↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無窮重阻  作者: 核动力战列舰
PR
119/543

0117 畏怖

「シュッ」という音とともに、腕の振りが風切り音を巻き起こし、それはまるで満弦の床弩(大型クロスボウ)が突然放たれたかのようだった。手刀の形をした手のひらは、傍らのレンガの壁に容赦なく突き刺さり、手のひらからは塵や破片が噴き出した。


 腕内部の高弾性導力脈絡が、弾性エネルギーを解放する。無阻膜に完全に包まれた掌全体が、重剣のように煉瓦の壁に激しく打ち込まれた。


 しかし、予行演習の中でこれらをやり終えると、盧安(ルー・アン)は違和感を覚えた。これほどの強大な力を爆発させることに成功したものの、強力な遠心力によって血液が皮膚を突き破りそうになるのを感じたのだ。そして衝突時には、衝撃力が無阻膜全体を均等に圧迫し、上半身全体にその圧迫感が伝わり、まるで一気に七八メートルの深水に潜ったかのようだった。


「腕を振る際の指先の速度は毎秒三十メートルに達し、限界は四十メートルまで達するが、血液の慣性によって毛細血管が破裂するだろう……」盧安(ルー・アン)は予行演習の試験に評価を下した。


 理論的には、しゃがみ続けたり腕の筋肉を伸ばし続けることで、筋肉に付随する導力脈絡に、1トンの物体を2メートル持ち上げるほどの巨大な力を蓄えることができる——それはまるで体のあちこちに床弩の弦を張るようなものだ。弓の弦を空打ちすると、その反動に秘められた巨大な力で後ろの人の皮膚が裂け肉が飛び散る。同じ理屈で、盧安(ルー・アン)も導力脈絡の弾性解放には細心の注意を払わなければならない。盧安(ルー・アン)が腕をただやみくもに振り回すだけでも、それは弓の弦の空打ちに等しく、腕の血液が巨大な加速度によって外へと流出してしまうのだ。


 毎秒三十メートルという速度は決して低くない。弾丸の初速は毎秒数百メートルだが、弾丸の質量はわずか数グラムだ。もし盧安(ルー・アン)が二百グラムの石を毎秒三十メートルの速度で投げつけたとしたら、たとえその石に無阻膜を施さなくても、運動エネルギーの公式で計算すれば、その殺傷力は弾丸に劣らないことが分かる。無阻膜を加えれば、装甲車の鋼板もガラスのように粉々に打ち砕かれるだろう。


 導力脈絡は確かに盧安(ルー・アン)を失望させなかった。蓄力は非常に簡単なことで、人が7階まで上がれば、自分を完全に死に至らしめるほどのエネルギーを蓄積できる。したがって、自分の小さな体がそれに耐えられるかどうかが、今直面している主な問題である。今のところ、せいぜい9メートルの高さから飛び降りることしかできず、この高さを超えると、骨は耐えられても内臓が耐えられず、ひとたび位置がずれれば内傷を負うことになる。元一(ユエン・イー)空間の武術天賦の修練方式に従えば、功法は筋骨から皮膚や肉へ、さらに内臓へと修練されて初めて大成とされる。つまり、盧安(ルー・アン)の導力脈絡はさらなる構築が待たれる状態なのだ。内臓を支える微細な部分一つ一つがずれない程度に構築されてこそ、数十メートルの高さから飛び降りる安全が保障されるのである。


「これは私だけの壮挙だ」盧安(ルー・アン)は心の中で思った。「これは私の身体の『鉄道』だ」


 盧安(ルー・アン)の導力脈絡は今はまだ数本の線しかなく、体全体の各組織に導力することはできないが、将来的にはますます密集し、自分の身体を支えるネットワークになる。これで体の各細胞組織に対して力を緩衝できるようになり、安全に爆発できる瞬間的な出力は大型トラックのような高出力機械の出力に匹敵するだろう。


 努力の積み重ねが目に見えるようになると、盧安(ルー・アン)は自分の忍耐が効果を発揮していると感じ、より大きな忍耐を投入した。いわば、盧安(ルー・アン)は没頭状態に陥り、他のことにはあまり関心を持たなくなった。


