0014 待機
趙成功は李三祥に石のナイフで頸動脈を切られ、失血多量で死亡した。
彼もそれほど憎らしいわけではなく、ただ自分の気質に従って無意識に矛盾を引き起こしてしまっただけだが、今はみんなで彼を罵り、すべての過ちを彼に押し付けることで、初めて過去の矛盾を断ち切ることができる。
ごく一部の人間を死なせることは、社会の矛盾を解決するうえで最も社会的コストーーを節約できる方法だ。生き残った者たちに再び思想改造をさせるわけにはいかないだろう?
趙成功は死んだが、趙成功の小さなグループは彼一人で作り上げたものではなく、彼はある種の人々の考え方を代表していた。全員がこの考え方を雲の彼方に捨て去ってこそ、この種の矛盾が生まれる土壌をなくすことができるのだ。今や、全員が否定したこの考え方は、すんなりと死者である趙成功個人の考え方ということになった。
李三祥がチームの新しいリーダーになった。もともと趙成功のグループにいた者たちは、清算されるのを恐れて、皆おそれおおくも李三祥に近づいていった。彼らは自分たちの利益を守ってくれる存在を早急に必要としていたのだ。司軒や多くの女性たちも、李三祥の指導権を黙認した。盧安に関しては、見抜いていてもわざと高尚ぶることはできず、李三祥の命令に従わなければならなかった。
盧安から見れば、今の最大の危機はすでに乗り越えたのだ。李三祥の手段がどうであれ、この危険に満ちた環境では、誰かが規範を守らなければならない。この規範は皆の道徳的な一線である。しかし、今の全員は原始的な環境にいるため、完全に原始社会の制度を施行することも、完全に現代文明の道徳に従うこともできない。そのため、盧安からすると、李三祥にチームを率いさせるのが最も適切なのだ。
澄んだ川の中で、数匹の魚が尾を振りながら泳いでいる。これらの魚は奇妙で、その体はエビのように丸まっている。
人々が広げた大きな網の下で、数十匹のこのような魚がすくい上げられた。肉質はまあまあ良い。重要な点は、これらの魚には毒がないことだ。盧安は幸運にも、このエビのような魚を味わうことができた。それは硬い硬鱗の殻を持っているが、しかし骨格はすべて軟骨である。実は、盧安が食べたこれらの魚は中華チョウザメだった。これはジュラ紀後期の生物で、軟骨と硬骨の中間に位置し、したがって、この魚は中華チョウザメよりも古い。そして現代のチョウザメは、白亜紀に起源する。この魚に毒があったなら、絶滅しなかっただろうに。
この地域の元の支配者については?それは皆に囲まれ、処理された後、その巨大な頭蓋骨が木の梢に掛けられた。その頭蓋骨にはV字型の骨質の冠があり、日光の下で鮮やかな色合いを放っていた。
これは皆がこの時代に出会った最大の恐竜で、鋭い牙と鋭い爪を持ち、非常に強そうに見えた。しかし、包囲狩猟の際、皆が松明を掲げて追い込み、大きな網に追い詰め、そのまま転倒させて柔らかい腹部を露出させた。その過程で、李三祥は鋭い爪にかすられ、木の枝で編んだ簡易防護具が一層剥がれたが、李三祥が木の棒に取り付けた長刀はこの恐竜の首に四十センチにも及ぶ切り傷を与えた。同時に、羽矢が空気を裂いて「ヒュッ」と音を立てると、この恐竜は片目を盧安に射抜かれて失明し、包囲網にあらかじめ開けておいた突破口へと、がむしゃらに転がるように突っ込んでいった。
わざと突破口と片目を残したのは、この竜を逃がし、体力を消耗させるためであり、そうすれば人々は慌てずに追いかけ、最終的に完全に仕留めることができる。狩りの一団が血痕と足跡を頼りにこの竜を見つけ出した時には、竜はすでに失血が過ぎて抵抗する力も残っていなかった。
