0010 争いの起因
朝の日差しを浴びながら、一匹の小型恐竜が小型哺乳類をくわえ、跳ね回りながら朝食を楽しもうとしている。
その時、飛来した矢に命中した。まだ口には鋭い歯が残っているが、鳥類へと進化しつつあるこの恐竜は、二度ほどもがき、死んだ。
大型恐竜の腱と弾力性のある木材で作られた弓は、尾羽を付けた矢を30メートル先まで射ることができる。この小さな恐竜は無邪気に地面の動物を捕まえていたが、盧安は63回のシミュレーションを繰り返し、ついに「カマキリがセミを捕らえ、スズメがその後ろにいる」状況を作り出した。1秒間に63回のシミュレーションで、盧安は機関銃のようにあらゆる細部で63本の矢を放ったかのようで、最終的に正しい姿勢を選び、一発でこの小さな恐竜の首を射抜いた。
この恐竜は死ぬまで、世の中に遠隔攻撃というものがあるとは思いもしなかった。盧安は死んだ恐竜を棒に縛り付けると、隊列の方へ歩いていった。
半時間後、盧安は木製の焼き網の上の戦利品を弄っていた。鋭い石片で焼き肉に深い切れ目を幾筋も入れ、それから元々ポテトチップスが入っていた包装袋を取り出すと、袋の中で粉末にした地衣類と苔を振りかけた。こうすることで味付けになり、タンパク質を摂取しながら塩分とビタミンも同時に摂れるのだ。
盧安は心地よく過ごしていたが、十数メートル先では、争いが絶えなかった。
今回の争いの発端は趙成功にあった。昨夜、趙成功は隊伍の中の女性会社員を茂みに引きずり込み強姦した。ホルモン分泌が旺盛な彼は徹底的に発散し、同時に隊伍内に大きな波紋を巻き起こした。
昨晩、盧安は予演を通じてこれらすべてを見ていたが、盧安は事件現場から離れることを選んだ。なぜなら、もし盧安が他人に知らせることを選べば、自身の安全が保障されず、趙成功から狙い撃ちの報復を受ける可能性があるからだ。あまりにも大きな代償のために、盧安は口を閉ざすことを選んだ。
この件は誰が正しく誰が間違っているかという問題ではまったくない。原始社会の生産力で脱工業化時代の道徳を維持するのは非常に骨の折れることだが、しかし隊の中にはそれを軽んじる者もいて、このチームの間にはまだそういう道徳があると考え、男性はきつい仕事をし、女性は軽い仕事をすべきだと思っている。そうした心構えを持つ者は必ず痛い目を見る。なぜなら現在の物質的条件はそのような道徳の実施を支えていないからだ。チーム全体は数十日間のぶつかり合いを経た後、矛盾は爆発寸前の段階にまで蓄積している。
司軒は趙成功を怒りに満ちた目で睨みつけて、「なぜこんなことをしたんだ!?」と言った。
趙成功は笑いながら言った。「毎日怪我の危険を冒して狩りをして、自分が享受すべきものを享受するのは間違っているのか?」
二人は一言も多く言わず、すぐに殴り合いを始めた。
最初に手を出したのは司軒で、彼は一拳を打ち込んだが、趙成功も腕力があり、その拳をかわした。二人は人々の叫び声の中で取っ組み合いになった。
李三祥は大声で叫んだ。「二人を引き離せ!」と言うが早いか、二人の間に割って入った。彼は二人からかなりの拳を食らい、同時に多くの人々がこの二人を抱きかかえて引き離そうとした。
一方、盧安は傍らで「やめろやめろ、食事だ」などと叫びながら、止めに入る素振りを何度も見せていた。
予演一、司軒を完全に助ける。盧安は鋭い矢を趙成功の大動脈に突き刺し、一撃で致命傷を与える。しかし血が噴き出した時、司軒の顔には驚きと忍びない表情が浮かび、趙成功を抱きかかえようとしていた一団は、盧安に対して怒りの目を向けた。
予演二、趙成功を完全に助ける。盧安は司軒に一撃必殺を仕掛け、趙成功は慌てふためき、他の者たちは警戒と備えの目で盧安を見た。盧安は、他の数人の女性の顔には大難が臨むような表情が浮かんでいるのを発見したが、ただ白露だけは淡々としていた。
