表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/21

旅人を装い

 僕は、キラボシを背に乗せて大空を飛ぶ。


「わーい!」


 キラボシは、風を受けて喜んでいる。


 現在、目指しているのは、町だ。

 キラボシによれば、国境沿いに大きい町があるそうだ。

 そこを目指している。

 食料などを準備をしてから、国を出る。

 ちなみにバレた場合、全力で飛んで逃げるつもりだ。


 金銭についてだが、考えている。

 キラボシに聞いたが、魔物も素材は種類や部位などによるが、売れるらしい。

 特に魔石という部位が高価だそうだ。

 珍しい魔物であればあるほど、高価になるそうだ。

 他にも需要があり、価値が一定らしい。

 とりあえず、どこかで入手しよう。


「キラボシ、こっちで合ってるか?」


「多分、合ってる」


 なら、大丈夫か。


 僕は、飛び続けた。

 時折、村が地上に見えた。

 今思えば、でかい龍が空を通り過ぎたら騒ぎになりそうだ。

 なりそうではなく絶対になるだろう。

 キラボシのことも重大な事件になっているだろう。

 あまり関係はないが、その知らせが僕より早く届くなんてことはないだろう。

 だって、僕は飛んでいる。

 馬より速い。

 魔法があっても厳しいはずだ。




 飛んでいると大きい町が見えた。


「確か、あの町だよ」


 あれが目的地かなのか。

 それじゃあ、近くの森にでも着陸しよう。

 流石にこのまま町へ入ることはできない。

 騒ぎどころではなくなってしまう。


 森の中へ下りる。


「ここから町へ行こう」


「はーい」


 二人で歩き出した。


「道中で魔物を狩らないとな」


「手伝う!」


 キラボシ主張する。

 しかし――――――


「却下」


「何で?」


「危ないから。それにどうやって戦うんだ? 武器だって持ってないだろ?」


「ぐぅー」


 キラボシからぐうの音が出てくる。

 しかし、ダメだ。

 危ないし。

 過保護かもしれないが、それでもだ。

 絶対にそこは、譲れない。


 【空流感知】で付近を探す。

 もちろん、『神格覇気』を切っている。

 町に着くまでに見つかるといいが。


 少し心配するが、予想外に早く反応が出た。

 直行する。

 魔物がいた。

 ステータスの一部を省略して、表示する。


 ・ステータス・

 名前「なし」

 種族「岩鎧蜥蜴(ロックリザード)



 ロックリザード。

 岩の装甲が身体を覆い、ロックタートルと違い機動力がある。

 その分、重厚感がなく、小さく感じる。


 僕は、手に龍の爪を出す。

 流石にパンチだけでは、倒しきれそうにない。

 『龍爪』なら確実だ。

 ロックリザードは、僕の手が変化した時点で逃げようとした。

 気味が悪いし、生存本能だろう。


 僕は、容赦なく仕留める。

 さて、目的は魔石だ。

 位置が解らない。

 こればっかりは、総当たりしかなさそうだ。

 頭かそれとも心臓辺りか。

 僕は、かき分けるようにして探す。


 見つけた。

 あったのは、胴体の中心辺りに魔石があった。

 色の付いた宝石のような石だ。

 価値があるのも納得だ。


 「魔石」

 説明・魔力が生物の体内で結晶化した物。



 魔石で間違いない。


「キラボシ。そろそろ出発だ」


 キラボシを少し、待たせてしまった。


「解った」


 魔石を持って、その場を後にした。


 ◆ ◆ ◆ ◆


 その後、森の中で何体かの魔石を回収した。

 大きさは、ロックリザードが一番だった。

 体格によるのだろうか?


 そして、おそらくだが、もうすぐ森を抜ける。

 森を抜ければ、町があるはずだ。

 遠くに明るい場所が見える。

 遮る木々が途切れているのだろう。


 楽しみにしながら、一歩を踏み出す。

 しかし、様子を窺う。

 人がいる。

 森の境に人が集まっている。


「お兄ちゃん、人がいっぱいだけど………………」


 キラボシも気が付いたようだ。

 何かあったのだろうか?


「流石に追って来た人間じゃないし………………大丈夫じゃないか?」


「うん、違うと思う」


 二人で森の外へ向けて歩き出す。

 不都合なことがあれば、知らぬ存ぜぬで押し通せば、問題ない。

 勇気を持って、森の出口へ向かった。


「ん? おい、何か来るぞ!」


「魔物か?」


「いや、あれは人じゃないか?」


「何で、人が?」


 騒ぎになっている。

 本当に何があったんだ?


「おい、そこの君――――――たち? 何で子供が………………それより君たち、何で今、森に入っているんだ!」


 僕たちは、怒られた。

 一体、何があったんだ?

