渾沌魔王とショッピング Side-A/Another
捕捉事項:前話より、ステータス欄フレンドリストにライラックを追加しました。
その店内は、掘っ立て小屋にしては似つかわしくない程に夥しい物質が積み上げられていた。
無造作に置かれた宝石細工や古銭、古びた手拭いや藁で編んだ蓑や編み笠等もあり、旅人の使い古しから骨董に到るまで一切の秩序がない形で陳列されていた。
それは、店主が玉石混交で品を集めている事と、このスラムでその店舗を維持出来る力があると見て良いだろう。バカンスさんの後ろ盾があるのか、仕切ってるグランを締め付けているミシュラさんの力なのか、そこまでは分からないが、とにかくゴミだけの店ではないというのは分かった。
その事はいい。バカンスさんの試練の舞台として選ばれたのだから、間違いなく良し悪しが混ざった品揃えなのであろう。
まず、今はこの値段当てクイズに勝つ事を考えて、情報を整理しよう。
基本、値段を当てるには私がリオレ市内で見たような、値段が想像しやすいものを選ぶ必要がある。ヌルい試練なら、鑑定しつつ欲しいものばかり選んで、珍品ゲット+クリアを目指すべきだが、そんないいとこ取りをしていてクリア出来る様な難易度にはなっていないだろう。
ガラクタを掴まされてでもクリアを目指す必要があると思えた。
そして、地雷グッズの件もあるが、高級品には手を出すべきではないのは明白だ。
古めかしい宝石細工などもそうだけど、ボロっちくて汚らしく見える陶器などもヤバい高値が付く事もありうる。【ミスティック・アンティーク】なんて大それた名が付こうが、骨董の世界ってのは私なんかが習熟出来る程甘い世界ではないのだ。
そういうものに手を出し始めると、即効で資金が尽きてアウトとなるだろう。勿論、良い品と良い品とのシンセサイズでもっと良い品を創って高額を得るという手もない訳ではないかもだけど、そんなわらしべ長者的な賭けが出来る状況でもないだろう。
「それとさ、一応聞くんだけどクラッシュ氏はここの商品で値を聞いて覚えてるヤツってあったりするの?」
「あ、そうだね。協力アリと言った以上は、覚えてる品があったらクリアだねぇ。で、実際の所どう?」
と、これはバカンスさん。一応、途中で聞いて反則取られたらヤダから聞いてみたが、どうやらルール的にOKみたいだ。
「あっしは、頻繁に来店しますし、気になる品はどんどんと聞きまくりますが、財布の方がアレでして、買えない物の値は忘れる様にしてやす」
ダメじゃん。いや、待てよ……
「値段を忘れてても、私の予想額を聞いてハイ&ロー程度とかなら出来そうかな?」
「まあ、それならいけるかも……」
うん。答えを聞くより、この位のサポートでもあるだけで違うかもね。最低でも、奇を衒った様なヘンな商品がハイ&ローで看破出来るのはアリだ。
改めて、入口の方から商品を眺めていく。私はまずはジャブ、とばかりに無造作に置かれたものの中から三品を取り出す。
薄汚れた手拭い、古びた蹄鉄、古銭をチョイスした。
「クラッシュ氏、この3つの値段は聞いた事ある?」
「い、いや……さすがにそれは……コト嬢、そんなもの欲しいんすか?」
「いや、これも作戦のうち……」
「コトさんや、一つ追加ルールとしよう。10パカシ以下の値段狙いで、ニアピンするってのは、テストとして安易過ぎるよね。ガラクタを5パカシと言って、 1〜9パカシでニアピンってのは簡単でつまらない。よって、10パカシ以下の額面は、ピッタリのみ。ニアピンは無しとしようか」
やっぱ、気付かれたか。いや、ニアピンの詳細は始めから言わなかった。元々バカンスさんの温情というか、匙加減による救済的なものって感じか。ピッタリしかないと、私がクリア出来ないから。
でも、今言われた通り、1〜10Pでハイ&ロー的な事を続ければ低額でニアピンは可能。ヌルゲーとなる。
だから私がそれを思い付いたならばルールを追加、思い付かなければスルーって感じかな。
「オッケーです。でも、低額商品でジャブを打ち続けるって作戦自体はアリですよね?」
「もちろん。色々やってくれると、ボク的には嬉しいかな」
