陸話
裏切り者は赦しを欲し、臆病者は救いを求めた。
「もう良い加減解放してくれない?」
「ダメだ」
アルカディアは未だに捕らわれたままだった。誰も助けてくれなかった。
「解放してくれたらカリナンIをあげるよ」
「真の輝きは内側にあることを知ってる俺には無用な物だな」
「うわーん」
「……一体いつまでここに居るつもりで?」
「さぁな、よくわからない」
「えー、お客さん達が彼を見ると驚くんですよ。縛られてるだなんてどう足掻いても怪しいお店になるじゃないですか」
「昇に言われたんだから仕方がないだろ」
「彼は彼で大丈夫でしょうか……」
「大丈夫だろ、悪運強いし」
「ここに居たのか」
「お前か、何の用だ?」
「実の弟に話があるだけさ」
エルドラドはアルカディアの前に立った。
「えーん、兄さん助けてー」
「何を勘違いしている。俺はお前を助けに来たわけじゃない」
「嘘だッ!!」
「聞きたいことがある」
「何?」
「お前の目的はなんだ?」
「……………」
「兄さんにも言えないことか?」
「………失いたくなかった。彼を、人間のままでいさせたかったから。不老不死にすれば、きっと、こんな姿にはならずに……」
「ふーん……別に、俺はそんなこともうどうでもいいんだよな」
「……え?」
「最初の頃は大変だった。死ぬ気で生きた。でも、今は新しい家族ができて、すごく、幸せだ。何より、お前が無事で良かったと思ってる」
「……僕は、悲しかった。目の前で、大切な人が消えたあの苦しみが、今でも身体を蝕むんだ」
「……そうか。でも、あいつらは関係ないだろ? 元の世界に帰してやろうぜ?」
「……間に合うの?」
「間に合うさ。な?」
「……わかった。責任を持って元の世界に帰すよ」
「おう、それでこそ俺の弟だな!」
そうしてエルドラドはアルカディアの縄を解いた。
「おいおい、良いのか?」
「おうよ、こいつは俺と違って嘘が嫌いだからな! それじゃあ、まずはあの人間を助けるか。今は戦っているんじゃないか?」
「そうだね、援軍に行こう」