 キラボシも同じような気持ちになっている。

 顔で解る。


「あの僕たち旅をしている者でして、何かあったんですか?」


「えっ、知らなかったのか?」


「「はい」」


 二人同時に言う。


「君たち、よく生きていたな………………」


 呆れられるように言われた。


「少し前に謎の巨大な魔物が森へ入って行ったらしいんだよ」


「あぁ、俺も見たよ。あれは、ヤバかった。相当な化け物だろうよ」


 そんなことがあったのなら僕たちは、命知らずのように見えるだろう。


「………………あっ」


 キラボシが心辺りがあるように声を漏らした。

 何だ?

 まさか、その化け物を見たのか?

 僕も見たことないし、存在を感知もできなかった。


「そういうことなら僕たちは、早く町に行きますので………………」


「あぁ、気を付けて行くんだよ。そんな小さい子を連れてるんだから」


「はい、気を付けてます」


 そう言って、抜け出した。


 森から町への道を歩く。


「ねぇ、お兄ちゃん。さっきの話の怪物って………………」


 何だ?

 正体が解ったのか?


「怪物って、お兄ちゃんのことじゃない?」



 うん?

 どういうことだ?

 僕がそんな化け物みたいな訳が………………




 ………………いや、龍形態のことか。

 あれは、確かに化け物だな。

 解ってしまうと、申し訳なくなってしまう。

 しかし、仕方がないことだ。

 すみませんと、彼らに心の中で思っておこう。


 ◆ ◆ ◆ ◆


 町は、賑わっていた。

 満員電車ほど人が密集しているわけではないが、少し移動に困る程度だ。


 キラボシが離れないように手をつなぐ。

 こんな場所で離れたりしたら、合流が難しい。


 そのまま流れるように町を移動する。

 ここでの目的は、素材の換金、消耗品の購入の二つだ。

 宿泊は、含まない。

 朝起きたら兵に囲まれるなんてゴメンだし、キラボシも嫌がっていた。


 まずは、換金だ。

 素材の買い取りを行う施設。

 その名を冒険者ギルド。

 よく聞いた施設そのままの名前だ。

 そして、実態も想像通りらしい。


 外観は、周囲より少し大きいくらいだろうか。

 大きい以外には、旗などの装飾品があるくらいで景観に溶け込んでいる。


 僕は、キラボシを連れて中へ入る。

 内部は、何名かの冒険者らしき人物が机に座って談笑している。

 入って正面には、受付らしき場所があり、職員の人がいる。


 僕は、真っ直ぐ受付へ行く。

 素材の買い取りの手続きを行う。

 冒険者として登録しなくとも買い取ってもらえると聞き安心した。

 過去の世界で登録なんてしたら未来で面倒なことになりかねない。

 本当に良かった。

 魔石を出すと、受付の人は驚いた。

 とても貴重だから鑑定を行うそうだ。

 一体いくらになるのだろうか?

 鑑定を待つ間、冒険者ギルドの内部を二人で見て周ることにした。


「お兄ちゃん。ここに何か彫られてるよ」


 キラボシが指す方を見れば、大きめの石板があった。

 そこには、文字が彫られていた。

 この世界の言語だが、読める。

 便利な力だな、と思う。


「何々? 冒険者ギルドの設立記念石碑?」


 そんなものがあるとは、まるで宗教だな。

 その内容は、冒険者ギルドの設立経緯が記されている。

 まず、設立者の名前は、ギルド・ベンチャスという名だったそうだ。

 何というか、冒険者ギルドのために生まれたような名前だな。

 意味としては、集いだから、いい名前ではある。

 そのギルドという人は、冒険家であり、不可侵領域以外の全ての場所を訪れたとされているそうだ。

 兎に角、凄い人だったということか。

 そして、今の冒険者ギルドの体制もその人が指示したものだそうで、感想としては、偉人なんだとしか思わない。


「普通の伝記みたいな内容だな」


「でんきって、何?」


「偉い人のことが書かれた本のこと」


 僕は、伝記についてキラボシに教えた。

 困ったことに僕の知っている伝記は、この世界に存在しない人物のものだから、説明が難しくなってしまった。

 最終的に一人の人物の生涯についての解説の本という認識に落ち着いた。

 間違っては、いない………………よな?

 きっと間違っては、いないと考えることにした。


 ◆ ◆ ◆ ◆


 キラボシと話していれば、時間が過ぎて、魔石の鑑定が終了した。

 価格は、金貨十数枚。

 キラボシによれば、かなり高価らしい。

 あまりにも強い魔物の魔石だったので出処を尋ねられたが、偶然弱っている所を見つけたとごまかしておいた。

 早く、離れた方がいいかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