BBQ
今朝の予定は、コルベルを連れてミミナガ君の案内で以前約束した看破キャンディの店へと連れて行ってもらうことに。
南街区の南端の方、職人長屋の建ち並ぶ区画の奥の目立たない所にその店はあった。
「こ、これは…」
小さい年期の入った小屋の軒先に、木で作られた台が並んでおり、手のひらサイズの食品類…カラフルな飴やガム、クッキーにチョコ等が箱や瓶に詰まった状態で所狭しと陳列されていた。
「だ……駄菓子屋だぁーッ!」
『D・G・C』…古びた木のボロ看板に書かれた屋号には、小さく『ダー・ガー・シー 』とルビがふってあった。
インスタント・マジックアイテムのショップかと思いきや、それはまごう事なき駄菓子屋であった。
「そうです!D・G・Cは安価で魔法菓子を買える駄菓子屋さんなんです」
おおー、まさかこの世界で駄菓子屋が堪能出来るとは思わなかった。なんかテンション上がる~!
さっそく品物をチェック。アメ、チョコ、ガムをはじめとしてどっかで見たようなラインナップに思わずニヤケてしまう。
どれもちょっとした特殊効果があるらしく、箱やパッケージに説明がある。一つ1パカシなのはお徳なのだが、どうやら『アタリが出たら、特殊効果!』という事らしい。
ミミナガ君は効果有りの看破キャンディを複数持ってたけど、あれは予約で手に入れた箱買い仕様なんだって。
つまり、店で1パカシ払って当たるかもしれないっていうキャンディを200パカシで10粒全部当たりのみの箱で注文した結果らしい。この店、店内のくじ付き品をプレイヤーに買い占められない様に一個ずつ買う店売り品と予約品で差別化を図っているのだ。
大人買いの予約も限定生産を理由に一人に付き2週に一種、一箱のみ。店売りも連続して買い続けるとすぐに売り切れたりして買い占め出来なくされてるんだって。
まあ、私も金にモノを言わせてのズルはしたくないし、その仕様は何となく好感がもてた。
「いらっしゃい」
「こんにちは!」
店内から、腰の曲がったお婆ちゃんが出てきた。いかにも、歴代の街の子供たちの成長を見て来ましたって感じの方で、駄菓子に来た雰囲気を加速させてくれる演出だ。運営さん、分かってるね!
手始めに看破キャンディを見付けた私は、パカシ銅貨を二枚渡す。箱を軽く振って、取り出し口の上に着いたボタンを押すと真ん丸なキャンディが出てくる。
「はずれた~」
二つとも、飴の表面にハズレの文字が書いてある。私はもう1パカシを渡して再度ボタンを押す。
「……お?」
☆のマークが着いた飴が出てきた。当たりだ。三回やって一回当たるかも…という位なら、ハズレ有りとは言え良心的なレベルだ。さて、次は何を買おうか…
… … …
駄菓子屋を存分に堪能した後は、ミミナガ君と買い出しを行う。何でも、親しくなったNPC達が本日バーベキューに誘ってくれたそうで、友達も呼んで来ていいと言ってくれているらしく、私とコルベルも参加させてもらう事になったのだ。
そう言えばミミナガ君はどこをホームにしているのだろうか、南ギルドにも柳屋の様な宿があるのかと思いたち聞いてみる事に。
すると、彼は南街区の民家に下宿していると言うのだ。
なんという事だろう!そんなオイシイ生活方法もあったとは…迂闊だった。
私とした事がホームステイという選択に気付かずにいたとは…やるな、ミミナガ君め。ちょっとくやしい。
市場で野菜を中心とした食材をタップリと買い込んだ後、彼の下宿先へと向かう。
そこに見えて来たのは、古く年期が経ってはいるが、味わい深い木造の邸宅だった。
なんか昭和の日本家屋って造りで、上下階合わせて8~10部屋はあるんじゃないだろうか。
そんなお屋敷で出迎えてくれたのは、小さい羊の角を生やした優しげなお婆ちゃんだった。
「お帰りなさい、ミミナガ君」
「ただいま帰りました、ラムラサさん!」
続けて私も紹介され、挨拶をする。
