0156 M計画
世界の風雲が渦巻く中、盧安は自らの試練を始めた。
元一空間に入り、盧安は消費区を通りかかると、酒瓶がカランコロンと足元に転がってきた。盧安は酔っ払いが目を細めて何かぶつぶつ言っているのを見た。盧安はすぐにその酔っ払いを迂回した。
元一が帰零任務の等級制度を公開した後、街中で思う存分享楽にふける平民傭兵はかなり減り、大部の平民時空傭兵はこっそりと訓練を始めたが、依然として享楽を続ける者もいる。それらのまだ享楽を続ける人々は数か月前よりもさらに狂っており、まるで死刑を宣告された者のように、すでに何も恐れていない。
消費区を抜け、任務区に着く。自身の二度目の帰零任務を象徴する光の柱がすでに降り立っていた。盧安のある予演の束は、思わず前世の自分が幼い頃に教えられた一言を思い出した。楽な方を選んで近道をしようとすると、結局は回り道をするものだ。
盧安は任務の光の柱に足を踏み入れ、上方の六角形の井戸口の中へと消えていった。
盧安は理解していた、今回の任務で元一は自分を見逃さないだろうと。今回の自身の任務が、決して低強度の監視などではなく、高強度の対抗であることを。
盧安の推測は当たっていた。旭起星位面の睿脳紀元鬼行期は重要な時期である。この時期には極めて多様な平行位面が大量に派生した。これらの多様性は決してその位面の現地知性がもたらしたものではなく、高次元の存在がしばしば干渉の触手をここに伸ばしていたのだ。
睿脳紀元鬼行期の下流十七万年、ある平行宇宙で、悲惨な星間戦争が勃発した。
戦争の一方は傑布卡族を盟主とする星間種族聯盟であり、もう一方は宇宙の天災——噬滅蟲族であった。
この灰白色の星の上空で、噬滅蟲族の戦艦が惑星に基地虫を投下している。空から降り注ぐ金色の甲虫は、赤い炎の尾を引きながら大気圏に突入すると、薄膜状の傘翼を展開して大気中で減速し、やがて地上へとゆっくり降り立った。これらの基地虫は大量の岩石を摂取し、大気中で主流となる化学反応を分析した後、大規模な増殖を開始する。
環境によって主流となる化学反応は異なる。例えば地球の場合、岩石圏表層の主流化学反応は、零度以上六十度以下、水環境、光照射、酸素豊富といった環境条件を中心に展開される。仮に噬滅蟲族が投下した媒体が地球表面で大規模増殖しようとするならば、現地環境に自ら適応し、大量の光合成生命システムを作り上げ、その環境に最も適した有機物を大量生産して戦闘を行宇田ろう。
そして、傑布卡族がいるこの惑星の大気はアルカン大気だ。噬滅蟲族の基地虫がここに降り立ち、製造する戦闘兵器は、まるで海洋の節足動物のようでありながら、外殻はキチン質ではなく鉄殻だ。硝酸を含む嚢がこれらの怪獣の口から噴射され、傑布卡人の陣地に投げ込まれた。炸裂した濃硝酸は、この星の還元性大気と接触する――それは天然ガスと濃硝酸が混ざり合うことに相当し、大爆発を引き起こした。
燃え盛る炎は液体のように急速に坑道へと浸入し、アルカン類ガスと体内の酸化鉄を反応基質とする呼吸で身体にエネルギーを供給する傑布卡人たちは、地球人がナパーム弾を浴びた末路と同じように、坑道内で窒息死していった。核兵器すらも完全には焼き尽くせないほどの数に上る食滅蟲族を前に、地上の傑布卡人たちは頑強に抵抗を続けている。
宇宙空間では、太陽に照らされている惑星の正面で、傑布卡人の戦艦と食滅蟲族の戦艦が砲撃戦を繰り広げていた。粒子ビームが無数の束となって互いに撃ち合わされ、双方の電磁シールドを貫通して、戦艦の装甲外殻を融かしていく。一隻、また一隻と戦艦は、火で炙られて死んだ虫のように、冷たく静まり返った宇宙空間に横たわる。膨大な煙霧が宇宙空間に拡散していく。
惑星の向日面では戦闘が激化しているが、背陽面では、夜の闇に包まれたこの星の表面に一つの輝点が現れた。その直径は二十七キロメートルで、壮大な光線を放射して宇宙空間へと伸びている。そして宇宙空間に浮かぶ特殊な戦艦が巨大な光鏡を展開し、この光線を受け止めていた。
この戦艦のスタイルは傑卡布人とも、噬滅蟲族とも異なっていた。この艦は創幸族のものだ。傑卡布人の外見は六足で大きな頭を持つヒキガエルに似ているが、創幸族の外見は人間型だ。
創幸族は約一万三千年前に台頭した種族で、現在は傑卡布人と同盟を結び、共に噬滅蟲族と戦っている。創幸族の戦艦内では、多数の人間が見受けられるが、それ以外の多くの種族の構成員が特別な維持カプシェルに横たわっているのも見ることができる。
戦艦ホールでは、六人が集まって厚さ3メートルの宇宙ガラス室越しに窓の外の壮観なエネルギー束を見ている。これは傑卡布人が送ってきたエネルギーだ。
この六人は全員が時空越え者で、彼らは刺血隊を結成した。
隊長の衛布が言った。「なんてこった、このサブストーリーは奇妙でとんでもない。噬滅蟲族は絶対に倒せない、彼らは無限に繁殖し、この宇宙の資源を独占できる。そしてこの宇宙の他の種族はまさかこんな計画を思いつくなんてな。」
女性隊員の明葉が言った。「M計画は人類の最後の計画よ。もし魔鬼隊(時空輪廻者チーム)がシナリオをめちゃくちゃに変えたりしなければ、正規版の映画ではM計画なんて絶対に出てこなかった。でも今、宇宙の各文明はこの頼りない計画を最後の希望にしている……沐沐、何ぼんやりしてるの?」