この恐竜の死に様は凄まじいものだった。李三祥は被害を減らすため、人々に松明を恐竜に投げつけるよう命じた。恐竜は身を震わせながら悲痛な叫び声をあげ、炎を振り落とそうとしたが、その震えが出血量を更に増やした。数時間後、この恐竜は二度と動かなくなった。人々は何本かの木槍を追い打ちのように突き刺し、この縄張り争いに円満な終止符を打った。
今や、この縄張りは人類のものとなった。
その日の夕暮れ、盧安は高く伸びた梢によじ登り、青々と茂る密林を見下ろした。
五十キロ先には、この密林の果てがある。そこは岩場に囲まれた海峡、いや、大陸の裂け目であり、その裂け目は表面がきらめく海水で満たされている。海峡の対岸には、円錐形の山がある。その山ははげていて真っ黒で、火山だ。黒い山肌からは、蒸し器の蓋を開けたときのように白い湯気が幾筋も立ち上っている。
だが、それは遠い世界のことだ。盧安のいるこの隊が、海を渡ってそこへたどり着くことはない。
李三祥の次の計画は非常に理知的で、それは皆で木を伐り、穴を掘って粘土を焼き、風雨をしのげる低い家を何棟か建てることだ。家の構造については、李三祥は皆に日本式を参考にするよう伝えた。ここは地震帯である可能性があるからだ。大地震が起きても、日本式の家屋なら倒壊しても人を傷つけることはない。しかも、日本式の家屋は建設が簡単で、労力も少なくて済む。李三祥は考えるべきことをすべて考慮したと言える。
梢の上で盧安はジュラ紀の風景を楽しんでいた。浅い海、澄み切った空、ジャングルに絶え間なく響く奇怪な鳴き声。一方、大きな木の下には原始の村の光景があった。六軒の家が大木を中心に半円形に並んでいる。縄張りは川沿いの高台にあり、高さ二メートルの木製の柵が周囲を囲んでいた。
日当たりの良い空き地には、いくつかの木の枠が立てられ、その下には簡素な藁縄で編んだ竹ざおがいくつか吊るされている。みんなの編み物の技術が未熟なため、これらは非常に粗末だが、それでもなんとか使える。竹ざおの上では、塩をまぶされた魚肉が強烈な日差しの下で乾燥させられ、すぐに干物へと変わっていく。
長い旅の途中で負った傷は、みな癒えていた。盧安はそのことに心から安堵した。この時代にあって、誰一人として細菌感染で命を落とさなかったのは、非常に幸運なことと言わざるを得ない。
今、盧安の日々の仕事は、昼に眠り、夜に夜警をすることだ。空の星を印すことを好むようになって以来、盧安は自ら夜警の仕事を願い出たのだ。
焚き火のそばで、毎秒三十六回の予演がパッシブ発動する盧安は、視線を異なる星区に向ける。それは星空全体の何千もの星々を脳裏に映し出す奇妙な光景であり、まるで巨大な球殻の中にいるかのようだ。そしてこのとき、地球はまさにその球殻の中で回転しているかのようだった。
地球を包み込む半球状の星空が盧安の脳裏に浮かび上がる。盧安は数百もの明るい星々を白い点で、ひとつの陶製の球殻の円弧の内側にマークした。より密集した星々については、盧安にはマークすることができなかった。
数多くの星々の中で、盧安は輝く明けの明星(金星)、木星、火星を見つけた。これらの星が天空に描く軌跡を通して、盧安はこの三つの惑星の現在の太陽系における配置を推測しようとしたが、残念ながらそこまでだった。盧安のこの星空観察は、まさに井の中の蛙の眺めに過ぎず、太陽系の図での各大惑星の軌道はすべて計算して求められるものだが、盧安には知識が限られており、計算できない。
盧安が再び木の梢に登ったとき、李三祥も登ってきた。
「これは星図か?」と李三祥は興味深そうに土器の内側の白い点を見ながら尋ねた。