このラムラサさんが下宿の大家さんだそうで、まずは縁側でお茶を頂きつつ色々とお話を伺ってみた。
娘さんが他所へ嫁ぎ、ご主人が亡くなって後、一人になってしまったラムラサさんにとってこの大きな家は広すぎて淋しく感じる様になってしまったらしい。
亡くなったご主人さんは骨董及び珍品コレクターとして有名だったらしく、屋敷はいつも友人知人の好事家達で賑わい、騒がしかったのだそうだ。
広い家も、元々はそれらコレクションの置き場として沢山の部屋を利用していたらしいのだが、亡くなった折に形見分け等で幾らかを処分し、部屋を空ける事で下宿として利用する事に決めたというのが事の初めなんだって。
ラムラサさんとしては、またこの家が賑やかになる事と主人の想い出の品を大事に活用してもらえる事があれば嬉しいと思えばこその下宿化だったが、幸いな事に今はミミナガ君を含めて四人の下宿人と仲良く暮らしているそうだ。
そして今回は、その下宿人の一人である猟師さんが音頭をとって、バーベキューを計画してくれたとの事。
そんな話を聞いているうちに、一人、また一人と噂の三名が姿を現し、私は挨拶を交わしていく。
「やあ、よく来てくれたね!僕はルーニィ。悠々自適に猟師をやってる。今日はたくさん食べていってよ」
鹿の角を生やしたルーニィさん。ひょろっとした体型にも関わらず、山で解体した肉の塊を持っての登場には驚かされた。
ミミナガ君が言うには、普段はものぐさで昼行灯な彼だが、色々と酒宴や会を画策するのが好きなお祭り男で、下宿先の宴会部長なのだそうだ。
ちなみにミミナガ君の入居時は芋煮会が行われたらしい。
「いらっしゃ~い、飲み物は私が用意したのよ~って、キミたちまだ飲める歳じゃないのね~。まあ、果汁関係もあるから安心よぉ~」
民族衣装の様な服を着た気怠い美女、ハクレンさんは角のある龍人だ。
大量のお酒類を抱えて超御機嫌な様は、既に出来上がっているみたい。
ミミナガ君曰く、バーで働いていて常時ほろ酔い状態なお方との事。
綺麗だし、気さくでいい人ではあるんだけどね…
「ど、ども!アグルっす。何でも屋やってます。雑用とかペット探しまで何でも対応するっす。よろしくっす!」
最後はフリーターなアグルさん。タヌキ尻尾な太っちょさんで、ちょっとオタクっぽい雰囲気の人。
フリーランスの何でも屋で、貧乏生活だが、色々と小手先の器用さは重宝する方らしく、ミミナガ君は彼から取材の種になるような話を買ったりもしているらしい。
バトルありきの何でも屋である私ら冒険者にとっては、サポート要員として協力を得られそうな人材と言える様だ。
そんな三人とミミナガ君の計四人とラムラサさん、それとルーニィさんの相棒の狩猟犬『サラダ』(何でそんなにヘルシーな名前なんだよ!と思ったが、幼犬時から大食いだったから「自重しろ」という意味で付けたんだって)がここで暮らしているのだ。
それぞれ個性は違うけど、何かいいなぁ~と思える気のいいメンバー達との出会いを、私は素直に喜んだ。
その後、ルーニィさんがトリミングしてくれた肉(捨てる切れ端もサラダとコルベルが仲良く食べた)をメインに、私達の野菜類と共に炭火で焼き、ハクレンさんの飲み物を飲みつつ、皆で飲み食いを楽しんだ。
その内、気のいいご近所さん等も集まって来て大宴会となり、大いに盛り上がった。
いやー、ミミナガ君の下宿生活はいいね。下町の良さをフルに堪能してるなーってのが見るからに伝わって来て、正直羨ましいよ。
まあ、私もラムラサさんと仲良くなれたから、今後は遊びに来れるけどね。
それにしても、ラムラサさんは骨董大量所持という所も私的にポイント高いね。
聞けば、ミミナガ君が新聞作り始めたのって、自室の押入れに古びた小型印刷機があったからなんだって言うじゃない。
