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チャレンジ

 僕は、開けた場所に止まる。

 今回は、休憩というより、息抜きだ。


 さて、もう頂上が近い。

 その前に何かしておきたい。


 やりたいこと………………それはパワーアップだ。

 実際、パワーアップしなくてもいい。

 何か、しておきたい。

 例えば、アチーブメントを達成したりとかだ。

 現在、達成しているものは、〔風の申し子〕と〔紙一重〕の二つのみであと一つくらいは、達成しておきたい。

 問題は、その条件が一切不明なことだ。


 だが、ゲームに近いこの世界のことだ。

 予想はつく。

 例えば、何かを100回繰り返すとかだ。

 100。

 切りのいい数字だ。

 この世界ならば、あり得る。


 ここまで解れば、あとは試し続ければいい。

 手始めに魔法を100発放とうとするが、気が付く。

 もし、この条件ならば、おそらくアースリザードとの戦闘で達成できていることを思い出す。

 それぐらい撃ったのだ。


 他だと100回、回復を使用する。

 僕に回復能力はない。

 ビックスライムが【再生】を持っていたから獲得はできるだろうが、未だ不明だ。

 便利そうだし、かなり欲しい。

 【再生】については置いておいて、また今度だ。


 僕は、他にも考えた。

 魔物を100体倒す。

 100回、『竜砲(ドラゴンブラスター)』を撃つ。

 100種のスキル獲得。

 etc.


 考えた末にたどり着いた条件。

 何より、実行が容易に可能なもの。

 それは、100回の【解析】だ。


 どうだ。

 いい線をいっていると思う。

 自信が十分にある。


 そして、何を対象にするのかというと、自分だ。

 自分自身。

 考えている時、自分の手が目に入ったことで思いついた。


 思い至ったらすぐ行動だ。

 僕は、自身に【解析】を使い始めた。


 ◆ ◆ ◆ ◆


 ・ステータス・

 名前「なし」

 種族「小竜(スモールドラゴン)

 EXスキル・【飛行補助】【考察】【解析】【空流感知】【落下加速】

      【衝撃耐性】【恐怖耐性】【落下耐性】【痛覚耐性】【溶解耐性】

 固有能力(ユニークスキル)・【風使い】【回避】【ドラゴン

 達成・〔風の申し子〕〔紙一重〕

 状態・退屈



 さて、やっと半分まで到達した。

 計50回。

 自身のステータスをその回数確認した。

 人間というのは、意味のない作業を繰り返すと精神が崩壊するそうだが、それはドラゴンでも変わらないようだ。

 本当に退屈だ。


 30回目くらいで本当にこんなアチーブメントあるのか? と疑問に思った。

 それでも続ける。

 仮にないとしても達成感が欲しい。

 それぐらいないと割に合わない。


 僕は、継続して続けた。


 ◆ ◆ ◆ ◆


 96回目。

 あと少し。


 97回目。

 あと少しだ。


 98回目。

 もう目の前なんだ。


 99回目。

 僕の苦行がついに報われる。

 確実にある保証なんてどこにもないが、あるという確信がある。


 そして、僕は記念すべき100回目。

 達成した。

 この目標を達成したのだ。

 表示されているのは、今までと変わらないステータスだ。

 しかし、特別なものに見えるほどに謎の達成感がある。

 僕は、今まで二度聞いたアチーブメント達成のアナウンスを待った。


〈シークレットアチーブメント〔汝を知れ〕を達成しました〉



 それは、普段と少し違うアナウンスだった。

 アチーブメントではなく、シークレットアチーブメント。

 何やら凄そうな響きだ。

 こういう時は、ステータスの確認だ。

 せっかくだから、【解析】で確認しよう。


 ・ステータス・

 名前「なし」

 種族「小竜(スモールドラゴン)

 EXスキル・【飛行補助】【空流感知】【落下加速】【衝撃耐性】

      【恐怖耐性】【落下耐性】【痛覚耐性】【溶解耐性】

 固有能力(ユニークスキル)・【風使い】【回避】【ドラゴン

 逸脱能力(アノマリースキル)・【哲学の父(ソクラテス)

