0115 飛ぶ者は鳥にあらず、潜る者は魚にあらず
元一空間内で、盧安はカウントダウンを見た。
一年の準備期間のうち、すでに四か月が経過した。メインワールドでは、盧安は世界を席巻してはいないが、自らを守り通し、数々の貪欲な視線を遮り、悪意ある考えを盧安が自ら定めた一線の外に止めた。つまり、他人をいじめない時は他人からもいじめられず、他人のルールに従う時は他人もルールを越えて自分を侵害しないようにできるということだ。
盧安は無敵を成し遂げた。
メインワールドでは、多くの人が無敵の基準を、敵対者が一人もいないほど強大で、一人で全世界を統治することだと定めている。このような無敵は実現不可能だ。人類が工業文明に突入し、地球生命史上最強の種となっても、この無敵を成し遂げることはできない。南極には長期定住できず、水深五〇〇〇メートル以下の深海にはわずかに潜れるだけで、そこの動物たちは相変わらず悠々と暮らしている。
盧安は無敵を実現した。誰も盧安を敵と見なさず、これ以上対抗しようとする者もいない。計画を立てる際にも、人々は盧安の利益を考慮し、一部の計画では妥協して盧安の意見を十分に取り入れた。
この無敵は、盧安が自ら選んだものだ。世間が認める無敵は世界の富を手に入れるが、無数の挑戦者との内部消耗に陥る。一方、盧安の無敵が手に入れたのは時間だ。対立や敵との駆け引きが減れば、自分のことにじっくり時間を使える。
元一空間内では、通りは賑わっているが、両側の高層ビルエリアは長い間誰も出入りしていない。
元一内の高層ビルに誰も出入りしていないと判断するのは、玄関の埃を見てのことではない——元一の空間内は毎日塵ひとつない。盧安は、誰かが遠慮なくビルの入り口のドアに放尿し、地面には数時間前に捨てられた残飯があったのを見た。ここは貴族の縄張りの入口で、普段なら絶対に誰もそんなことをする勇気はなかった。今このような行為が起きているのは、貴族の足取りがここではほとんど見られなくなった証拠だ。人々は貴族に支配される恐怖を忘れかけている。
「元一がこれほど皆を自由にさせてリラックスさせるなんて、何を狙っているんだ?」と盧安は自問した。元一が皆の疲れを見かねて、一年の長期休暇を与えてリラックスさせ、メリハリをつけるためだなんて、盧安は絶対に信じなかった。元一はどう見ても良い上司には見えない。盧安はむしろ、元一が誰かを解雇したいのだと信じたかった。
隅で横になっている酔っ払いを避けて、盧安は図書館に入り、20功勲ポイントで予約した専用ルームに入った。
部屋に入ると、盧安はプロジェクターの電源を入れた。その装置には人体の各血管、靭帯、骨格、そして筋肉と靭帯の付着点が投影され、その横には盧安自身が記録したノートが置かれていた。
ノートには、真気が体の各部位を流れ、筋肉を刺激したり、筋肉に代わって力を爆発させたりする様子が詳細に記録されている。データベースのさまざまな説明から見ると、真気はより柔軟な流体のネットワークのように全身に分布し、神経系に制御され、必要なときに爆発して体に強力な力を与える。
盧安は武侠の才能を交換しておらず、武侠の世界で真気の力を得てもいないが、それでも盧安は真気という現象を詳細に記録した。そして四ヶ月の間に、盧安は武侠の真気の運行方法を参考にして、身体の各所の筋肉の力に対して力の誘導を試みた。
例を挙げる。狭義の銃器が弾丸を発射するのは、火薬が金属管の中で爆発して高温高圧のガスを発生させ、金属管内の弾丸を高速で運動させる方式だ。一方、広義には、弾丸を人を殺傷できる程度まで加速できるなら、銃身が鉄であれプラスチックであれ、推進工質が火薬であれ圧縮空気であれ、あるいは電磁力であれ、さらには発射するものが弾丸ではなく光子や電子などの物質であっても、銃と呼ぶことができる。
そのため、湯宏康が新しく出現した超能力をこれほど多くの用法で使いこなしたとき、盧安は大胆なアイデアを思いついた。それは、無阻超能力から新たな用法を開発し、自分の身体の中で力の伝導を果たすことだ。人体の靭帯は、まさに筋肉の力を伝導して運動を行うためのものだ。しかし靭帯は固定されており、いくつかの動作の力しか伝導できず、盧安は体内の力を柔軟に呼び出したいのである。
今、盧安の防御力は非常に強力だ。もし一つの弾丸が無阻膜で覆われた空気に直撃したと仮定すると、弾丸は粉々になり無阻膜の上で四方に滑り、後ろの空気は一つの弾丸の打撃を受けるに等しい。
もし数万倍にスローダウンして観察すると、弾丸の機械的エネルギーの全伝達過程は、弾丸の先端部から、無抵抗膜内の物質全体へ、そして無抵抗膜後方の空気全体へと伝わることがわかる。これは、無抵抗場内の物質が超流動性を持ち、機械力の伝達速度が超流動体中の音速であり、この速度は通常の流動体中の音速をはるかに上回るためである。こうして、弾丸先端部の運動エネルギーは極めて速やかに後方へと導かれ、弾丸の他の部分は先端部に衝突し、弾丸は残りの運動エネルギーを抱えたまま、粉々に砕け散るのだ。
これは無抵抗膜を体外に配置した場合だが、では体内に配置した場合はどうなるのか?