それって此処での下宿が切欠で、お爺さんの形見の有効利用という事でラムラサさんからも応援されて、印刷機も貸し出ししてくれたっていう流れで出来た結果なんだよね。
いやぁ、すごく素敵な一期一会の末の話なんだなぁ…って、感じ入っちゃったよ。
いやー、今日は存分に堪能しまくったよ。ごちそうさま。
… … …
NAME:コト・イワク 種族:タト族 LV15 キャラクタークラス:転売屋 RANK:F
STR58 VIT55 DEX66 MEN64 SPD60
《所持金》
36582P
《師事》
『弧を描く餓狼』ガラム・マサラ
《習得技能》
工芸(LV1) ※工芸品知識及び製造におけるプラス補正。補正値はレベルに準ずる。
目利き(LV10) ※一定の商業系スキルにプラス補正。NPC商店訪問時にレアアイテム出現率が微細にアップ。
体術(LV21) ※格闘系スキル。強力な武術ではないが、あらゆる格闘技の基本となっているスキル。
《フィート》
【綺羅星の加護】
《装備品》
木綿のセーラー、指ぬき軍手、紺のベレー、皮のくつ、願いのミサンガ
《所持品》
肩掛けカバン(12)×2、水筒(小)、ペン付き手帳、遠眼鏡、小型ナイフ、初期財布(100)、お菓子の巾着
《アーティファクト》
鑑定魔のモノクル(C) ※レア度C以下のアイテムの鑑定。
《フレンドリスト》
●トイトイ・ホー
●ミミナガ・メデカ
●ぷみら・みにま
●ぐすたふ
●モア・E
●シャンプー・ザ・ハット
●アイアン
●JAMJAM
●ライ・クライ
●エスプレッソ・デミタス
《登録ペット・使い魔》
『コルベル号』【ロットワイラー】♂(通い・ポルカ牧場所属)
《宿泊部屋の金庫(99)》
ロセオの花瓶、クルリエの錆びたスプーン、クルリエの錆びたナイフ、クルリエの錆びたフォーク、クルリエの錆びた包丁、???の皿、蒼き???水差し、チュチャチュッチョ・チャチャチュッチオの手織りペナント、きれいな石ころ、エマ・ランナのサンダル(左)、耳長新報(創刊号)
… … …
~リオレ探訪メモ~
◆駄菓子屋『D・G・C』
南街区の路地裏にてひっそりと営業する駄菓子屋さん。立地的にも非常に分かりにくく、街をすみずみまで調べる位の勢いのあるプレイヤーでないと知らない人も多い隠れショップ。
パカシ銅貨一枚から購入出来る菓子類を取り揃えている安価な店だが、低品質の薬効や最小のバフ効果のあるお菓子が多種揃っており、私達新米冒険者にとっては案外馬鹿にならない品々であったりする。
大量の菓子類はインベントリを圧迫するが、店内には限定販売品の『お菓子巾着』(店舗ロゴ入り)が25Pで販売しており、私も思わず飛びついてしまった。
本日売っていた菓子は、何とか気合でコンプしちゃった。当たりハズレがあるんで、一つずつしかゲット出来なかったけれど…。
説明は以下にざっくりと書いておく事にする。
『看破キャンディ』 対象一体のステータス表示。
『兵糧丸ラムネ』 一食分の栄養補給。
『抵抗力チョコボール』 五分間、魔法被ダメージ-1。
『精神補給ゼリー』 精神力1点回復。
『スタミナカステラ』 疲労度、微回復。
『毒消し酢イカ』 七分の一の確率で解毒。
『エリア外通信シール』 二枚入りで一時間、貼った者同士エリア外通話が出来る。
『痺れ取りきな粉棒』 七分の一の確率で麻痺回復。
『分身タトゥー』 五分間分身を出せる。
『敏捷すもも』 五分間敏捷+1。
『耐久グミ』 五分間耐久+1。
『メンタルふ菓子』 五分間精神+1。
『技巧ヨーグル』 五分間器用さ+1。
『つよい棒』 五分間筋力+1。
『経験値ガム』 経験値1ポイント獲得。
『モンスターチップス』 地域別魔物説明カード付き菓子。
『煙幕ボール』 簡易煙り玉。
『パッチリ・ジュース』 水に溶く粉ジュース、七分の一の確率で気絶回復。
『チューペット・ポーション』 生命点1点回復。