 メインワールド、北方龍部(リュウブ)。


 姬流(キ・リュウ)のオフィスには灯りがついておらず、オフィス中央の青色の投影に盧安(ルー・アン)の一つひとつの資料が表示されている。


 姬流(キ・リュウ)は一つ一つクリックし、資料庫を閲覧していった。一分後、姬流(キ・リュウ)は照明をつけ、そばにいた潘陽(パン・ヤン)に尋ねた。「彼がもうレベル4に達したって、本当に確かなのか?」


「名目上、彼の超能力は広範囲抵抗低減だ。しかし四ヶ月前、私が精神侵入を行った際に感じたのは、彼の超能力が高度に集中し、緻密で強靭な障壁を形成して私の精神侵入を阻害できるということだった。集約基準に照らして判断すれば、あの時点で彼の超能力はレベル4でなくとも、レベル3のピークに達していたはずだ。」潘陽(パン・ヤン)は言った。「泥鰍(ドジョウ)プロジェクトの最新データによると、彼の超能力が生み出す抵抗低減の面積はますます拡大している。これほど広範囲の抵抗低減超能力が高度に集約できるなら、その効果は間違いなくレベル4だ。」


 姬流(キ・リュウ)は盧安(ルー・アン)の写真を見つめた。「聞いた話だと、彼の超能力育成は極めて保守的で、各種実験はほとんど力の向上を追求していなかったという。それなのに、なぜ彼の超能力はそこまで急速に成長できたんだ?」


「泥鰍(ドジョウ)プロジェクト全体において、彼は実験者でありながら中核的な意思決定者でもある。彼は自身の超能力の感覚を極めて細かく感じ取り、それを実験中の機器が測定したデータと比較し、あらゆる細かな問題を余すことなく掘り起こすことができる。だからこそ、実験では意思決定が非常に保守的でリスクを冒さなかったが、毎回の実験で価値ある実験データを多く得ることができた。彼は非常に努力している。」


 姬流(キ・リュウ)はうなずいた。「そうだ、努力もまた一つの才能だ。まだ14歳であれほど細やかで我慢強い。最新の報告では、三十歳の成長が終わるまでに五級に昇格する可能性が3割あるという。」


 五級という言葉を聞いて、潘陽(パン・ヤン)は少し驚いたが、すぐに沈黙した。盧安(ルー・アン)には確かに五級の資質がある。少なくとも引力場振動装置の中では、盧安(ルー・アン)の超能力は五級レベルで発揮され、それは食事や水を飲むのと同じくらい簡単なことになっている。泥鰍(ドジョウ)プロジェクトの多くの研究員は、盧安(ルー・アン)と本物の五級との差は紙一重だとさえ考えている。実験の歩みをもう少し大きく踏み出し、鍵となるデータを見つければ、一夜にして飛躍する可能性が極めて高い。そして、このような大胆な発言は、盧安(ルー・アン)によって「実験の理論的根拠がない」という理由ででたらめだと一蹴された。


 姬流(キ・リュウ)は潘陽(パン・ヤン)を見て尋ねた。「彼の心は、本当に隙がないのか?」


 潘陽(パン・ヤン)は苦笑して首を振った。「彼からは、無欲則剛という成語しか読み取れない。私は彼の欲望を掴めず、攻撃する隙を見つけられない。」


 実は、潘陽(パン・ヤン)にはまだ姬流(キ・リュウ)に話していないことがある。彼は盧安(ルー・アン)と会っているとき、常に覗かれているように感じていた。その感覚は非常に強烈で、なぜなら潘陽(パン・ヤン)は自分が一度も盧安(ルー・アン)と議論を呼ぶような話題を出していないのに、毎回盧安(ルー・アン)の様子はまるで互いの意見が完全に一致しているかのようだったからだ。しかし、人の心の様々な差を見抜く心霊系の超能力者として、潘陽(パン・ヤン)はこれは正常な現象ではないと考えている。