導力効果を実現できれば、例えば弓に弦を張る時に、両腕の引く力は両腕の筋肉の伸縮だけでなく、太ももの力も加えることができる。例えば、7、8メートルの高さから飛び降りた時に、運動エネルギーが直接太ももに作用するのではなく、導力できる脈絡のようなものに作用したらどうだろう?先に述べた弾丸が第三の過程で発生しなければ、弾丸の機械エネルギーは無抵抗膜内の物質全体にこだまするだろう。この特性を利用すれば、飛び降りるエネルギーを弾性位置エネルギーとして蓄え、必要な時に放出することができる。例えば、地面に飛び降りた後、再び跳躍する時に、一気に7、8メートルも跳ぶ偉業を達成できる。
図書館の資料では、いくつかの力が運用方法を変えることで、例えば魔法エネルギーをより不活性にして、爆発を穏やかにすれば、真気としても使え、武俠のさまざまな動作を成し遂げられると紹介されている。
しかし、魔法エネルギーの爆発はやはりあまりに激しい。真気と比べると、魔法は爆薬のようなものだ。爆薬が提供する力は制御不能で一時的だが、油圧プレスが提供する力は安定して制御可能だ。真気と魔法の使い方を入れ替えようと試みる者はほとんどいない。何しろ真気と魔法の属性は異なるからだ。真気は元来、その安定性ゆえに体内で運用するのに自然に適したエネルギーである。一方で魔法は比較的暴力的で、もし放出の度合いを誤れば、軽ければ血管破裂、重ければ大出血だ。これはあまりにも危険で刺激的すぎる。だから、交換は理論上可能だが、面倒で必要もない。
盧安はもともと魔法や真気で何かと入れ替えるものはなく、今は無抵抗膜を体内に配置しようとして、力を導く効果を得ようとしている。しかし喜びと憂いが相半ばし、喜ばしいのは実行可能で、しかも力を導く効果が非常に良いことだが、憂いなのは、配置を誤るとかなりの弊害があることだ。
最初、盧安は感覚に頼って体内に無阻膜を配置したが、運動する時に、これらの導力作用を生む無阻膜は筋肉の伸縮の過程で、刃物のように体内の筋肉組織を食い違わせてしまう。
通常は、体内の各組織が互いに接着しており、それによって各器官が固定されているが、もし無阻膜の配置が不合格だと、この接着を破壊してしまう。激しく運動する時に、これらの不規則な無阻膜は自分の体組織を食い違わせる。これは、盧安が今体内に導力経絡として配置している無阻膜が粗すぎるからだ。導力経絡と筋肉の発力方向が一致しなければ、切り傷が生じ、発力方向が一致すれば、経絡は巨大なバネのように筋肉のエネルギーを蓄え、必要な時に激しく放出できる。
そこで、元一空間内の優れた医療手段を頼りに、盧安はX線照射装置とミクロンレベルの細い糸を使い、筋肉組織に少しずつ刺し込み、筋肉組織の配置に基づいて力の脈絡を導こうとした。
全過程は非常に遅い。一本一本の無阻膜を少しずつ配置し、様々な激しい運動を通じて調整する必要がある。盧安はまず四肢の主要部分を大まかに配置し、それから全ての大腿筋のエネルギー蓄積脈絡を配置した。
この4ヶ月間、盧安はこれに忙しく、最も重要なのは腰部をつなぐことだ。現在、盧安はまだ完成していないが、一度完成すれば、全身の脈絡がつながり、四肢の運動エネルギーが弾力に変換され、全身の各筋肉組織で体系的に放出される。自動車を追い越し、鼎を軽々と持ち上げ、城壁を飛び越えることができる。
盧安の攻撃力、防御力、予測力は既に非常に強い。今の段階で盧安に欠けているものと言えば、唯一の短所は機動力だ。
だから、過程がどんなに複雑で、どれほどの忍耐と細心さが必要であっても、盧安はそれをやるつもりだ。そして、このようなことは、第一類の予演の自分だけができ、第二類の予演の自分はやりたがらない。第二類の予演が伝えるのは放棄の衝動だ。
盧安の頭には汗が滲み、腕からは血と汗が滴り落ちる。滑らかな医療用金属線が心臓血管を通り、筋肉の隙間に沿って少しずつ前進している。
一時間後、盧安は左腕の筋肉組織の連絡を完了した。盧安はカウントダウンを見て、独り言を言った。「私に残された時間は少ない。八か月で、必ず上肢と下肢の導力接続を打通する!」
盧安は光幕を開けた。そこには、盧安がこれまでに六万の功勲ポイントを消費したと表示されており、その大部分は医療用だ。
その時、盧安は自分の連絡先を確認した。数件の不在着信があり、ほとんどが見知らぬ団体からの通信で、その多くは射術の学習交流を名目にしていた。盧安はこうした交流通信を一瞥しただけで無視した。なぜこのような団体が自分を見つけ出すのか?盧安はその理由をよくわかっている。自分が露出した能力の中で、弓矢の射術は非常に注目を集めていたのだ。盧安はこれらの通信リクエスーートーを無視し、すべてごみ箱に入れた。
盧安は李三祥の通信を開き、「無阻超能の運用方法を細分化している」とメッセージを残した。するとその時、李三祥から通信が入ってきた。
盧安が光幕を開けると、李三祥が言った。「盧安……たった今、ある情報を手に入れたんだ。」




