3.「にのこえ・社会人二年目」
大学を無事卒業。就職も無難にできた。
右往左往しながらも、辞めたい病のかかりつつも
どうにか2年目突入できた。
新入社員のメンター任された。
嬉しかった。ほんとに嬉しかった。
2年目にして、認められた気がした。
けども、上と下に挟まれて、しんどい。
去年の僕にはメンターが付かなかった。
今年からできた制度だ。
中小企業の働き方改革だそうだ。
社長が熱く語っていた。
ノウハウゼロ、みごとな見切り発車だった。
人事部でさえ、いまいち乗り気でないようだ。
そんな中のメンターはうまくいく訳がない。
上司は成果の報告書を毎週、求めてくる。
新入社員はやり方がわからないので、
僕に聞いてくる。新入社員は残業が出来ないので、
やり残した仕事は僕がする。
もちろん僕の仕事もある。
報告書も早く出せと急かされる。
人身事故発生のメールがくる。
今までは、ひとごと。他人事。
馬鹿だな〜迷惑かけて。とまで思ってた。
今は気持ちがわかる。もう理由は無い。
そうせざるおえないから、するのだ。
理屈じゃ無い。本能かもしれない。
会社には行くのが嫌だ
もう義務。どうにか身体が動いてる。
そんな状況だった。
今の僕の表情は、誰が見ても、死んでいるのと
同じだと思う。
駅構内を歩いている。衝動を抑えながら。
ホームで前足が一歩また一歩と前に出た。
もう駄目かもしれない。
あと一人追い抜かしたら楽になれる。
決心した。さぁ〜逝くゾ。。。。その時、
前の立ってる女の子が、ハンカチを、ポロっと、
落とした。気づいてないようだ。
通り過ぎようとしたけど、最後ぐらい、
良いことしておこう。
女の子に声をかけた。
びっくり!!した様子だった。
ハンカチを無言で差し出した僕に
噛みながらも、感謝を伝えられた。
甲高い声の女の子だった。
少し甘ったるい声だった。
ハンカチを渡して、お礼の後、
何かを待っているように見えた。
格好からして、中学生?高校生?
丸い襟の服。姪っ子が着てる服に似てる。
僕を見上げるように見てる。
160cmあるかないかの僕を上目遣いに見てる。
表情は硬い。
1分ぐらい間があったか?
僕は会釈して何も言わずに立ち去った。
家に帰る途中、会社に体調不良の電話をした。
どれだけ罵声を浴びるかビクビクした。
辞表も書く覚悟で。
意外にも、上司は優しい声だった。
嘘か真か、ワカラナイ。
でも優しかった。電話で泣いてしまった。
有期休暇5日、土日入れて7日休みなさいと
言われた。上司から業務命令、絶対遂行の事。
また、泣いてしまった。
「日曜日の夕方のサザエさん見て」
「シンドロームになったらあかんで〜」と、
一言付け加えられた。
これを冗談と軽く受け止められれば。。。
気は軽い。
関西出身の上司だった。
普段は標準語なので、忘れてた。
テレビや映画で聞く、
関西弁は、正直怖いけど、
今聞いた言葉は、暖かった。
少し気が楽になった。日曜日の夜はどうなるか?
わからないけど、しばらく帰れてない、実家にでも、
帰ろ〜かなと。犬と猫がいる実家へ
あの子にお礼が言いたいな。
突然、言ったら、怖がるかな?
あの時間に行けば、逢えるかな?
小柄の甲高い声、
そしてちょっと「甘い声」のあの女の子に。。。