「では、小手調べに手拭い3、蹄鉄5、古銭8って事にします。いいですかね?」
「オーケー、んじゃ答え合わせと行こうか!」
バカンスさんを先頭に、三人で店内へと入る。
店内もごちゃごちゃしてるが、私好みだ。個人経営の古書店みたいな広さで、奥のカウンターに白髪のおじいさんがパイプを吹かしていた。左目には、時計屋さんがしている様なアイルーペを装着していた。やっぱり鑑定持ちかな。
「やあ、コルク老。以前話した通り、弟子を連れて来たよ」
「おう、来たな。好きなだけ見て、買ってってくれい」
「どうも。コトと言います。これ、お願いします!」
「おう、よろしくの。ふむ、蹄鉄か……古く歪んどって、一つじゃ使い物にならん。鉄屑扱いで、2。そっちの硬貨は少しだけまけて28って所たな」
「え、このコインってそんなするんですか?無造作に置かれてたから安価かと思った」
「リオレ周辺じゃ比較的良く出土するがの。リオリエンヌ時代に低所得階級の間で流通した【リオール鉄貨】じゃ。リオレ市内では二束三文だが、この地を離れると希少性が上がるんじゃよ」
「なるほど。希少性と置き場は多少ランダムなのか。で、手拭いは?」
「はて、こんなモン売りに出したかの?いや、こりゃ掃除のときに持ってたワシのモンじゃ!」
「私物かーーーいッ!!」
「まあ、良いわい。1パカシとしとこうかの」
おじいの使用済みとは……ブルセラじゃないんだからさぁ。
取り合えず、ハズレが確定したので、31Pを支払う。
手拭いをゲットしてしまった事に、ヤシの木頭を震わせて笑っているのが少しイラッとするが、まあ、まだ緒戦である。
支払いが済んだので、私は何かバカンスさんを黙らせるものをと思い、さっき仕立屋で受け取った頭陀袋から糸くずを出す。この糸や端切れは、製造や修復の中で出た屑だが、使い古しの汚れたものではない。
コルク爺さんの手拭いと、新品の糸……新たな手拭いのイメージ!
「はいどうぞ、『マタリス織の手拭い』。お好きでしょ?手拭い!」
そう、バカンスさんはいつもアロハにハーフパンツだが、トレードマークがもう一つ、常にパンツのベルト通しに通す形で手拭いを下げているのだ。
私の作品を受け取り、彼は何とも言えない微妙な顔で、生地の汚れや匂いなどを色々な角度でチェックしている。
「糸くずは新品から出た屑です。さっきまでのお古は、私のスキルでこの世界から永遠に消し去りましたよ」
「あ、ああ。そりゃ、どーも……」
なんかしっくり来ないという、歯切れの悪さでバカンスさんは手拭いを懐にしまった。
取り敢えず、ニヤけた顔は引っ込んだみたいだ。
「コト嬢よ、気になったんだけど、欲しい品とかはチェックしないのか?武器とか防具とか、この辺りなんか良い品だと思うぜ」
欲しい品が色々とありそうなクラッシュ氏が聞いてくる。
「クラッシュ氏、気持ちは分からなくはないけど、武具の掘り出し物って結構値が張るでしょ。コレなんか見てよ!」
彼が気になってた一角に展示された物の中から、フルプレートアーマーを指し示す私。
「これ、鎧なのに宝石が散りばめられてる。儀礼用とかで王族が持つ様なやつでしょ。留め具が背中側に集中してるし、絶対に従者とかに着がえを手伝わせるタイプのものだよ。冒険者が着る部類の物じゃない。中世のフルプレートってさ、確かリアルでは一着で国家予算とか使って造るハズだよ。国交交渉とか、同盟締結とかに王から王へと一着贈ったりする代物でしょ。何でこの店にあるのかは分からないけど、多分これ一つで日本の相場に換算したら戦闘機とか買えちゃうんじゃない?そんなの選んだら、私一発でトブじゃん」
「では、さっきみたいなガラクタを買い続けるのか?」
「まあ、それも一つの戦略だけど、色々と試す価値はあるよね」
次のチョイスは何にしようか。
「ん?なんだ、この黒いゴミは……歯?なんでこんなモンが!?」
とある棚の隅っこに、ゴミみたいな物を見付けて、思わず立ち止まる私。
「どれどれ……んっ?この黒ずみ……コレ、銀細工ッスよ!シルバーアクセ好きの俺には判る!間違いないッス!」
