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冒険キャンプに出発だ! よん

『無自覚なオッドアイ』の一巻、アース・スター・ノベルさんから絶賛発売中です!

 ようやく三号小屋に着いた時には、もう日が暮れかかっていた。


(今すぐ小屋の中で、寝そべりたい!)


 って思ったけど、アルノーさんが、


「暗くなる前に、食事の支度だけでも終わらせてしまった方が良いですね」


 なんて言うもんだから、しかたない。


「はーい……」


 とりあえず荷物を降ろすために小屋に入ると、奥にある作り付けのベットが目に入った。足がフラフラと吸い寄せられそうになるのをグッと踏みとどまって、リュックを置くと、小屋を出た。


 さて、ご飯の準備だ。

 わたし、エドガー、マキシムの三人で、手分けして薪を運んだり、井戸から水を汲んだりする。

 特に水は料理用とは別に、トイレの手洗い用と飲水用もいるから、けっこう大変なのよね。

 ありがたいことに小屋の横手に『ペラの葉』がたくさん生えているから、二十枚ほどちぎって手洗い桶の横に置いておく。


 その間にアルノーさんは、大きな鍋と竈の準備をしていた。


 夕飯の献立は、冒険者ギルドで売っていた『スープ麺』。乾し肉と乾燥麺、そして味付き乾燥野菜が入っている人気商品で、作り方もスゴく簡単!

 お鍋のお湯が沸いたら、そこに全部放り込んで煮込むだけ! お料理した事がないわたしでも、問題なく作れる優れもの! しかも。


「美味しい!」


「ホントだ。チョット辛いけど、美味しい」


「なぁ、アルノー。おかわりって、出来る?」


「たっぷりありますから、いっぱい食べてください」


 わたしの隣では、今日、いっぱい頑張ってくれたウォルドも、ご飯の最中だ。

 ワンちゃん用のご飯用として、祖父さまから預かった乾し肉をお湯で柔らかくしたものだけど、尻尾をブンブン振りながら食べているから、きっと美味しいんだろう。


 すっかり暗くなったけど、小屋の入り口に取り付けられた大きな魔道灯のおかげで、辺りは明るいし、使った食器を洗って片付けると、ようやくのんびりと辺りを見ることができた。


 アルノーさんが入れてくれた薬草茶を飲みながら、空み見上げる。木がちょっと邪魔だけど、いつもよりも星が大きく見える気がした。


 ***


 キャンプ二日目は、朝から森の中を散歩したり、木ノ実を探したりした後、午後からは近くの川で釣りをすることになった。


「大物を釣って、夕飯にするぞ!」


「どっちが沢山釣るか、競争しようよ!」


 エドガーとマキシムが釣竿を手に河原へと走っていくと、そこら辺に転がっている石をひっくり返し始めた。


「ねぇ、アルノーさん。あの二人、何してるの?」


「土虫を探しているんですよ。釣りをするには、釣り針にエサになる土虫をつけないと、始まりませんからね」


「アルノー! これは勝負なんだから、マキシムの土虫は、自分で付けさせてないとダメだからな!」


 なんかウニョウニョ動くものを手にしたエドガーが、大声で言ってくる。


(どうやらマキシムは、土虫が苦手みたいだけど、どうするんだろ?)


 なんて思いながら、見ていると、


「いつまでも、昔の僕だと思わないで欲しいね」


 ニヤリと笑いながらマキシムがポケットから取り出したのは……銀色に輝くピンセット!


「あっ、ずるいぞ、マキシム!」


「ずるい? 違うね。賢いと言ってくれる?」


 自慢げにピンセットで土虫をつまむけど……。


 プチッ!


 力を入れすぎたのか、土虫はだらんと垂れ下がって、動かなくなってしまった。それを見たマキシムの顔ときたら、思いっきり、『うげー、嫌なもの見ちゃった』って感じでさぁ……。

 さっきまで、すごく自慢げだっただけに、その差が……その差がね……ぷっ、ぷふっ。


(いや、ダメ。笑っちゃいけない。笑っちゃいけないわ、エミリア。ここはこらえるのよ!昨日エドガーに笑われて、腹が立った事を忘れたの?)


 両手で口を押さえて、ついでに息もとめたおかげか、なんとかこらえる事が出来たけど、そのせいで腹筋が痛い……。


 その間にマキシムはつぶれた土虫を振り落とし、新しい獲物に取り掛かっていた。今度はそっとつまむと、そのまま釣り針に引っ掛ける。

 ただし、両腕をめいっぱい伸ばした状態で、だけど。


(でも、確かにこのウニョウニョは、ちょっと気持ち悪いかも……)


 石をひっくり返して見つけた土虫を見ながら、思う。それを見たアルノーさんは、わたしも土虫を触るのが嫌だと思ったのだろう。


「エミリアさんはのは、私が付けますよ」


 笑いながら土虫をヒョイと摘んで、わたしの竿の針に引っ掛けてくれた。


 釣り初心者としては、どこで釣ったら良いのかわからないから、ここはウォルドの野生の勘に頼ることにした。


「ねぇ、ウォルド。どこにお魚がいると思う?」


「ウォン!」


 自信たっぷりに歩くウォルドについて行き、木の陰になった岩の上で止まったので、そこに腰かける。


「ここが良いのね。ありがとう、ウォルド!」


 そして見よう見まねで釣り竿を振って、糸を垂れた。


 釣りの結果はエドガー・(小)一、(中)二の合計三匹、マキシム・(小)四匹、アルノーさん(大)二匹、そしてわたしとウォルドは(大)一、(小)四の合計五匹となった。


「重さだと、俺の勝ちだよな」


「数だったら、僕の勝ちだよ」


 エドガーとマキシムが競争の勝ち負けについてちょっと揉めてたけど、重さだったらアルノーさんだし、数なら、わたしが一番よね? だけどエドガーに言わせると、


「だってアルノーは大人だし、エミィはアルノーに手伝ってもらっただろう。だから競争の枠外!」


 らしい。なんだか納得できない……。


 ***


 夕飯は、釣ったお魚を串に刺して焼いて食べた。お塩をふっただけのお魚がこんなに美味しいなんて、知らなかったや。今度、父さまや母さまにも教えてあげよう。

 横では、今日も大活躍だったウォルドが嬉しそうにお魚を食べている。ただし、こちらは骨を外したものだ。

 だって可愛いワンちゃんの喉に、骨が刺さったりしたら、大変だもの。

お読みいただき、ありがとうございます。

目の検査を受ける為に、今週末より10日間のコンタクト禁止令が出ました。強近視なので眼鏡での対応も難しいため、2週間、更新をお休みします。

その為次作の投稿は4月1日午前10時を予定しています。


評価及びブックマーク、ありがとうございます。

感謝しかありません。

また、<いいね>での応援、ありがとうございます!何よりの励みとなります。


誤字報告、ありがとうございます。

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楽しく読ませてもらっています! 目の方、どうぞご自愛下さい。 更新をゆっくり楽しみに待たせて頂きますm(_ _)m
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