0140 心の猿
噬魂組の食堂で、本体の慕斯は皿の上の赤い果実を見て少し驚いた。隣で車椅子に乗ったガーナーがやって来て、慕斯の皿の赤い果実を見て、笑いながら言った。「君もこれが好きなのか?」
慕斯はガーナーを見て言った。「ああ、最近この果実が好きになったんだ。」
ガーナーは赤い果実を一つ手に取り、笑いながら言った。「これ、私の大好物でもあるんだ。」
ガーナーが去った後、慕斯の目は暗く沈んでいた。今回の電磁替身から送り返された記憶の中で、自分が戦闘区域の仮想商店で消費した味覚の楽しみに隠された記憶が、答えを与えた。欺かれていたと知った後、激しい苛立ちが心に湧き上がったが、慕斯は必死にその苛立ちを抑え込んだ。
苛立ちを抑え込んだ後、慕斯の心は静けさに包まれ、心が死んだほどの悲しみよりも深い静けさが広がった。静けさの後には恐ろしい暗闇が訪れた。美しいものへの最後のよりどころが嘘によって粉々に打ち砕かれた時、慕斯はこの世界に一切の幻想を抱かなくなった。
李三祥から信仰の指輪をもらった後、白露は盧安を一瞥し、「ちょっと用事がある」と言い残して去った。白露の直感は、盧安が後をつけてくるかもしれないと感じ取り、その一瞥は盧安に後を追わないように警告するものだった。
一方、盧安は多重の予演を通じてよりはっきりと見ていた。もし自分が後を追うことを選べば、白露は直接手を出すだろう。だから盧安は現実でも足を止めた。
盧安にとって、白露の恐ろしい直感は、弱められた予演能力に等しい。
白露が去った後、李三祥は尋ねた。「盧安、彼女は何をしようとしているんだ?」
盧安は首を振って言った。「わからない。ただ、さっきの彼女は少し怖かった。」
李三祥は座って、深く考え込み始めた。盧安はこの様子の李三祥を見て、思わずその落ち着きぶりに感心した。
李三祥は一つの罠を仕掛けるために数十日も奔走したが、結局、重要な道具さえも横取りされてしまった。もし盧安が同じ立場なら、激怒こそしないものの、長い間むしゃくしゃするだろうと彼は思った。しかし、李三祥は損得をすぐに手放し、理性的な思考に入ることができた。これこそが盧安の感心した点だ。
盧安の習慣は、まず他人の長所を見てから、自分の短所と比較することだ。
李三祥が落ち着いて考えられるのは彼の年齢によるものだ。盧安の今の体は14歳で、14歳の体ではさまざまなホルモンの分泌が若者の衝動の物質的基盤となる。老人は興奮しようとも、熱くなろうとも、心拍数を上げようとも、血液循環システムが耐えられないのだ。
リハーサルがある盧安は短期の意思決定に向いている。リハーサルが短期的に盧安に十分な思考時間を与えるからだ。一方、李三祥のような一城一地の得失に感情を左右されない状態は、長期の計画に適している。だから、盧安と李三祥の協力は補完的である。
李三祥が顔を上げて尋ねた。「盧安、この何日か何をしていたんだ?」
「別に何も。街の地形に慣れていただけだ」と盧安は言ってから、心の中で付け加えた。「高層ビルの位置を把握しておくんだ。どうしてもダメなら、市街地全体を更地にする」
李三祥は、盧安が地形を探る他の目的を深く追及しなかった。「君は白露と一緒じゃないのか?」
「彼女は別の都市に行ってしまった。この時代の状況を調査しているようだ」盧安は各都市の写真を李三祥に見せた。
李三祥は写真をざっと見てから言った。「これらの写真は彼女が私にも一部送ってくれた。君は彼女と一緒じゃないのか?」
盧安は首を横に振った。
李三祥はうなずいて言った。「わかった。これからどんな計画があるんだ?この狂った時代に、君はこの時代と一緒に狂うつもりじゃないだろうね?」
この狂気の時代は、幽魂が遠慮なく人間の本体を探し回ることを意味する。一方、李三祥は、盧安が幽魂を寄せ付けないようにできると知っている。李三祥の言う「一緒に狂う」とは、幽魂が実体状態の人間にちょっかいを出すことを指し、もし盧安が自分に近づく見知らぬ幽魂をすべて消滅させれば、李三祥の見方では、これからの情報伝達速度が極めて速く、しかも制約がない時代において、盧安は非常に注目を集めるだろう。
この時代の後期には、次々と幽魂の思考が征服され、幽魂が次々と生体ボディに入っていくにつれて、この時代の強大な武装を制御できるようになる。その時にはもはや意識同士の戦いではなく、現実の破壊となる。
一緒に狂うという意味は、この時代に発見された盧安が、最後には超能力で単身この時代の軍艦、戦闘機、大砲に立ち向かうことになるということだ。この時代は狂宇田ろう。もしこの時代と対抗する道を歩むなら、盧安の行為もまた狂人の所業となる。
