0146 直面
自分が乳白色の海域を通過するのを見て、盧安は遠くを見つめ、心の中でますます不安になった。「もうすぐ着く。」
白露の仲間であり、予演を持っているため、盧安は白露の能力が大体どのようなものか知っている。そして先ほど、盧安は改めて白露の能力を評価した。
白露の能力は不可侵であり、七傷拳のように、自分が先に傷つき、それから他人に痛みを感じさせるというものだ――非常に鶏肋な能力で、元一空間では選ぶ者が少ない。
しかし、これは実際には非常に恐ろしい能力である。この能力の本質は、部分的な情報を感じ取り、その感じ取った部分情報に基づいて、情報の出所をフィードバックし、現実において情報を補完することにある。能力の初期段階では、その効果は痛みを感じることであり、他者の身体において痛みの感覚を補完する。感じ取れば感じ取るほど、大脳の思考は現実をより正確にシミュレーションし、現実の情報の補完もより完全なものとなる。能力が頂点に達すると、風を感じれば風の運動エネルギーを補完し、炎を感じれば燃焼の出所に対して温度を補完するようになる。
それは、思うがままに働く「唯心」の能力であり、いかなる影響源が白露に及ぼす影響も、すべて侵犯と見なすことができる。白露は影響に含まれる情報(侵犯)を感知すると、影響源の情報を補完し(同理の攻撃を生み出し)、それを影響源(侵犯者)へとフィードバックする。したがって、白露は脳の演算能力が十分で、十分な情報を補完できさえすれば、自らが感じ取ったものを現実に一つひとつ出現させることができる。そして今、白露の意識は単に自身の本体だけにあるわけではない。この時、白露の意識は非常に広大であり、それゆえ不可侵犯と呼ばれるこの能力も恐ろしいほど強力なものとなっている。彼女のしなやかな指が指し示せば、蜃気楼が海と空の間に浮かび上がり、彼女が一念を起こせば、可溶性気体と海水が分離し、彼女の視線が及べば、天空の雲々がここに集い、雷霆が九天の下に宿る。
核心圏に入ると、盧安は澄んだ海水中に、生命体のようなパイプが何本もゆっくりと震えているのを見た。これは途方もなく巨大な計算器官であり、人間の脳と比べてどれほどの差があるかは分からないが、さきほど体験した奇妙な天象からすると、白露の天賦はこの演算器官の後押しによって、すでに強力に現実を左右できるようになっているのだ。
海水中の巨大な器官を見て、盧安は再び立ち止まった。「前進を続けるべきか?」盧安はもう一度、自分の今の行動を考え始めたが、理性は何の答えも与えてくれなかった。
理性はすでに今の自分自身の少年としての性質を思考の範疇に入れていた。「ここから撤退した後、元一も七十八日のうちに白露を解決できるだろうが、自分はどうなるのか?」
盧安は自分に疑いを持った。「自分はきっと何かをせずにはいられない。静かにしていることなんてできない。まるで夏休みの時、両親が仕事で留守の間、一日中テレビをつけず、パソコンも触らず、携帯電話もいじらずに過ごすなんて絶対に無理だったように。」
七十八日間、自分はおそらくじっと耐えてこの世界を傍観し続けることはできないだろう。そして一度立ち上がってしまえば、それは必然的に元一の提示した規則に違反することになり、過ちを犯せば、今は黙っている元一によって必ず清算されることになる。
しかし、この綱渡りのような七十八日間を早く終わらせるには、白露を制止するしかない。盧安の理性的な判断においても、これは良い選択とは言えなかった。
「自分に自信がないから、信念を貫けず、彼女を止める勇気もなくて、流されるまま受け入れてしまう。俺って本当に弱いな……」盧安は自嘲気味に言った。「これほどの圧倒的な超能力を持っていながら、それに伴う責任の前で足踏みしてしまう。理性はまだ残っているはずなのに、目標を定められないんだ。」
盧安の今の心理は、計算高い人と同じだ——考え過ぎている。目標が定まらない状況で、損得ばかりを考えてしまい、自分自身でも曖昧な答えしか出せない。もしクラスター状態になる前に、この強大な力を手に入れていたら、世界を破壊する結果や白露と敵対する結果など考えもせず、迷わず一つの方向を選んで行動していただろう。
しかし、盧安の現在の発展状況は必然的な結果である。先秦時代の民衆は、明清時代の民衆よりも確実に純朴であった。先秦の民衆は余計なことをあまり考えず、封建領主の一声で全国動員令を実行し、農耕時代の生産力の下で総力戦を戦うことができた。例えば長平の戦いである。一方、明清時代の民衆は、国家の危難と個人の損得の間で非常に迷うようになり、結果として、封建的な忠誠心が残っていた日本が中国よりも早く民族主義という結束力の高い時代に入ったのである。中華の民衆は抗日戦争以前まで、個人の損得と国家の利益の間で再三迷い続け、そのために国運が常に遅れを取ってきた。当時の日本人は考えることが少なく、天皇の一声で何も考えなくなった。しかし歴史の流れとして、人はますます多くを考え、心はますます複雑になっていく。例えば日本は明治に士を養い、大正に国を養い、昭和には鬼を養い、平成になると豚を養うようになった。将来、日本が血塗られた災難から豚のような状態から完全に考え抜くことができるかどうか、誰にわかるだろうか。