盧安は何十回もの予演の中で、おどけたような様々な口調で否定し、半分隠して半分認めるなどのさまざまな方法で、李三祥が何をやっているのかを探った。何度も予演を重ねた後、現実で盧安は李三祥に微かにうなずいた。
「これに興味があるの?」李三祥はさらに尋ねた。
盧安は再びうなずいた。
李三祥は言った。「君はますます寡黙になったね。」
盧安はぶらぶらと足を揺らし、それから空を見上げ、淡々と言った。「寡黙?俺はこれでいいんだ。」
李三祥も空を見上げて言った。「ああ、いいね、自分の好きなことをして、何の憂いもなく。恋人はいるのか?」
盧安は首を横に振ったが、李三祥が次に何を尋ねようとしているかはもうわかっていた。李三祥は色付きの小さな包装の何かを手に取り、笑いながら言った。「でも、君はこれを持っているじゃないか…」
盧安は李三祥が何を尋ねたいのか理解していた。趙成功の小さなグループが女性の話をしている時、盧安は加わらず、距離を置いていた。
「水を満たせば、これは凹凸レンズになります。毒虫や毒蛇に噛まれた時は、ゴムバンドとして腕に巻き付けることができます。水が不足している時は、十分な量の水を入れることができます。これがその用途です」と盧安は答えた。
李三祥の額に川の字が現れ、「すべて最初から準備していたのか?」と尋ねた。
盧安はうなずいて言った。「このような旅があることはなんとなく知っていましたが、どこに行くかはわかりませんでした。半信半疑のうちに、いくつか基本的な準備をしていました」
李三祥は尋ねた。「元一とはいったい何なのか、知っているのか?」
盧安は首を振って言った。「わかりません。これは私にとって初めての時空の旅で、恐竜に会えるとは思いもしませんでした。こんなことなら、規制対象の刃物と殺鼠剤を持ってくるべきでした」
盧安の答えを聞いて、李三祥はうなずきながら言った。「戻った後の予定は?私のところに来てもいい」
盧安は首を振りながら言った。「いいや、戻っても君を見つけることはできないだろう。なぜなら、君たちのいる世界と僕のいる世界は違うという確信があるからだ。」
李三祥が尋ねた。「君は現実世界から来たわけではないのか?」
盧安は言った。「なぜ、君のいる世界こそが現実世界だと言えるんだい?」
李三祥はすまなそうな表情を浮かべて言った。「ああ、私はずっと唯物論的な世界観で生きてきたから、こういう超自然的なことに遭遇しても、今だに受け入れがたいんだ。」
盧安は言った。「未知のことに直面したら、みんな同じさ。僕の世界と君たちの世界は違う。正確に言えば、二十世紀に入ってからの歴史が異なっているんだ。」
李三祥はうなずきながら言った。「なるほど、君の本が繁体字なわけだ。」
盧安は李三祥が続けて尋ねるのを待たず、予演に基づいて、李三祥が次に尋ねたいと思っていたことを答えた。「私が属する世界の歴史は、あなたたちの世界よりも良い。二十世紀前半には、私の国はすでに富強へと向かっていた。」
李三祥はこれを聞くと、ため息をついて言った。「それは本当に素晴らしいことだ。」
盧安は空を見上げると、空模様は完全に暗くなろうとしていたので、言った。「李叔、もう下りたほうがいいですよ。」
李三祥はうなずいて言った。「夜は高いところは風が強いから、風邪をひかないように気をつけて。」
李三祥が去ったのを見てから、盧安の頭の中の李三祥を殺す予演は止み、全ての予演は星空に集中した。
この時代に今まで生き延びてきて、盧安はついに大型生物を殺戮するのをやめることができた。盧安の時間能力はついに成長を止め、時間の経過とともに弱まり始めた。