「ふーん……銀歯ねぇ。うん、面白そうかもね」
その後も色々と見ていき、ナイフのコーナーへと移動した。
この店、大きな武器などに比べて手放し易いからか、ナイフ関連はとても豊富だった。私がナイフ使いだったら、コレクションしたい位のラインナップである。
そんな無数のナイフの並びをじっくりと吟味して、私は安っぽいものを厳選する形で一点を選び出した。
そしてラストは……
「おおっ、コト嬢よ!こっ……これッ!!」
クラッシュ氏が変な塊を指して言う。
「これは……金タワシ?」
「いや、これは銀糸っすよ!銀糸の束ですぜ!」
「銀糸? これが?」
「ええ。多分ですけど、元々はどこぞの貴族だか成金だかの服か何かの残骸を手に入れた奴が、銀糸だけベリベリと強引に毟り取って集めたんでしょう。ほら、こうやって爪でちょっと擦ると、煤の下から銀の輝きが見えるでしょ? 完全に変色してますが、これだって立派な銀素材っす!」
銀素材か。これもアリだね。
こうして三品目も決まり、バカンスさんの下で予想する。
「銀歯2、錆びたナイフ6、銀糸3で!」
そして結果発表。
「銀歯は4、銀糸も4、ナイフは……こりゃ酷い、3だな」
はい、ハズレ。
「いや〜、ハズレちゃったね〜。さて、次はどうする〜?」
楽しそうにいうバカンスさん。私も、それに応じてニコリとする。次はどうすると問われたけど、私的にはさっき思い付いたばかりなのだが、今のハズレで勝ち筋が揃ったのだ。
「そうですね~……」
受け答えをしつつ、黒い銀糸の塊を4等分にして、前から気になってた錆びたスプーン、フォーク、ナイフ、包丁と合成する。
◆クルリエっぽい銀製カトラリー レア度B 食器
時代を超えて貴族の間で愛されたクルリエブランドのスプーン、フォーク、ナイフの三点セットにして、初代クルリエの作品…の贋作。クルリエは合金で銀の光沢を出す錬金工芸品工房の主人で、生涯銀細工は造らなかった。これは銀製なので、一流の贋作で、本物ならレア度Aである。
製作者・所持者∶【曰く付きの骨董】コト・イワク
◆クルリエっぽい銀包丁 レア度B 刃物
※包丁なだけで、内容は同上なので省略。
しまった、銀で修復したら贋作化しちゃった。まあ、毒で変色するから良しとするか。造りや使い勝手は本物と寸分違わないし。
へ?これが勝ち筋かって?いえいえ、これは勝ち筋前の練習でございます。
と言う訳で、銀歯と錆びナイフを合成した。
クラッシュ氏の談が正しいなら、この黒ずんだ汚い歯の中身は『銀』である。なので、銀とナイフの融合で『銀のナイフ』となる訳だ。
そして、無数にあるナイフ群から何故私がこの品を選んだのか?それがここで活きてくる筈なのである。
「コルクさーん!済みません、ちょっと私の持ち物見てもらってもいいですかー?」
私はそう言ってカウンターへ向かう。店の品のヒントや質問はNGだけど、自分の物ならば問題ない道理だ。
「あの、私このナイフお気に入りなんです。だから、もう一振り欲しいなって思ってて、コルクさんの店で買えるなら予約したいんですよねー。んで、値切ったりしないと誓うんで、もし買える時が来たら、いくら持ってくればいいですかね??」
「ん?ああ、その型か。リオレの工房品だから時々入るな。量産品で、銀製だから、150……いや、145でいいぞ!ん……それは、確か……」
途中で話を切り上げて、私はナイフコーナーへ。
「バカンスさーん!この、銀のナイフ、145パカシで!」
そう、このナイフ、鉄製が複数あったのだが、それぞれボロさが違ったのだ。だから、最初にサビサビの一振りをダメ元で購入。
手拭いの時に、購入品のシンセサイズはお咎め無しだったから、銀と融合。
量産品の中に一振りだけ同型の銀製品があったのを見てたから、テストとは別に予約と、支度金の聞き出し、という流れで、私なりのインチキ必勝法を披露した感じである。
「ハハッ、そう来ましたか〜。まあ、僕も真剣な目利きを期待したり、見たかった訳でなく、キミの発想や試行錯誤が見たかったってのが、本音だからね〜。んじゃ、合格ってことで!」
やったー!なんとか及第もらったぞー!
