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未来受信機  作者: 星降る夜


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16/25

16 ニュース観た? 


 「今日は神社の境内で縁日があるぞ」


 お祖父ちゃんに言われて夕方から神社に行くことになった。この間最後に回った、一番大きな神社だ。


 「幸助。金魚すくいで競争だ」


 河野君と高津君が元気よく拳を合わせていた。


 「瑠璃もやるだろう?」


 河野君に聞かれて首を振った。金魚すくいは苦手だ。秒で紙が破れてしまう。


 「瑠璃ちゃんは僕とヨーヨー釣りしよう」


 高津君のお兄さんに言われて頷いた。


 「皆の浴衣を用意してあるから、着ていきなさい」


 河野君のお祖母ちゃんが浴衣を用意してくれた。淡い水色にピンク色で桜の花が描いてある。こんなにきれいな浴衣は見たことがなかった。


 加奈子おばさんが慣れた手つきで浴衣を着せてくれた。


 「瑠璃ちゃんはお顔が、小っちゃいわ」


 加奈子おばさんが感心したように言うけど、子供だからだと思う。髪も編み込んでくれて、飾り紐を結んでくれた。


 「可愛いわよ」


 おばさんに言われると恥ずかしかった。


 男の子達も浴衣を着せてもらっていて、お祖母ちゃんから、走らないように注意されていた。まだ小学生だものね。


 「瑠璃ちゃん、危ないから手をつないでいこう」


 高津君のお兄さんに言われて手をつなぐ。境内に着くと河野君と高津君は走って行ってしまう。走らないように言われていたのに……。


 「なにかあったら連絡してね」


 そう言うと、加奈子おばさんが急いで2人を追いかけた。


 「あいつら……。仕方ないな。僕達はゆっくりいこう」


 入り口で綿あめを買ってヨーヨーを釣る。しばらく行くと金魚すくいの桶のところに2人の姿を見つけた。もうすでに何匹か入っている。


 黒い出目金を見つけて指を差す。


 「わぁ、あの金魚可愛い」

 「黒い出目金か、珍しいな」


 河野君がちらっとこちらを見る。


 「瑠璃は黒いのが良いんだな」


 そう言うと、真剣に金魚を追い始める。


 あっ、なんか、悪いこと言っちゃったかも。別に欲しいわけじゃない。生き物は苦手だから。


 「瑠璃ちゃんも、金魚すくいやる?」


 お兄さんに聞かれて首を振った。もっと他を見てみたかったから。


 お兄さんが射撃に挑戦して、小さなクマのぬいぐるみを取ってくれた。それからハッカパイプを買って、皆にベビーカステラを買った。


 「瑠璃っ!」


 呼ばれて振り向くと河野君と高津君がこちらに来る。手には黒い出目金が入った袋を持っていた。取れたんだ。


 「その金魚、取ったの?」

 「ああ、おかげで幸助には数で負けたけどな」


 そう言うと河野君はニカッと笑った。


 持って帰れるわけじゃないけど嬉しかった。


 「ありがとう」


 小さく呟いた。なんだか無性に恥ずかしかったから。


 それから、皆で焼きそばや、お好み焼きを食べた。縁日もお友達と来るとこんなに楽しいんだ。いつの間にか私の中で河野君と高津君は友達になっていた。


 「そう言えば、昨日の竜巻はニュースになっていたわよ」

 加奈子おばさんがラムネを飲みながら話し出す。


 「大地と幸助も映っていたわ」

 「まじか、テレビに映ったのか?」


 河野君の言葉におばさんが頷いた。


 「朝刊にも載ってたじゃない。2人で魚抱えている雄姿が」


 そう言って加奈子おばさんが笑った。


 「俺達テレビ出演したんだな」


 河野君が嬉しそうに高津君の肩を叩いた。


 「瑠璃も一緒に魚持てばよかったな」


 河野君に言われて苦笑い。魚は見るのは好きだけど、触るのはやっぱり苦手だった。


 

      ♢      ♢      ♢


 「久美、ニュースに高津君が出ているわよ」


 お母さんの声に慌てて携帯から顔を上げる。テレビの画面を見ると、高津君と河野君が魚を持って映っていた。


 「和歌山で竜巻があったみたいだけど、被害がなくて良かったわね。高津君の田舎は和歌山なのかしらね」

 「高津君のお父さんは医者だったか?」


 お父さんの言葉に頷いた。


 「一緒に学級委員をやっているの。すごく頭がいいんだよ」


 私が言うとお母さんが嬉しそうに笑う。


 「仲良くしなさいね。将来有望な子は今から捕まえておくのよ」

 「おいおい、久美はまだ小学生だぞ。捕まえるなんてな……」


 お父さんが呆れたような声を出した。でも私はお母さんに賛成だ。今のうちに仲良くするんだ。絶対に皆がうらやましがる。それがまた、気持ちいいのよね。その時ラインが入った。名前が出る。「鈴木由紀奈」あっ、たぶんニュースの件ね。


 案の定、『ニュース観た?』 だった。そのあとに気になることを見つけた。


 『隅に田中さん映っていなかった?』


 えっ? まさか……。いるわけないじゃない。和歌山でしょう?


 『見間違いじゃない?』

 

 私が聞くと『そうだよね……。』


 嫌な予感が拭えなかった。


 でも、そんなはずはない。


 高津君と話しているところなんて見たことがなかった。一緒に和歌山に行くなんてありえない。





 

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