 達成・〔風の申し子〕〔紙一重〕〔汝を知れ〕

 状態・良好



 新たな項目が増えている。

 それにEXスキル【解析】【考察】が消えている。

 まずは、達成したものの確認だ。

 僕は、シークレットアチーブメントを調べる。


 シークレットアチーブメント〔汝を知れ〕

 達成条件・自身に【解析】を100回使用する。

 報酬・【哲学の父(ソクラテス)



 アチーブメントと同じように表示されていて、違いが解らない。

 用語の確認でもできればいいのだが………………


 シークレットアチーブメント

 説明・世界においてたった一人しか達成することができないアチーブメント。



 何故か表示された。

 こんなこと前までは、できなかったというのに。

 気になることは、あるが新たなスキルを確認する。

 あのまりいスキルというらしい。


 逸脱能力(アノマリースキル)哲学の父(ソクラテス)

 機能

 『解析』:情報を開示させる。

 『無知の知』:解析の可能な対象の範囲を拡張する。

 『並列思考』:並列した思考が可能になる。



 結果は、固有能力(ユニークスキル)と似ていた。

 先ほどの情報開示も『解析』の効果だったらしい。

 これは、最高だ。

 ゲーム用語が検索できるのだ。

 仕様を深く理解できる。


 この際だ。

 疑問点を解消しておこう。

 僕は、用語を『解析』し始めた。


 ◆ ◆ ◆ ◆


 ふむ、いろいろ解ってきた。

 スキルは、下から三種類あり、EXスキル、固有能力(ユニークスキル)逸脱能力(アノマリースキル)だ。

 EXスキルは、熟練度をためるかアチーブメントを達成することで獲得できる。

 固有能力(ユニークスキル)は、アチーブメントの報酬で獲得できる。

 最後に逸脱能力(アノマリースキル)だが、これはシークレットアチーブメントを達成することによって報酬として獲得できる。

 そして、このシークレットアチーブメントは、この世界でただ一人しか達成できないため、必然的にスキルは唯一無二の代物となる。

 固有能力(ユニークスキル)より固有(ユニーク)なのだ。


 EXスキルの熟練度は、獲得後も性能に影響するものがある。

 熟練度が上がれば性能も向上する。

 最大は、10だそうだ。

 僕のは、どれも半分にすら至っていない。

 伸びしろがある。

 そう考えるとしよう。

 さらに便利なことに熟練度の溜まり具合が可視化できるようになった。

 後どのくらいで1上がるのかも一目瞭然だ。


 そして、【解析】の頃よりも詳しい情報が知れるようになった。

 説明を項目ごとに細分化できる。

 知りたい情報のみを抜き出すなんて芸当も可能だ。


 このスキル【哲学の父(ソクラテス)】のおかげで様々なことが改善した。

 感謝しかない。

 だが、無視できない問題がある。


 初めて見た時からもしやと思っていた。

 その名前。



 聞き覚えがある。



 見覚えがある。



 前世の本か何かで見たことがある。

 歴史的にも有名な偉人であり、その最後は、毒を飲んで自決した哲学者。


 何故、そんな有名人の名をこんな世界で聞くことになるのか?

 シークレットアチーブメントの名前もそうだ。

 それは、アポロンの言葉だ。

 アポロンの神殿に刻まれた言葉だ。


 どうしてだ?

 この世界が本当にゲームの中だとでもいうのか?

 しかし、そんなはずはない。

 もしゲームならば、こんな中途半端にしない。

 この世界は、極めてゲームに近づき、中途半端にゲームになりきれていない。

 そんな世界だ。

 いつか究明するとしよう。


 僕は、目標を達成したため頂上を目指して再出発した。


 ◆ ◆ ◆ ◆


 頂上の少し手前、僕は様子を窺うために潜伏する。

 バレてはいない。

 スキルにも今の僕を感知できそうなものはない。


 奴らは、集団でいる。

 とんでもない化け物集団だと僕からは言える。


 一体でも強い。

 それが十数体。

 とんでもない。

 いままで道中にいたどんな魔物より厄介だ。


 ここからが本番というわけだ。

 ゲームだったら強制負けイベントだろうが、そういうので勝つのが熱い。

 少なくとも今の僕は、本気でそう考える。


 僕は、覚悟を決める。

 死ぬかもしれない。

 しかし、挑戦しよう。


 僕は、目の前のドラゴンたちへ挑む決意を固めた。

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