4.「にのこえ・社会人二年目」
実家に帰る前に、恩人?の女の子に、
やっぱりお礼が言いたくなって、駅を探してみる事にした。2日探していなかったら、諦めよう。
なんか、危ない人、ストーカーみたいな事をしてるけど。この間は確か、この時間にいたはず?
イタ。あっさり見つかった。
ホームの端っこ。後ろの車両付近にイタ。
今日もあの姪っ子みたいな服を着ている。
見つけやすかった。
こうやってみると、小さい。小柄。
横に立っている男性、後ろに立ってる女性と
比べても小さい。あれで満員電車に乗ったら、
埋もれてしまいそうだ。
僕でさえ埋もれる。幸いこの路線は、動けないほど、
混まないので、助かる。
大学受験の時の、
東京の某路線の混み具合は凄かった。
ラッキーにも、座席に座れたと思ったら、
電車が揺れた拍子に、前にいた、制服を着た女性が
僕の膝の上に座る格好で、動けなくなってしまったことがあった。幸いにして一駅で、
その状況は回避できたけど、なんともいえない
状況だった。不可抗力だけど、痴漢で訴えられなくてよかった。
そんな記憶を思い返していたら、
電車が来て、女の子乗っててしまった。
あ〜失敗したー。
もたもた、しすぎて電車が発車した。
せめてどこの駅で降りるかぐらい確認すれば、
よかった。完全にアウトな発言になりつつあるけど、
「命の恩人にお礼がしたい」
「崇高な思い」
そう自分に言い聞かす。
そうだ。ハンカチをプレゼントしてみては、
どうだろうと思い立った。
時間はたくさんある。
両親、姉、姪っ子以外にプレゼントを買うのは初めてだけど、いらないって言ったら、それでいいし。
拾った時のハンカチは、キャラクターの絵が
刺繍してあったな。
姪っ子の誕生日あげたのと似ている。
今日の夕食買いがてら、
デパートでも行ってみるかな。
昨日の同じぐらい時間に、
あんな事をしようとしていたのに、
今はお腹が空いて、誰かの為に、
プレゼント買おうとしている。
やっぱり、あの子は恩人だ。
早く逢いたい。名前も知らないあの子に。
思いばかり募る。もしかして恋した。
とりあえず、ほんまにお腹が空いたので、
朝ごはん件お昼食べに、マックでも行こかな。
エセ関西弁を頭の中で使いつつ、
腹ごしらえ。
こんなワクワクした気分になるのは、
いつぶりだりうか?
初対面、否、2回目の男から、
名前も知らない、否、その時に名乗れば、
知っている事になるけど、
プレゼントなんか受け取って貰えるかな。。。
サンリオ。あの有名な猫のキャラクター。
知ってるやつでよかった。
このお店に入るのは、わりと勇気がいる。
ほぼ、女性しかいない。店員さんも女性。
お客さんも女性。しかも月曜日。
前は、日曜日だったから、
家族連れ、恋人どおしみたいな感じで、
男もけっこういたけど、い・な・い。
今はいない。悩んでも、わからないので、
猫を買う。プレゼントでお願いします。
女性の定員さんが、
「彼女さんにですか?」
僕は思わず、見栄でないけど、
あの子の顔が浮かんで、
「はい。そうです」と言ってしまった。
「きっと喜んでくれますよ。これ新作なんです」
笑顔で定員さんが言ってくれる。
落ち着いた声だった。
「ありがとございます。そう言って頂いて」
もう受け取って貰える前提で僕は答えた。
まぁまぁ、危ないやつだよね。僕。。。
明日もあの時間に駅に行こう。
今度はモタモタしないぞ。
そう決意。あんな事する決意では無く。
生きる為の決意を。




