的な選択でチームの損失を最小限に抑えた。」
「司軒、功績ポイント983、三等平民。簡易評価。弱者を守る勇者。正義の心は良いが、謀略を学ぶことを勧める。」
「言藝、功績ポイント864、三等平民。簡易評価。粘り強く、ある程度の頭脳もあるが、時に木を見て森を見ずの傾向がある。」
「白露、功績ポイント784、三等平民。簡易評価。全くミスをしていない。機会を待っているのか?」
「盧安、功績ポイント781、三等平民。簡易評価。実は、君はもっとうまくやれるはずだ。」
自分の評価を見て、盧安は瞳孔が微かに縮んだ。なぜなら彼は何度も予行を行い、各予行で自分への評価はすべて異なっていたからだ。そのうちの一つの予行の評価はこ宇田った。「幸運の呪い、その味はどうだ?ここでの時間は短い、外の世界に戻ったら引き続き味わうがいい。」
これを見て、盧安は雷に打たれたかのようだった。受動効果が消えたと思っていたが、どうやらそうではないらしい。
この予行で、他の者たちは元一のそんな評価を聞いて、思わず盧安を見た。
現実では、盧安の評価が終わると、すぐに次の者が呼ばれた。そして盧安が絶えず遡行する間、元一も様々な口調で盧安をからかい、しかも重複さえしなかった。盧安の時間能力はこの空間のルールを凌駕してはいなかった。
その後の数人に対して、元一は評価の際、皮肉な口調がますます強くなっていった。
……「查虹、功勲点233、三等平民。寸評。お姉さん、現実に戻ればすべて元通りだ、今回は運良く死の淵から逃れられたが、次はどうか自分のために慎んでくれ。」