こうして、バカンスさんとの値段当てクイズは幕を閉じるのであった……
… … …
NAME:【曰く付きの骨董】コト・イワク 種族:タト族・マニスリング(獣化箇所:センザンコウの鱗の手甲)
LV58 キャラクタークラス:アイテム合成師 RANK:C
STR216 VIT212(+1) DEX214 MEN208 SPD211
《所持金》
1008178P
《師事》
『弧を描く餓狼』ガラム・マサラ
《習得技能》
【工芸】(LV20) ※工芸品知識及び製造におけるプラス補正。補正値はレベルに準ずる。
【目利き】(LV30) ※一定の商業系スキルにプラス補正。NPC商店訪問時にレアアイテム出現率が微細にUP。
【値踏み】(LV−) ※品物の相場を読み取る様になる。目利きに統合され、レベルは目利き準拠。
【体術】(LV62) ※格闘系スキル。強力な武術ではないが、あらゆる格闘技の基本となっているスキル。
【シンセサイズ】(LV45) ※二種のアイテムを合成して別の何かを造り出す事が出来る固有スキル。
【八十五式和合婚刻拳】(LV12) ※相手の回避にマイナスの補正が掛かる固有武術。レベルに応じ覚える三連打突技毎に威力が上がって行く。
【活眼】(LV25) ※周囲の者の力量を推し測ったりオーラを見たりするスキル。成功率はレベルに準拠。
【調理】(LV3) ※簡単な料理を作り出すスキル。レベルに応じて成功度が上昇する。
【暗闇の歩法】(LV8) ※暗殺者などが用いる歩行術。盗賊の忍び歩きの上級版で、足音・気配を消して達人ともなれば存在まで希薄にし、ステルス化する。戦闘にも組合わせて使用が可能。
【狼煙】(LV2) ※指先から煙を出す簡易魔法。レベルに応じて少ない魔力でより多く発煙させる事も可能。
【四換】(LV8) ※掌中で魔力を属性に関する物質に変換する。✡変換可能物質:小石(地属性)、煤塵(闇の加護)
【魔銃】(LV9) ※指先から魔力を弾丸にして発射する簡易魔法。指先への魔力の集中次第で威力変化。
【魔力撃】(LV3) ※魔力を込めた拳撃を放つ技。鍛える事で威力上昇や属性付与等の応用技が使用可能。
【睡夢撃】(LV3) ※夜魔族の用いる催眠性の魔法拳撃。レベルを上げる事で高位の相手にも催眠効果が見込める。✡加護により成功率上昇。
【魔睡銃】(LV2) ※催眠効果のある魔弾を撃つ技。攻撃威力は極少で、催眠成功率はレベル依存。連射不可。✡加護により成功率上昇、弾速上昇。
【乗馬】(LV0) ※馬に乗る為の技能。このレベルが高いと早駆けや遠乗り、スタミナの調整や馬との意志疎通も可能となる。
【反作用受け】(LV11) ※シンセサイズを応用して産み出された固有技。失敗時の反動で相手の力を相殺する。
【気功】(LV5) ※体内エネルギーを操り、攻撃力・防御力を補強するオーラへと転換する。
【縮地】(LV1) ※戦闘時、周囲30m四方に対して高速移動を可能とする。その速さはスキルレベル、オーラ、SPD依存。
【部分獣化】(LV7) ※タト族及びチト族の獣人病患者専用のスキル。全身獣化に至る前の基本スキルで、レベルが上がる程に自在に素早く任意部位を獣化する。獣化時の能力はタトの種に依存。
【闇刃】(LV1) ※暗闇となった場所に指を入れて発動する闇の刃を指に宿す生活魔術。殺傷力は低い。
【闇刃・改】(LV1) ※高位の夜魔の力で改良が施された闇の刃。斬れ味が高品位の剣程度に底上され、殺傷力が上昇。✡追加能力:魔力消費で短剣→小剣に変化。霊体・魔法生物に攻撃可能な戦闘用の闇刃。
【星の飛槍】(LV1) ※星空の下で極星を指差して発動。指先が煌めいた状態で光の槍が射出可能。象獏族の固有術で星空の夜限定。邪悪な存在、霊体、不死者に特攻。