李三祥が現実で言ったのは上の一言だけだったが、盧安は何度もの予演を通じて李三祥の具体的な意図を理解していた。
盧安にとって、李三祥の意図は白露の意図とほぼ同じだった。自分の度を越した行為が、知らず知らずのうちにこの世界と共に病むリズムへと向かっており、最終的な結果は、対抗の中で死を迎えることになるかもしれない。
街全体を解体することも、盧安にはできる。超能力を発動し、弾丸内の燃料と空気の燃焼を利用して弾丸を音速の六倍まで加速させ、徹甲効果を生み出して艦隊を一隻ずつ沈めることも、盧安にはできる。戦略爆撃機すら何機か撃墜できる。しかし、自分の行動が大きくなればなるほど、最終的には良い結末にはならない。
「俺とこの世界は何の関係もないのに、なぜこの世界のために狂うのか?」盧安は思わず自問した。
何十回もの予行演習の後に、盧安は自分の答えを出した。「何の関係もないなら、この世界で放埒に振る舞うべきではない。この世界で放埒を選べば、必ずこの世界と関係を持つことになる。その結果を引き受ける覚悟が必要だ。」
第一類のプレビューの理性が制限をかけるべき理由を提示した後、盧安は突然、第二類のプレビューから伝わる落胆を感じた。それは、錦の衣を着て夜歩くような落胆、力を手にしながらも至る所で隠さねばならない不満であった。
理性は理性、欲望は欲望である。盧安の状況は、他の人には理解しがたい。理解を助けるためにこう喩えよう。ゲーム『文明』では、玩家は国家を操作し経済や貿易を発展させ、最終的に敵を崩壊させることができる。これは数百年の歴史が一局のゲームに凝縮されているからであり、ゲーム内での玩家の政策は何十年も持続し、戦略は何百年も堅持できるのである。
しかし、もし玩家に実際に皇帝として数十年かけて国を経営させるとなると、状況はまったく異なります。この数十年の間に、世論の誹謗中傷や持ち上げ、大衆の近視眼的な見方が意図的に誘導されることで、玩家は不満や理解不能に陥りやすく、また外国のごく小さな挑発行為によって激怒し、数年の蓄えを賭して国運を賭けた勝負に出るべきだと考えがちで、長期的な戦略のために屈辱に耐え揺るがずにいることなど到底できなくなります。
原因を追究すると、それは時間にある。盧安の時間は他人の時間とは異なる。予演は盧安の実力を増幅させ、盧安の分裂の傾向も増幅させた。盧安は成簇した後、現実に従う第一類予演の理性と、何の制約もない第二類予演の欲望の間の矛盾衝突はますます激しくなる。今では、理性が自分を抑制しなければならないと感じると、欲望はすぐに抑圧されて不快な様子を見せる。戎星を離れたばかりの時と比べて、盧安の現在の矛盾はすでに明らかになっている。
盧安は自分がこの問題を解決しなかった場合の最終状況をすでに予想していた——自分が嫌いな人を見れば殺し、欲しい女の子を見れば力ずくで手に入れ、自分を尊敬しない人を見れば踏みつける、たとえその「不尊敬」が他人の善意からの助言かもしれなくても。
理性もなく、快感に浸るのは、まさに騒がしい青春期――目立ちたい、注目されたいという衝動だ。以前の盧安はずっと抑圧してきたが、半年以上が経ち、盧安は今、自分はずっと自分を誤って扱ってきたのではないかと自問せずにはいられない。しかし、こんなことを他人と相談できるだろうか?盧安の予演能力は絶対に暴露してはいけない。メインワールドで唯一出会った時間能力者・淺空明子も交流できる存在ではなく、もちろん、相互に確認することもできない。
盧安は多くのことを考えたが、現実の李三祥の前では、ただ一瞬遅れただけだった。盧安は李三祥を見て言った。「私はこの世界と一緒に狂ったりしない。」
李三祥は視線をそらさなかった。なぜなら、李三祥は盧安の表情にためらいを見たからだ。
盧安は続けて言った。「君の言うことは分かっている。常に自分に言い聞かせるよ。」
その時、もう一つの声が盧安の心の中で問うた。「言い聞かせて、どこまで通用する?恐怖で抑えつける必要があるのか?」
恐怖という言葉に思い至り、盧安の心はざわついた。一つの鍵となる点に気づいた途端、恐怖はまさに野草のように盧安の心の中で生い茂っていった。
本部を出ると、白露はレンタルのエ阿白クを運転していた。車体底面から噴射される気流が、くぼんだ車線を極めて速く流れていく。車はそのまま海の方向へと向かっていった。
飛行器を操縦する白露は、顔に一抹の哀しみを浮かべた。車線のガラスカバーの外で次第に近づく海面を見つめながら、彼女はもの悲しげに言った。「神を殺した英雄をやってのけて去り、そして鬼域へと向かう世界を残す。その是非はどう定義すればいいのかしら?」