予演四五六七、盧安は趙成功と司軒を抱きかかえる二つのグループを観察し、その中からある細部を発見した。あのタクシー運転手と他の数人は腕で趙成功の打撃を防いだが、司軒側は二人に抱えられて無理やり引き離された。
この小さな細部は、趙成功が誰かの意思を代表していることを意味する。この荒涼とした地帯では、危険がいたるところに潜み、法律も警察も存在しない。筋肉質で力のある男は自らの野性を解き放つ。趙成功があの女性会社員を標的にしたのは、彼女がまるで甘やかされたお嬢様のように、いつも他人に仕事を押し付け、誰かに世話をしてもらおうとするからだ。「働きたくないなら、お前を犯してやる」、これが趙成功の本音であり、あの男たちの本音でもある。
司軒が皆の支持を得られない理由は、彼がチーム内の不安定要素を見落としていたからだ。彼と言藝はここ数日、いちゃつき合っており、どうやら恋愛関係にあるようだ。数日前、李三祥は遠回しに司軒と言藝に距離を置くようほのめかしたが、司軒は聞き入れなかった。趙成功が女の会社員を欲求不満のはけ口にしたのには、一部司軒に責任があるが、彼自身もそれに気づいていなかった。もし司軒がすべての女性に近づかず、各女性に割り当てる労働を厳しく重くしていれば、皆の気持ちは落ち着き、一人ひとりに役割があることを意識し、生き残るために一線を越えようとはしなかっただろう。
盧安は確かに可能な限り司軒を助けたいと考えていた。何しろ、慈悲深く人情味のあるリーダーは非常に好ましい。元一空間で課された任務に従えば、いずれ全員現代に戻らねばならず、一生野蛮人のような生活を送るわけにはいかない。しかし、今の盧安には助ける勇気がない。中途半端に助けて、司軒が趙成功を抑え込むのを手助けするだけなら、趙成功に少しでも頭があれば、真っ先に司軒の協力者を排除しようとするだろう。しかも趙成功はチーム内の風潮を代表しており、多くの男たちが好き放題に振る舞いたがっている。だが、もし盧安が徹底的に助け、一気に趙成功を殺したとしても、事前のシミュレーションで盧安は気づいていた。司軒は不憫に思う様子を見せても、自身の権威を守る絶対的な態度も、味方を守る姿勢も示さなければ、盧安自身が不義の立場に陥り、チームの攻撃の矛先は自分へと向けられるだろう。
一方、司軒を殺す予行演習については、盧安は即座に否定した。中国の歴史において、大多数の農民蜂起は封建王朝に面倒をもたらしたに過ぎず、封建王朝に大打撃を与えた農民蜂起はごくわずかである。そして、王朝を打倒し皇位を奪取することに成功した農民蜂起は、必ず地方の大勢力の支持があった。自分には隊伍の指導権を握る術もないのに、司軒を殺して何の得があるというのか?むしろ、やや気弱な性格の指導者であれば、隊伍内の野蛮さをいくらか抑えられる。もし司軒のような穏健派が死に、もう一方の派閥が勢いづけば、以降の隊伍の規則は間違いなく残虐な方向へと進んでいくだろう。
盧安はまた、二人の中央で拳を受けている李三祥にも気づいた。盧安はため息をついた。全員の中で、この男の心の内が最も読みにくい。
もし最初にあの長刀が李三祥の前に落とされていたなら、おそらく隊伍は安定していただろう。なぜなら、盧安は彼から上位者の気質——リーダーの気質を見て取れたからだ。だから盧安は、李三祥が厳格で賞罰が明確なルールを策定し維持できると確信していた。もし李三祥が刀を掌握していたら、おそらく人々を脅して働かせると同時に、最も働ける者を抱き込み、決してここで仲裁者を務めたりはしなかっただろう。
風波はすぐに終わった。チーム全体は非常に静かで、一日中、皆が黙ってキャンプに座っていた。かがり火が三つ焚かれ、わずか十数人のチームでありながら、それぞれが思惑を抱える場面が現れたのだ。