チームメイトの言葉を聞いて、沐沐というポニーテールの少女は頭をかきながら言った。「創幸族(人間)が噬滅蟲族に創造されたという設定に、まだ信じられない思いだよ。『虫災』の1作目から5作目まで、5作品ともこの設定には触れていなかったんだ。」
男性隊員の米堪が言った。「みんなの世界では、『虫災』の設定資料にも人類の由来は詳しく書かれていない。創幸人類の進化が噬滅蟲族の介入によるものだなんて、誰が想像できるだろう?九万年前、人類は噬滅蟲族が創幸星で行った遺伝子実験から生まれたという、あまり科学的ではない設定だ。虫族はなぜ人類を創ったのか?親切心?ただの善意だって?たぶん監督が酔っ払ってその場で考えた設定なんだろう。そして不合理だと思って、映画からその設定を削除したんだ。」
衛布は眉をひそめて言った。「理不尽な設定か?浮想の地(時空を越える者たちが管理する空間)はこのサブクエスーートーにかなり高い報酬を出しているぞ。」
先に世界が発展してプロットができてから、別の世界の作者の頭にひらめいて作品が書かれたのか、それとも先に別の世界の作者の頭にひらめきがあって、それから世界が創造されたのか?この論理問題はずっと時空を越える者たちの間で、輪廻者たちが議論していることだ。
明葉は嘆いて言った。「すべては魔鬼隊のせいだ。彼らが勝手にプロットを改変したせいで、星間文明連盟全体が戦争で完敗し、このM計画が生まれたんだ…」
M計画。星盟の各大種族が本宇宙で取り返しのつかない絶滅的な失敗に直面した後、文明の種を存続させるために、全力で噬滅蟲族の起源の惑星を攻撃し、キャリアエネルギーを時間の上流に発射した。時間の上流を変更したが、この時間線のすべての文明の失敗を救うことはできないが、別の時間線では、噬滅蟲族が誕生する前に、当時の宇宙の各大種族に文明の種を提供し、ついでに各大種族の文明の歴史の種をその時間線に投げ込んだ。これは一種の異なる形の文明存続と言える。
これは最も絶望的な計画である。これはこの世界の文明にまったく希望がなくなった後に作成された方案であり、この世界に少しでも希望があれば、この計画を議題に上げることはなかっただろう。
衛布たちが知っている『虫災』映画のプロットには、A計画、B計画、C計画がある。初版ゲームでは六つの計画と六つの異なるプロットがあった。第二版ゲームでは、八種類の異なるプロットがある。『虫災』の世界にどれだけのプロットが存在するのか、明葉のいる世界の『虫災』作者は含みを持たせた。その創作者は設定にこう書いている。「他にも噬滅蟲族に対抗するための複数の計画が、各文明の意思決定層の金庫の中に眠っている。」
まさにこの一言が、異世界からの転生者たちがこのプロット世界で死を招く行動をとるきっかけとなった。明葉たち転生者が所属する刺血小隊と魔鬼小隊がこの世界で死を招く行動をとったことで、M計画が発動してしまったのだ。
今、明葉があたかも無実を装って「魔鬼小隊が勝手にプロットを変えたせいだ」と愚痴をこぼしているが、すべてはこの一見理性的な女智者による布石と推進の結果ではないだろうか。
彼らはこの世界の深層の秘密に触れ、多くの秘密が彼らのいる各メインワールドの文学作品には記録されていないことを発見した。例えば、創幸族という人類種族は、実は13万年前に、噬滅蟲族が彼らの惑星のサルの遺伝子を改変して作り出した種族だということだ。その後、この噬滅蟲族は去り、創幸星の人類は十数万年の発展を経て星間種族となり、宇宙の他の文明と国交を結び、最終的にこの大規模な星間戦争を起こしたのだ。
数人の輪廻者は会話を終えると、生命維持カプシェルに戻った。十七分後、十分なエネルギーを蓄えた宇宙船は宇宙でスターゲートを展開した。その時、戦艦が惑星を周回する相対運動のため、あと二十分で惑星の正面に回り込むところだった。ちょうどその時、遠方の噬滅蟲族の戦艦が地平線上に姿を現した。
戦艦は展開した空間ゲートへと進み、目標は三十八光秒先の虫卵星だ。この星と、今傑卡布人が必死に抵抗している星は、どちらも同一の恒星の大惑星に属している。虫卵星という名前は、宇宙の各文明が共同で命名したものだ。噬滅蟲族がこの星で発生し、宇宙へ進出したため、虫卵星と名付けられた。
数秒後、巨大な宇宙戦艦が虫卵星に現れた。創幸族の戦艦がここに出現すると、待ち構えていた多数の噬滅蟲族の戦艦が、突然現れた敵艦に向けて攻撃を仕掛けた。
しかし、無数の戦艦の粒子ビーム砲はすべて迎撃された。いや、迎撃されたというより、粒子砲がこの戦艦から三百キロメートルの範囲に入ると、突然速度が遅くなったのだ。
この時、戦艦内の各文明の継承者が言った。「時空跳躍ポイントが開かれました。30秒後に跳躍を開始します。ご注意ください、時空跳躍ポイントを通過できる情報は限られています。全メンバーは光子情報状態で時空跳躍ポイントに入ってください。」
戦艦の下方、虫卵星では、もともと静かだった大気がたちまち数百キロに及ぶ旋風を巻き起こした。その渦の中心では雷が鳴り響いていた。
扉が開かれた。




