0131 無力
「この世界は危険だ」と新平絲はその場にいる皆に言った。「個人の戦力が果たせる役割はごく小さい。この世界の危険性は、人と人が互いに思考に侵入できることにある。我々の身体は傷つかないが、自我は制御を失ってしまう。」
新平絲が述べたこの状況に、皆は眉をひそめた。治療の天賦を持つ地球地区の時空傭兵である女性が尋ねた。「もし隠遁生活を選んだらどうですか?外部情報を受け取らなければ、この世界に巻き込まれないでしょう。」
李三祥は言った。「それは不可能だ。この世界の幽魂の機動性を考慮していない。この低質量で高エネルギーの形態は、一分間に十キロも漂移できる。想像もつかないような隅々まで、彼らは入り込める。そして我々人間は、日々の飲食や消費で残す痕跡が大きすぎるのだ。」
引きこもりは人間社会の中でのみ、食べ物はデリバリーで注文でき、飲み水は水道水があり、排泄は水洗トイレで済む。しかし人間社会から離れると、食べ物を狩猟で解決しようとすれば行動範囲が必要になる。包装された食べ物ならゴミを残す。包装されていなければ煙の痕跡を残す。
幸いこの時空傭兵は何も知らない引きこもり女ではなく、野外サバイバルの様々な手順を少し教えれば、彼女はたとえ野外に隠れても幽魂に見つかってしまうと理解した。
新平絲は続けて言った。「下水道や廃工場については、地球では人がいない場所かもしれないが、この世界では幽魂たちが陽光を避ける場所だ。今、これらの場所はとても賑やかだ。」
物質透過化の天賦を持つ地球区の時空傭兵が尋ねた。「私たちはどう対処すべきか?」
新平絲は首を振りながら言った。「この任務世界は違うんだ、周非。この世界は『人間浄化計画』の世界に似ている。我々を脅かすのは特定の人間や怪獣、犯罪組織ではなく、社会全体なんだ。」
『人間浄化計画』は、新平絲の最初の任務世界だった。その世界は非常に絶望的だった。他の世界では、怪獣が暴れているなら怪獣を倒せばいいし、幽霊や地球外生命体なら特定の標的を相手にすればいい。たとえ任務の危険源が犯罪組織であっても、その組織の首領を排除すれば、組織はかなり弱体化する。だが、この幽魂世界では、敵はあくまで社会全体だ。社会がこの段階まで発展してしまい、すべての人がここまでの発展の推進者となっている。時空傭兵が誰を殺しても無駄なのだ。
さて、いわゆる『人類粛清計画』シリーズ映画について、その第1作から第3作までのストーリーと背景は、孟位の前世の次元における作品と大同小異だ。世界観はアメリカで、毎年法律の管轄を受けない日が1日ある。この日は、失業率ゼロ、犯罪率ゼロ、社会は「調和」している。なぜなら、この日に発生した犯罪は一切起訴されないからだ。人々は街へ繰り出して殺戮と狂騒に明け暮れ、警察もこの日は法律を無視して、装甲車に乗り込み、重機関銃で、会社を名乗る実はマフィアの本拠地である犯罪組織の本部を掃射し、同時に街中のクズどもを一掃する。そして普通の人々は、普段はコツコツと働いて得た報酬で、自分を上限なく防護するのだ。
その日が過ぎ去ると、すべての社会矛盾は一時的に解放され、アメリカは高福祉の繁栄へと向かい続ける。第三部のプロットでは、女性大統領候補が殺戮の日の廃止を要求するが、保守派から報復を受ける。激しい戦いの末、彼女は生き延び、翌日の選挙で高得票を得て当選し、殺戮の日は廃止される。
これで終わりだと思うか? いくつかの次元ではこのプロットは完結するが、他の次元ではこのシリーズ映画は第五部で大団円を迎える。