「今回、盧家(ルー・ジア)の使者が来たが、彼らがこの泥鰍(ドジョウ)を捕まえる可能性はどれくらいだと思う?」


 潘陽(パン・ヤン)は答えた。「私の見方では、一割もありません。」


「ほう?話してみてくれ。」


「鶏口となるも牛後となるなかれ。彼はここでは自由な超能者で、五級の価値があり、五級に昇級する可能性が非常に高い。なんと天に恵まれていることか。盧家(ルー・ジア)に入れば、表面的には盧家(ルー・ジア)の嫡系という後ろ盾を得るが、大げさで役に立たない。しかも彼が盧家(ルー・ジア)に入れば、盧家(ルー・ジア)の連中がどんなに彼を洗い清めようとしても、私生児である事実を拭い去ることはできない。盧家(ルー・ジア)からの恩恵を受けるたびに、施しを受けたという話の種がついて回る。利益は大きそうに見えるが、非常に見苦しい。もし私が彼なら……」潘陽(パン・ヤン)は笑いながら続けた。「私はむしろ盛家(シェン・ジャー)の婿養子になる。一族に頭を抑えつけられるよりはましだ。」


 姬流(キ・リュウ)は尋ねた。「婿養子……そんなことが可能なのか?」


 潘陽(パン・ヤン)は首を振って言った。「これが私が彼を理解できないところだ。彼はすでに自分を虎部(フー・ブー)に縛り付けているのに、さらに一歩進もうとしない。」


「虎部(フー・ブー)に縛られているって? 必ずしもそうとは限らないよ。彼は一度たりともどちらの権力中枢にも入ったことはないし、どちらに対しても自らの背中を預けたことはない。」


 潘陽(パン・ヤン)は一瞬驚いて。「つまり……」


 姬流(キ・リュウ)は笑いながら言った。「せっかくメンタル系の才能を持っているのに、それに頼りすぎているんだよ。その才能が使えなくなると、当の本人が一番わかっていない状態になってしまう。」


 潘陽(パン・ヤン)が困惑した顔をすると、姬流(キ・リュウ)は説明した。「彼は戦闘時の状態を決して露わにしたことがない。あらゆる測定において、彼の超能力の真の使い方を反映することはできない。誰も彼が全力を出した時、どんな破壊力を見せるのか知らないんだ。」


「そしてこうした超能力者と付き合うには、いかなる組織も最悪の事態を想定しなければならない。彼が今、虎部(フー・ブー)と不即不離で極めて淡白な関係を保っているのは、一方で彼の距離感の取り方が非常に適切だからだが、もう一方では、誰も彼と決裂した場合の最悪の結果がどうなるか分からないからだ」


 潘陽(パン・ヤン)ははっと悟った。これまで盧安(ルー・アン)は超能力をほとんど使わず、口を動かす回数の方が超能力を使う回数よりも多く、そのため潘陽(パン・ヤン)は盧安(ルー・アン)が四級物理系の超能力者であることさえ忘れかけていた。4・23事件の恐るべき破壊力も、時に無頼を好むこの14歳の少年が引き起こしたものだということを、すっかり見落としていたのだ。


 姬流(キ・リュウ)は画面をタップすると、画面に暗号化された資料が表示された。それは機甲の写真だ。写真を見る限り、機甲全体に深刻な損傷は見られないが、写真を拡大すると、重要な配線が切れているのがわかる。まるで刃物で切断されたかのように滑らかだ。


 姬流(キ・リュウ)がもう一つの動画を再生した。動画の中では、怒り狂った盧安(ルー・アン)がアルコールの瓶を持ち、スーツを着た老人に酒を無理やり飲ませている様子が映っている。機甲を装着した老人はまったく抵抗できなかった。


 姬流(キ・リュウ)は淡々と言った。「これがその機甲だ。この動画を我々は何百回も繰り返し再生し、すべてのフレームを調べたが、彼が具体的にどのようにして厚い装甲越しに、巧妙にもパワードスーツ内部の重要な配線を切断したのかは、いまだに発見できていない。」


 潘陽(パン・ヤン)は動画で極度に怒っている様子の盧安(ルー・アン)を見て言った。「つまり、彼はこんなに怒っているように見えて、全く我慢できないように見えるけど、実際には高度な自制を保っているんだ。」


「そうだろう、だからこのおじいさんは胃洗浄に行ったんであって、死体安置所じゃないんだ。彼はね、年はたったの十四歳だけど、自分の行動をとてもよくコントロールできるんだ。」


 そう言うと、姬流(キ・リュウ)は心の中で密かに思った。「こうやって氷山の一角だけを見せることが、一番人に用心深くさせるんだ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。