【月光刃】(LV1) ※月の魔力を具現化した光の小型鎌。月に両掌ないし片掌を翳して発動。手持ち武器、投擲に使用可。月の霊力を宿し、幻夢境の生物や闇属性の者に特攻。技の開祖たる闇の道化師との制約により、良き闇の眷属に使用すると無散して精神力がゼロになり昏倒する仕様。
【暗雲の瞳】(LV1) ※視線の先に50cm程の闇の霧を発現させる。複数発現が可。有効射程は視界内だが、距離に応じて消耗が多いので注意。
【崩閃禍】(LV1) ※護身魔法。任意の手に爪紅をさす。爪紅は術式装填数を示し、手による攻撃で対象の神経系を1秒麻痺させる。殺傷力はない。肉体を持つ生命にのみ有効。
【値踏み】(LV)
《タト族の力》
◇尖山甲 ※生命エネルギーを込めた拳撃。打撃系『突き』属性。タト族の能力は一日にLV÷10回使用可能。
◇暗帰路 ※生命エネルギーを込めた裏拳。打撃系『払い』属性。タト族の能力は一日にLV÷10回使用可能。
◇破斬 ※生命エネルギーを込めた手刀。打撃系『斬り』属性。タト族の能力は一日にLV÷10回使用可能。
《フィート》
*【闇の加護】∶夜を紡ぐものの加護。属性に闇を加え、闇の力を帯びた攻撃時と被弾時にプラス補正が入る。
*【夢渡り】∶念じる事で、辺獄(リンボ界)へと渡る事が可能。
【綺羅星の加護】∶NPCに好印象を与え、助力を得やすくなる。
【寄り道の王者】∶秘匿エリア、秘密の店等の看破率アップ。
【応用技術万能】∶組合せスキル、新スキル開発にプラス補正。
【野生の超反応】∶不意打ちや狙撃等をパッシブにオート反応。
【進化創造の手】∶生産品や発明品が大きく化ける可能性有り。
《装備品》
木綿のセーラー、布のナックルガード、腕輪『乾坤一擲』、星虹の腕輪『三色』、鼬鼠のベレー(1)、セブンリーグ・シューズ『昼夜を駆け廻るもの』、毒喰の山刀、転ばす先の杖、クローバー・ピンズ、黄色いマグネット、マタリス入場バッジ、肩掛けカバン(12)×2、鼬鼠のウエストポーチ(3)、鼬鼠のプラントホルダー、魔笛『アムネシアの呼び声』、子鹿の根付
(予備装備:肩掛けカバンにクラウン・ピンズ、タンブラー・ピンズ、ドロップ・ピンズ、ハートフル・ピンズ、赤マグネット、青マグネット、緑マグネット、白マグネット)
《所持品》
水筒(小)、ペン付き手帳、遠眼鏡、小型ナイフ、初期財布(100)、お菓子の巾着、指ぬき軍手(白、赤、橙、緑、黒)、クルリエっぽい銀のカトラリー、クルリエっぽい銀の包丁、コルキントンの香炉、バンジーの急須、水琴窟の小壷、30%ポーション×20、80%ポーション×10、中級薬草×40、月光草(薬用素材)×5、夜光草(強化素材)✕5、夜陰草(毒物素材)✕5、石のサイコロ、茶碗『湧水郷』、ナットリング×62、小さなメダリオン×66、リサイクル・ピンズ×68(内訳:クローバー13ヶ、王冠9ヶ、酒杯11ヶ、雫石5ヶ、ハート11ヶ、剣9ヶ、渦巻9ヶ)、ワッシャー・タグ×36、付与マグネット×21(内訳:赤4、黄6、青4、緑2、白5)、石器ナイフ×6、火口箱×2、ティンダースティック、砥石×3、石筆×5、茶壺『密林の欠片』、翼竜の卵×3、念話の結晶石、ダークマテリアル×35、高原の花、宝石(10万P)×2、宝石(5万P)、ふしぎなルアー、彷徨うボトル、薬の小瓶、虫の化石、きれいな石ころ、オリハルコンインゴット×1、エリクシール×35、山伏茄子×3、蛇玉×1、シルバーダガー×2、リオール鉄貨×1、頭陀袋(陶器の破片入り)、頭陀袋(端切れ・糸屑入り)、歪んだ蹄鉄
《アーティファクト》
鑑定魔のモノクル(C) ※レア度C以下のアイテムの鑑定。
蒼き水源の水差し(B) ※清水が無限に湧く(ON/OFF可)。
夢幻のカレイドスコープ(C) ※夢幻郷の一部を覗き見る事が出来る。
《所属ギルド》
【B・N・G】
◆【混沌】バカンス・デカダンス