これらの次元の『人類浄化計画』第四部は、つまり第三部の時間軸から十年後に当たる。殺戮日を廃止した本来の意図はよいもので、人間性の勝利であり、人々は皆安全を求めていた。しかし時が経つにつれ、社会矛盾は蓄積を続け、国家はなおも福祉政策を維持しており、多くの無業者は福祉を受給するだけでは満足できない。人間は決して満足しないため、ギャングが再び蔓延る。法定の殺戮日は廃止されたが、法律の制定はボタンを押せばすぐに効力を持つ機械のようなものではない。まるで中国全土で爆竹や花火の使用を禁止しても、国家の一紙の命令で即座に禁止できるわけではないのと同じだ。ある活動が風習となった時、法律は無効となる。社会矛盾の激化に伴い、人々は次第に殺戮日の刺激を思い出し、殺戮日当日には犯罪率が急増する。
しかしながら、政府の関与がなく、国が組織することを望まなかったため、この日の警察官たちは殺戮日が法的に廃止されたことを遵守せず、傍観する道を選んだ。なぜなら警察官たちは殺戮に積極的に関与するつもりはなかったからだ。かつて警察が殺戮日に参加してギャングを一掃した際には国から資金が支給され、警察官たちは良好な装備と高い給与を得ていた。しかし今や国は組織しなくなり、警察システムは社会で急増する犯罪に対して消極的で怠慢な状態にある。悪い政府は確かにひどいものだが、悪い政府が手を引いた後の無政府社会はさらにひどいのだ。
規制の欠如により、破壊欲に満ちた人々は元々1日の混乱を2日、さらに3日へと変えた。年月が経つにつれ、殺戮日は次第に殺戮週へと変わり、毎年、騒ぎすぎる都市は軍隊による鎮圧を必要とするようになった。第四部では、結末として主人公の勇敢な軍人が都市で軍隊の忠誠を得て、軍政を樹立した。
第五部は、第四部終了時点の20年後である。軍政が民政に権力を返還した後、2年間の統治を経て社会問題の解決が困難であることが判明し、結果として殺戮日が再び確定された。
人類の歴史とはまさにそういうものだ。社会問題が解決されなければ、真善美を抱えて前進することなど到底できない。いわゆる理想を頑なに実行しても、最終的には必ず輪廻へと向かい、過去に使われた手法を何度も拾い上げて問題に対処せざるを得なくなる。それらの過去の手法はひどいものであっても、先人が用いた以上、後人は問題を解決できずに繰り返し使うほかないのだ。これは戎星世界の毒蜂と同じで、屍や糞便からエネルギーを得る遺伝子の経験が一度あれば、たとえ後に足を洗っても、食料が乏しくなればやはり先祖返りしてしまう。
新平絲の最初の任務は、この異常なほど絶望的な世界で、二日間ずっと、人を殺して楽しむ狂人たちで溢れる社会から逃げ回ることだった。そして今の旭起星もまた同様で、危険は社会全体に根ざしている。危険を生み出す社会環境を、みんなで解決することなど不可能なのだ。
皆がこの世界で何をすべきか話し合っている間、盧安の心は李三祥がしまい込んだあの瓶に向けられていた。
この世界の意識の海に、盧安は非常に興味を抱いていた。
同じ頃、源城のある民家。アルコールの酔いによって、慕斯の心の憂鬱はいくらか和らいでいた。部門の助力で告発は免れたものの、彼の職務はやはり解かれていた。
呼び鈴が鳴り、慕斯は腰のリモコンに手をやる。玄関のドアが自動で開き、かつての上司が入り口に姿を現した。
彼の上司は慕斯を見て眉をひそめ、文具箱ほどの包みを彼の前に置いて言った。「三日後、出頭しなさい。」
慕斯は一瞬呆けた後、習慣的に立ち上がって敬礼をし、それから尋ねた。「長官、どこへ出頭すれば?」
その長官は言った。「資料にすべて書いてある、自分で見ろ。それから、風呂に入って、部門の安全エリアでしっかり眠れ。」