盧安は今まさにこの複雑な心の段階にある。しかし現実の展開は、盧安がぼんやりとためらい続けることを許さない。盧安が白露から三十六キロ離れた場所で進退を考えようとしたとき、元一はすでに新平絲の六人を回収し、その後この世界に残った三人の時空傭兵に位置相互感知の戦略支援を提供した。
白露は遠くの海面にある盧安のいる方向を見ている。元一の突然の促しに、白露は笑って言った。「君には他に選択肢がないんだよ…」彼女は淡々と言い、その後海に潜った。
海辺にいる李三祥は、暗い海を黙って見つめ、何かを考えている。李三祥は紙巻きタバコを取り出し、火をつけて深く吸い込んだ——李三祥が自作したこの世界にはタバコがない。煙を吐き出しながら、彼の視線は次第に深遠になっていった。
元一が一言も告げずに直接、両者の位置感応の「サービス」を展開したのを見て、もともとためらってぼんやりしていた盧安の体がびくっと震えた。
「この歴史線上で白露が作り出した可能性は、もうこれ以上発展させることはできない。できるだけ早く行動し、できるだけ早くルールを維持してほしい。」
盧安は光幕を閉じ、ため息をついて言った。「わかった……」
元一は再び規則について言及した。これは元一が仕事をする際の規則だ。元一操作(0145章参照)が失敗し、規則による制裁を受けたことは、どうやら喜ばしいことのように思えるが、盧安は無関係ではいられない。
規則とは何か?人間の規則は、社会を運営するために生まれ、特定の誰かを配慮するためではない。元一は明らかに受動的に規則を課せられたのだ。何らかの目的を達成するために設けられた規則は、元一が目的達成に有利な時空傭兵を過度に圧迫するのを防ぎ、また役に立たない時空傭兵を過剰に粛清するのも防ぐことができる。婕拉たち時空傭兵の状況は遠い話のように見えるが、盧安は深く記憶し、警戒している。
再びため息をつくと、盧安の周囲の波は再び鎮められ、数百メートル四方の海面は鏡のように滑らかになり、運動エネルギーは導力ネットワークによって足元の小舟へと移された。盧安は再び目標に向かって前進する。
盧安の予想外にも、その後は非常に順調で、十数キロの道のりに何の妨げもなかった。
二十分後、盧安は目的地に到着した。盧安の目の前の海には波風が全く見えなかったが、盧安は蛙視を通して海面の下に極めて巨大な構造物が稼働しているのを発見した。何本ものパイプラインの中を、藻細胞から分化した様々な細胞がこの構造物の中で働いている。
このとてつもなく巨大な生命を感じ取った、とある予演中の盧安は思わず突っ込んで言った。「これはちょっと虫族の母巣みたいだな。」
この構造物は直径が二キロメートル近く、深さは未知——盧安の蛙視ですら底を見通せない。より深く見ようと思えば可能だが、盧安は大規模に動力を伝導することを恐れた。もし大規模に動力を下方へ伝導すれば、巨大な懐中電灯で目標を照らすようなものだ。自分は見通せても、白露に何か恐ろしいものを十分にフィードバックさせてしまうことになる。
盧安は、周囲の空気が停滞しているのを感じた。風がこの範囲を通過する際、どうやら幾重もの重力場に阻まれているようだ。この力は数十キロメートル先まで及んでいる。
この光景を見て、盧安はややかすれた声で元一に尋ねた。「白露の天賦は……」
意外なことに、元一は答えた。「海中意識の誕生は、この世界の発展に合致している。しかし、彼女の天賦が海中意識に利用されるべきではない。」
盧安は尋ねた。「彼女の天賦を回収することはできないのか?」
「回収は可能だが、78日後になる」元一は付け加えた。「位面にとって生命は、濃い墨が白い布に対するようなものだ。生命現象を取り除く最もかすかな物理的手段を用いても、一苦労だが、もし君が彼女に自ら去ってもらえるなら、それに越したことはない」
これを聞いて、盧安は突然海面上で大声で問いかけた。「白露、なぜ去ろうとしないのか?そして、君は去りたがらない彼女をなぜここに到達させたのか?!ルールに従って真実を教えてくれ!」盧安の声は突然、静かな海面に響き渡った。
先ほどの会話はすべて予行演習で行われたもので、この言葉の意味は次の通りだ。「白露よ、私は強いられたのだ、元一にこの任務を遂行させられたのだ」
元一は盧安の小さな思惑を気にしていなかったが、盧安には答えなかった。なぜなら白露が盧安の問いを聞いて答えたからだ。海深1300メートルのところで彼女は目を開け、海面上の盧安のいる方角を見上げ、すると海面上の空気中に悠揚たる音が響いた。この音は範囲全体の空気の振動によるもので、物体の振動から生じたものではなく、鐘や太鼓のように悠揚とし、鳥のさえずりのように心地よい。この音は白露からのものだ。
「彼は私がこの世界に来てあらゆる努力を尽くすことを見越していた。そして彼はまたあなたがプレッシャーから私を止めに来ることも見越していた。」