この雰囲気の中では、皆が狩りに出る気持ちになれず、まるで子どもがすねているかのように、相手が折れて自分の考えを認めさせるのを待っていた。
この場面を見て、盧安は弓矢を手に取り、森に向かって歩き出した。盧安が去ろうとしているのを見て、李三祥は盧安を呼び止め、叱責した。「何をしに行くんだ?」
盧安は振り返りながら言った。「地衣類や苔を少し採りに行くんだ。」
李三祥は命令した。「戻れ!一人で出かけるのは危険だ。明日、俺が一緒に行ってやる。今は余計なことをするな、ここにいろ。」
李三祥の表情を見て、盧安は黙ってその場に座った。
夜になる。
皆が眠りについた時、特に司軒が胸に抱いた刀を握りしめて目を閉じた時、盧安は李三祥が司軒の恋人言藝と地面の砂の上で何かを書いているように見えた。
盧安が予行演習で歩いてくるたびに、彼らはいつも素早く砂地の字を消し去った。しかし、言藝の表情からすると、この女子大生はかなり葛藤しているように見え、時々司軒を見つめながら、最終的には決心したようだ。
現実では、李三祥はそれを見て、地面の内容を消し、それからジャオ・チョンゴンの方へ歩いていった。
昼間から今まで、李三祥はずっとジャオ・チョンゴンを諭している様子だったが、2時間後にようやく盧安は李三祥がそうする目的を理解した。
李三祥は趙成功を説得しているように見えるが、実際には他の人が趙成功のもとへ秘密裡に連絡しに来るのを阻止しているのだ。彼と同じ立場の数人の男と趙成功がたき火のそばに集まり、まずいくつかの下ネタを話し、それから皆が同士であることを確認すれば、結束し、隊の中で最大の勢力が結集し始める。その時になれば、司軒が長刀を持っていても、数本の竹槍の同時突きを防ぐのは難しいだろう。
李三祥が趙成功のそばにいるというこの手段は非常に巧妙で、彼のこの操作によって、そのような小さな集まりが開かれる機会をなくしつつ、説得の役割も果たしている。
李三祥が去った後、盧安はすぐに言藝のもとへ走り寄り、やや心配そうな口調で尋ねた。「言お姉さん、明日、みんなで狩りはできますか。」
言藝はうつむく盧安を見て、無理に笑って言った。「安心して、数日すれば良くなるから。」
しかし、彼女は知らなかった、盧安には回溯があったことを。
現在の盧安の限界は約二十四秒前の場面を回溯できる。彼はついに地面の字をはっきり読めた。「早く手を出せ、今チームが非常に不安定だ。もし少しでも遅れたら、でかい奴(司軒を指す)が大変なことになる。」これが最後の文のはずだ
言藝が書いたのは。「本当にそうするのか?」これが最後から二番目の文のはずだ。
最後から三番目の文については、盧安は半分しか回溯できなかった。「これらの人を殺せ。」その殺の字は半分しか書かれていなかった。
李三祥が最後から三番目の文を書くために書き込みスペースを空けるために平らにならした砂地の大きさから判断すると、その上には複数の人の名前があったはずだ。
言藝に慰められたふりをして、盧安は立ち去った。立ち去る前に、盧安はさらに十三回の予演を発動して以下のシーンをシミュレートした。
シーン1、盧安は立ち上がった後、突然言藝に尋ねた。「姉さん、私を殺そうとしているのか?」言藝の反応は、直接盧安を引きずり下ろし、両手で盧安の腕をしっかりと掴み、顔に慌てた表情を浮かべた。
シーン2、盧安は立ち上がった後、同様に突然尋ねた。「姉さん、趙成功を殺そうとしているのか?」言藝の反応は似ていた。
何度もリハーサルを繰り返した後、盧安は、他の結果とは異なる二つのシーンを発見した。この二つのシーンで、言藝は急に顔色を変え、低く唸った。「でたらめを言うな。」
盧安は自分の席に戻り、深呼吸をして、ゆっくりと目を閉じた。「ついに、なぜ人類に戦争があるのかが分かった。」