二つの時空傭兵チームの議論はすでに終わり、その後は自由行動となった。
盧安は街を歩いていた。ここの通行人はほとんどが足早で、互いに言葉を交わすことはない。人通りは多いが、言い表せないほどの重苦しさがあり、誰もが他人の注意を引きたくないようだった。
もちろん、すべての人がそうというわけではない。チップを埋め込まれていない青少年は非常に活発で、むしろ非常にいたずら好きだ。幽魂にとって、後頭部にチップを持たない者に侵入するのはあまりにも難しいため、これらの少年たちは思考侵入を心配する必要がないのだ。
しかし、これらの少年たちは少し明るすぎるようだ。「この世界には学校がない」と盧安は、8人の少年が隅にしゃがみ込んで風船を手にし、一人ずつ交互に吸いながら、お互いに楽しそうにへらへらと笑っているのを見た。盧安はこの世界のろくでもない自由を嘆かずにはいられなかった。
学校がないということは、束縛がないということだ。確かに、地球上の多くの学神や大物たちは詰め込み教育を受けておらず、自由放任の中で科学への興味をかき立てられたが、彼らのほとんどは農村、つまり純粋な環境で育った。彼らは少年時代に無邪気で天真爛漫であり、より高い確率で純粋な学習意欲を刺激されるのだ。
しかし、物欲が渦巻くこの都市では、社会のありとあらゆるものに触れることができる。制約がなければ、当然しつけも身につかなくなる。環境を無視して自由な教育を語るのは愚かしい。昔なら孟母三遷の教えがあったが、情報が発達した現代においては、盧安が考える唯一の方法は学校に通わせること、なおかつ未成年に対する物欲の蔓延の影響を遮断することだった。
しかし、社会の主流の見方は盧安とは異なっていた。亜酸化窒素を吸ってふわふわした少年たちは盧安を見つけると、互いにへらへら笑いながら何かを企て、それから次々と立ち上がって近づこうとした。ただ、立ち上がったとたん、誰もが腰が定まらず転倒してしまった。再び立ち上がったときには、盧安はもう遠くへ走り去っていた。
盧安は百メートル走のスピードで走り続けた。体内の高強度弾性導力脈絡の仕組みにより、盧安は疲れを感じなかった。一歩踏み出すたびに、足首への衝撃は導力脈絡によって緩衝され、もう一歩を踏み出すと、先ほどの足で圧縮された弾力が走る動きの中で解放されるのを感じた。ただし、副作用がないわけではなく、内臓が震動する過程で少し吐き気がした。導力脈絡はまだ精密でなく、運動エネルギーが弾性位置エネルギーに変換される過程が依然として激しすぎた。
こうして二時間走り続けた後、盧安は海辺の堤防に辿り着いた。沿岸の海水は非常に浅く、大量のコンブのような作物が湾全体を草原のような存在に変えていた。
そして盧安も自分の興味のあるものを見つけた。大量の藻類が集まり、海水中でまるで生き物のように群れを成して移動している。広い海面から見ると、藻類でできた虫のような小さな群れが、さらに海水中で大きな群れを形成し、まるで巨大な蛇のようにうねりながら、昆布の群落でできた草むらの中を縫うように進んでいる。
その後、盧安はある現象に気づいた。海の中には魚類がおらず、貝や小さなエビさえもいない。海洋動物の生命の息吹は、すべてこの藻類で構成された生き生きとした集合体に宿っているのだ。
「海は生きている…」盧安は思った。予行演習の中で、盧安は水中に飛び込み、海水の中の藻類に触れた。それらの藻類は指先を優しく柔らかく流れていった。
意識が統一へと向かう海藻と、混乱へと向かう人間の都市が、鮮やかな対比をなしている。
“この世界は、何かが私を待っているのだろうか?”盧安は元一に尋ねたが、返事はなかった。