◆【禍つ女】点
◆【檮杌】ブキョウ・キナガシ
◆【饕餮】ゲイン・バショク
◆【窮奇】明石・暮紅人
◆【獣王】ふらりぃ
◆【インビジブル】NON・EMPTY
◆【大蟒蛇】魅酒螺
◆コト・イワク
◆ミミナガ・メデカ
《フレンドリスト》
●『第三使徒』【治の司祭】ぷみら・みにま
●ぐすたふ
●アイアン
●ライ・クライ
●エスプレッソ・デミタス
●『メルティ・ローズ』【奈落に咲くもの】ヘルベティア・ローゼンリース
●【採集者】ロータス・ピットフォール
●『黒閃』【十輪の剣匠】TOWA
●『第四軍司令』【百錬将】方天画戟
●【埃の錬金術師】ノックス・N・トリノ
●『戦闘代行業者』【喧嘩屋】殴路羅
●『梟熊』【ねじくれ】ちろる
●『梟熊』【闇食い】ハクア
●【試し屋】リュウザ・ラッシュ
●【棘山猫】ローゼン・リンクス
●【オーバーキル】レッド・ナイヴス
●【古城の貴婦人】ラディアン・ブリリアンツェ・バームクーヘン
●【白き玄武】グレゴル
●【流騎士】フランベル
●【五色の雲舞う】韮井カナエ
●【飛刀使い】エンジ
●【楽匠】久遠
●『第十一使徒』【黄の司祭】シャンメリー・スパークル
●【鉄節】アイゼンヘルツ・ハイマン
●【木陰の瞳】エルツェ
●『剣の獣王』【片角】サクラン
●『死霊術パティシエール』【煉獄の蔓薔薇】ふろらんタン
●『黒き魔弓』【蒼丘の主】ラン・C・ストラトス
●『黒き輝き』【瞬速の貴公子】ステイン・グレイ
●【理の助祭】ライラック・L・シチョーカ
●椎野くぬぎ
●キーラ・キラルル
●茴香
《従士隊》
◆プルカリ【リビングメイル】♀(ガーディアン)
◆コルベル号【ロットワイラー】♂(番犬)
◆シュロ【白猫】♂(ストレイキャット)
◆フレデリック【うりぼう】♂(ゴミ漁り)
◆がじゅまる【アギル・カクタス】?(観葉植物)
◆シトリン【マーモットリング】♀(バトル・ファーマー)
●バコツ・ドコゾノ【エクウスリング】♂(無頼漢)
《積載獣》
◆アンドレイア号【荷馬兼乗用馬】♀
◆ディムナール号【荷馬兼乗用馬】♀
《ギルド部屋の金庫(99)》
ロセオの花瓶、クロウトの皿、耳長新報(創刊号)、厚手の手袋(左)、紺のベレー
《工房の所持物品》
古びた荷車、空の頭陀袋×40、石のフィギュア×11、宝石の卵×2、バルグナン・パフェグラス、もっと黒い塵芥×1、すごく黒い塵芥×1、黒い結晶×1、すごく黒い結晶×1
… … …
コトにスキルを教えた後、クラッシュと別れ、市内へと戻って来た。
コトは大通りの露店を観ながら帰るみたいで、バカンスもノロノロと後ろを着いて歩く。
東門から大通りを抜け、中央広場まで来ると左に折れる。ギルドに戻るなら右だが、右は大店の商館が多く、露店は少ない。
南は露店、商店、フリーマーケット、旅商人が乱立する中央市場通りの中心だからこそ、見たいのであろう。
「何ですか、アレ?」
不意にコトが声を上げた。見れば通りの先には、ゴツくていかめしい、黒塗りの馬車の様な檻状の箱が見える。その箱の丈は普通の馬車よりも子供一人分程高く、異様・異質な風貌を放っていた。
「あれは……奴隷商だね。リオレでは殆ど見ないけど、南方には多いよ。戦乱が続いてるから」
コトは奴隷商そのものを食い入る様に見ていたが、バカンスはまた違うものを見ていた。
リオレには基本、奴隷商は来ない。16覇の議題で奴隷売買・利用の非推奨を取り決めたからだ。
『禁止』ではなく、『非推奨』である。
古代ローマや、中世の暗黒時代などでは、奴隷制度は非人道的な事ではなく、人々の生活の中にあって当然のものだった。現代を生きる自分達の価値観からすれば、乱世や中世ファンタジーならではの必要悪的な立ち位置の文化であろう。
ゆえに完全に禁止として、この世界を現代人の世界に書き換えるという事はせず、あくまでも非推奨なのだ。
