0138 真菌コロニー
恒星が西に沈み、ガラスの地面の下では車が次々と高速で走っているが、地上には誰もおらず、代わりに空中に浮かぶ幽魂の群れが漂っている。
通り沿いには幽魂向けの商店が設けられている。そして、シューチーシン人の肉体が夜に眠っている間、電磁分身はその時間を存分に楽しみ、明日の日の出前にその記憶を本体に持ち帰る。
そのため、二十一世紀の地球人が夜更かしを好むのとは異なり、この世界の人間は早寝早起きができる。昼間は実体で物質世界の富を創造することに努め、非常に労を惜しまないように見えるが、夜になると放縦になる。こうすることで、夜はしっかり休めると同時に娯楽し、昼間は一心不乱に仕事に打ち込める。これが鬼行期の旭起星である。
夜の帳が下りた街中で、盧安は携帯電話を開き、幽魂と電磁分身のキーワードを検索した。
結果はすぐに出た。この時代の幽魂に対する評価はおおむね好意的で——人々の消費項目を豊かにし、消費需要を満たし、人々の時間と消費を大幅に節約した。
昼は勤勉に働き、夜は寝ながら幽魂で遊ぶ。これでは時間の節約になるのは当然だ。そして実体のある飲食や娯楽の物質的消費に比べ、幽魂の消費は仮想世界のデータに過ぎない。ましてや脳チップ技術が社会全体のために節約する教育費のことを言うまでもない。もちろん、副作用、たとえば幽魂犯罪のようなことは、小さな欠点で大局を損なわないものだ。
人々の生み出す実質的富は、実質的富の消費をはるかに上回っている。これほどの巨額の社会的富の蓄積は巨大な利益であり、誰もそれを指摘しようとしない。データ上では、この時代の民衆の消費量は高いが、実質的富の消費は非常に少ない。この時代に属さない盧安でさえ、この社会の計算を簡単に行えば、一目でわかる。
100万の家は土地と鉄筋コンクリートを含め、実質的な富の含有量が非常に高い富である。鉱物の採掘、材料の製造、家の建設という一連の過程には、必ず誰かがそれを完了しなければならない。その仕事をしている間、その人は他のことができず、きちんとその仕事をやり遂げなければならない。一方、100万のゲームアカウントは実質的な富の含有量が非常に低い富で、消費されるのはサーバーを動かす電気代、プログラマーがプログラムを書く頭脳労働、運営者がゲームデータを維持するだけである。
この世界の生産力は21世紀の時代よりはるかに高いが、実質的な富の消費量は21世紀とほぼ同じだ。大部分の人の消費は幽魂の仮想的な享楽であり、しかもこのようなコストーーが極めて低いサービスが、この社会では依然として高い価格で取引されている。
そうだ、こんなバーチャル消費であっても、社会にはまだ消費できない人が多く、そのため彼らは夜な夜なやることがなくなり、犯罪の道へと進んでしまうのだ。
幽霊たちの犯罪率をコントロールするのは、魂を捕らえる警察に頼るわけではない。仮想世界での物価を下げれば、幽霊たちの夜間の犯罪を大幅に減らせる。しかし、仮想商店の物価を下げるということは、利益が減り、十分な人々の手元にある富を消費に引き出して政府財政に還流させることができなくなることを意味する。だから、仮想世界の物価と幽霊の犯罪率は相互に影響し合っている。幽霊の犯罪率が高くなり、社会の安定を過度に損なうようであれば、少し物価を下げるしかない。もし幽霊の犯罪率が許容範囲内であれば、物価を引き上げ、民衆の消費を増やし、民衆の手元にある通貨を政府に還流させ、政府の財政を潤沢にし、その通貨で民衆に各職務での尽力を命じるのだ。
盧安のいる启明城は非常に調和が取れているが、実際には旭起国の軍事費支出は驚くほど高い。盧安はこの方面のデータを調べ上げてはいないが、白露が多くの写真を自分にくれた。
ここ数日、盧安はずっとこの都市内をぶらぶらしていたが、白露は各都市を回り、複数の軍事基地を撮影していた。軍港には艦隊が停泊し、空港には戦闘機がずらりと並び、倉庫には大量の装甲が保管されている。これらはすべて社会全体の実質的な富で創造されたもので、実質的な破壊力を持っている。
その時、一群の幽魂が盧安の頭上を通り過ぎた。盧安の後頭部にチップが埋め込まれていないのを見て、すぐに飛び去った。
盧安は頭上を通り過ぎる幽魂を見上げ、「これが脳にチップを埋め込む時代だ。独裁者が強制プログラムを使わずに社会全体を支配する時代だ。一見、誰もが自由に見えるが、実際は欲望で誰もを縛っている。これは最も高度な独裁の形であり、頑丈な檻を築くことなく、現実の権利を実質的な身体で奪い取ることを大衆から奪い、仮想へと陥らせるのだ」と考えた。
この社会を見透かした盧安は、もはや何の興味も持てなかった。自分が気に入らない幽魂をいくら懲らしめても、犯罪を犯す幽魂は相変わらず現れる。この社会の操縦者たちは犯罪率が下がるのを見て、利益のために物価を上げ、犯罪率を自分たちが許容できる数値に調整する。そう考えると、犯罪を取り締まるというのは、ただ社会の構造を点検修理して、より上手く金を搾り取るためのものに過ぎないのだ。
見抜くことは見抜いたが、盧安にはこの社会を破壊する原動力はない。なぜならこの世界はあまりにも危険だからだ。この世界の軍隊は弱くなく、核兵器は確実に不足しておらず、生物化学兵器も完備している。自分一人でやる?予演能力のその腹立たしい強化メカニズムはさておき、盧安にはこの膨大な装備に一人で挑む自信はない。盧安は自分がそんなに高尚だとは思わない。高尚な理由を抱えて全世界を敵に回す大魔王になどなれない。この世界は自分とは何の関係もないのに、どう考えても頭に水が入った選択だ。
小細工で幽魂を威嚇しても全く効果はなく、大掛かりなことをするのは危険すぎて疲れるし当てにならない。それならむしろ何もしないほうがマシだ。実情はそういうことで、これこそが標準的な亜廃墟区だ。元一より上の存在は見向きもしない場所で、元一のような連中だけがここで待ち伏せをして、餌を探しに来る穿越怪を襲うのが好きなのだ。
自分が何もしなくていいと分かったとき、盧安の心は晴れやかになった――これはこの世界を観光旅行するようなものだ。何の責任も負わず、何の管理もいらず、面倒を起こすようなこともしてはいけない。空が落ちてきても、この世界の人々が自分で支えればいい。この任務の最も危険な時期をやり過ごし、余計な任務が発生しなければ、さっさと立ち去れる。そう考えると、盧安の顔に笑みが浮かんだ。
しかし、盧安の笑みは浮かんだ瞬間に固まった。心の恐怖がようやく混乱した感情の中から浮かび上がってきたのだ。「もし俺に何もする必要がないのなら、元一が俺をこの世界に送り込んだ目的は……」
一方、内陸の実験室にいる本体の慕斯はベッドから起き上がった。目覚めたばかりの彼は、ぼんやりとした思考の中でしばらく呆然とした後、ようやく這い出した。慕斯は、目覚めた時に幽魂の記憶が欠落している感覚にどうしても慣れなかった。
寝ている間に記憶がない、それは二十二世紀以前の地球の読者にとってはごく普通のことだったが、この違和感はまるで二十一世紀の地球におけるスマホ依存症の人が、一日スマホを失くした時の感覚に似ている。かたや二十世紀の人々にとっては、スマホで遊べないことなど全く普通のことだったのだ。
6日前、ガーナーは本体慕斯にテストーー要件報告書を提出し、電磁スタンドを国家安全部門に送ってテストーーを受ける必要があった。そのため本体慕斯は生命維持ポッドに横たわって熟睡し、意識は幽魂に移行した。そして今、慕斯の実体の身体が目覚めたが、幽魂は依然としてこの間の記憶を送り返してこなかった。
本体慕斯は自分の後ろ首のチップインターフェースを触り、内心不安でいっぱいだった。「こんなに長い時間、自分の電磁スタンドが一度も戻ってこなかったのは、自分が何かやらかしたのだろうか?」
ちょうどその時、大陸北部のミサイル艦上では、慕斯のアンドロイド内の電磁スタンドの意識が焦燥の真っただ中にあった。
平和な街から出て戦場に来ると、電磁慕斯は本当の戦争、残酷な戦争を目の当たりにした。倒壊した都市、焼け焦げた人形、ゾンビのように絶望した人々。
命令に従い、電磁慕斯は戦場で魂を喰らう任務を遂行するためにやって来た。敵の幽魂と信号の接続を行う際、電磁慕斯は容易に相手の防衛を突破し、この幽魂の防衛の奥深くに入り込んだ。
もし本当に他人の頭の中に攻め込むことができれば、その人には一切の秘密がなくなる。同様に、電磁慕斯もこの幽魂の記憶の中の経験に衝撃を受けた。
都市の幽霊はただチップインターフェースを通じて悪質な情報を伝送し、人を恐慌させ無力感に陥れ、自傷行為へ向かわせるが、戦場の兵士は幽霊が戦争マシンを操縦し、火薬と鋼鉄で直接他人を殺戮する。後者は前者より百倍も悪質なことだ。慕斯は一度任務に参加し、すでに後悔を感じていた。しかしこのアンドロイドの身体は幽霊をしっかりと閉じ込めている——電磁替身は離れることも、自殺することもできず、ほとんどの行動や動作はアンドロイドの別システムに監視され、自傷行為さえも警告が鳴る。
「シュッ!」電磁慕斯の前のドアが開き、ガーナーの電磁替身がアンドロイドの身体を制御して入ってきた。慕斯は顔を上げ、ぼんやりとガーナーを見つめた。
電磁ガーナーは顔のシステムを操作して微笑みを浮かべて言った。「君が困惑しているのは分かっているが、我々は君にこれらのことをしてもらう必要がある。」
慕斯が尋ねた。「いつ私を本体に戻してくれるのですか?」
「今すぐ君を本体に戻すつもりだが、一部の記憶を破壊する必要がある。」
「なぜ?」
「戦争に対する苛立ちをクリアにする必要がある。」同時にガーナーは慕斯のバイオニックボディの肩をポンと叩き、「またここに来る必要がある。」と言った。
5時間後、噬魂組の本部基地で、慕斯の本体は電磁アバターの帰還を受け入れた。
ここ数日の記憶が戻ったとき、本体の慕斯は眉をひそめた。その記憶では、自分はある都市で悪を懲らしめ善を奨励し、多くの悪人の記憶を貪り食い、そして強大で正義の自分たちのチームがそれらの者を一網打尽にした。
「ただ、こんな記憶に、なぜ違和感を覚えるのだろうか?」慕斯は眉をひそめた。
傍らで車椅子に座っていたガーナーは、励ますような眼差しで、慕斯に優しい微笑みを向けた。