バカンス自身、山賊などの悪徳NPCを金銭に変える為に利用した経験はあるし、自身が売られる立場にならぬ様に立ち回る事も、この世界で生き残り、のし上がるのも、ゲームとしてのプレイヤースキルというものであり、完全禁止して今の価値観に書き換える程に世界観を壊したくはなかった。
しかし、リオレで奴隷の利用は大分減ったし、解放された奴隷も多く、いつしか奴隷商が来る事態も激減した。
彼等の元締は、上層になればなるほど、その事を知っているし、こんな時期にやって来るヤツは、相当のモグリか、切羽詰まった訳ありであろう。
周囲を見れば、怪しい珍客の到来を見に来た者達の姿を伺う事が出来た。
まず、近くのパーラーではふらりぃがフラッペの様なものを食べ、アカシが読書をしているし、少し奥の方では、アレもコレもと言ってノンが野菜を買い込んでいた。
中央広場に店を構える行商ギルド『鉄靴の足跡』の商館では外のベンチにて、いかにも休憩中とばかりにサブマスの時雨がゆったりとタバコをふかしている。
南通りにある左右の細い路地には、オタクの格好をした男や、衛士隊の制服を着た男もいるし、広場の聖女教中央神殿の前には、侍祭達に紛れる様にして、神殿の副助祭までが掃き掃除に加わっていた。見た所では明確な姿はないが、恐らく何処かに武器防具組合の丁稚も、馬車が見える程度の位置には居ると思われた。
次に馬車の様子を伺う。口上を垂れる男は、紫のローブを着ていた。ミシュラからは壁外にて時折存在が確認された連中、人身売買組織『ドレッドノート』の下位構成員である。
立ち方の直立具合や、体感が微動しない僅かなぎこちなさから、NPC構成員と思われる。
そこから、売れ残りの不人気商品を金にする為に自販機代わりに各地に送り込まれるNPC販売員と推察された。かの組織のプレイヤー達なら、リオレの世相とBNGの存在を懸念して、こんな白昼堂々と中央広場直近の南大通りで奴隷など売らない。
つまり、相手は考えなしで悪党に雇われる事に躊躇もない、頭の悪い末端のNPCであると推察出来た。
売り物は、大半がオークの兵隊の様だ。幻妖国の更に南に点在する大森林の部族達は、領土拡大で北上を目指す南方の小国家群の貴族達と争いを続け、その戦力の一端は、ローゼンガルドのオーク傭兵が担っていると聞いているので、その流れで囚われた戦争奴隷、いわゆる『戦奴』と言うやつであろう。
しかも、こっぴどくやられたのか、手足が欠損して傷だらけ。不良在庫が、幻妖国辺りで売れ残り、仕方なくここまで流れて来たというのが容易に伺えた。四大国の階であるリオレでも、アレは売れないだろう。少なくとも、真っ当な者に買われるより、試し斬りや人体実験など非人道的な買い手に買われていく未来が見えた。
「コトさん……」
あまり関わるべき相手ではない、と話そうとした矢先であった。コトが突然、大声を上げたのである。
「バジー!セバロ!ミダ!ゾーデ!『うすのろや』のンゴラゴ!!どうしたのッ、そんな所に!一体何があったのよッ!!」
「こと……ナノカ……」
なんてこった、その一言である。
まずは自然に通り過ぎ、泳がせた先にて何処かでノンに情報を聞き出させ、始末させるつもりでいたのだが、これはその前に一悶着確定である。
各陣営の耳目たちに、猜疑と若干の緊張が走る様が感じ取れる。
ぷみらと方天画戟はフレンドだから談合もありだが、エリディスとは不仲と聞いている。ふろらんタンや鉄LOWとはどういう間柄か知らない。接触があっただろうか?まあ、ドレッドノート相手なら共闘の道はあると思う。大陸北部で鎬を削る、BNGや四大国にとって、北上さえしなければドレッドノートなど捨て置く程度の悪。些事と言える範囲内と言えるだろう。
まったく、君といると退屈しないねぇ。バカンスはそんな事を思いつつ、コトの行う顛末を見守る事にした……




