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冒険キャンプに出発だ! さん

『無自覚なオッドアイ』アース・スター・ノベルから、ただいま絶賛発売中です!ピッコマさんでも読めます!

「エミリアさん、埋めるのはダメです!」


「おい娘、其奴(そやつ)は霊鳥だと言っただろうが!」


 アルノーさんとジルが叫んでいるけど、それが何? 乙女をカタツムリと間違えて拐った罪は、重いのよ!しかも、『ごめんなさい』もしてこないんだから!


「バカ鳥、覚悟しなさい!」


 ザワワン!


 まだ『ペラの葉』の蔓が所々絡みついているシームグル(パカ鳥)の顔以外を、茨で何重にも囲い込む。

 

「ワキョ、キョキョキョ?!」


 クックック。いくら伝説の霊鳥でも、ここまでしたら動けないはず。


 右手に持った『ひっかけ君』をクルクルと回しながら、緑の塊の直ぐ側に足場を作る。その上にヒョイと飛び乗ると、バカ鳥の顔に『ひっかけ君』を突き付けて、ニマリと笑う。


「さて、覚悟は良い?」


「キッ?! クゥークェ、キョキョ!」


 急に慌てだしたけど、そんなの知らない。ひっかけ君を両手で握り、思いっきり後ろに引いて……


「おい! 自分に何かあったら、残されたヒナが心配だと言ってるぞ!」


 その瞬間、手が止まる。

 そしてお腹をすかせたヒナが、一人ボッチでミーミー泣いている姿を思い浮かべた。


(確かにそれは、かわいそうかも……)


 そう思ったけど、なんだろう……なにかが引っかかる。

 そもそもわたし、シームグルのヒナなんて見たことがないよね? だけど頭のなかにスゴくはっきりと、ヒナの様子が浮かんでいるのよ。それも、気持ち悪いくらい。

 あっ、これってもしかして、シームグル(バカ鳥)が見せてるんじゃあ……? 

 シームグルを見ると、その目がズルそうに光るのがわかった。


「ねぇ、ジル。シームグルのヒナって、灰色のモフモフ綿毛で、頭のてっぺんに葉っぱみたいな羽根が三本生えてる?」


「よく知っているな、娘。色は巣のある場所によっ変わるが、見た目なは確かにそのとおりだ」


 目を見開いて驚くジルの返事に、確信した。

 間違いない。どんな方法なのかはわからないけれど、この鳥はわたしの同情を引くために、わざとヒナの様子を見せてるんだ。

 

 だけど所詮は鳥ね。ちょっとばかり、やりすぎたわ。だって巣の周りに、カエルやトカゲが沢山転がっているのまで、見えたんだもの。

 あれだけあれば、しばらくは持つんじゃない?大丈夫! 好き嫌いしなければ、すむ話よ。それに。


「ねぇ、ジル。ヒナが孵るって事は、親がもう一羽いるってことよね?」


 だったら、なおさら問題ないと思ったんだけど、


「いや。此奴は溜まった霊力を凝縮して卵を産むから、親は此奴だけだ」


 ちっ。なかなか思ったようには、いかないものね。その時、それまで黙っていたダミアンが、話に入ってきた。


「なぁ。そのヒナってのは、可愛いのか?」


「色は地味だけど、まん丸な顔や、大きな目は確かに可愛いわ。泣き顔だから、ちょっと情けない感じだけど」


 ダミアンは、わたしの答えに頷くと、シームグル相手に交渉を始めた。


「よし。なら、それを俺にも見せてくれないか。タダとは言わない。実は俺、デッカマイマイの群れがいる場所を知ってるんだ。それを教えるよ」


「クェ〜、ギィキョ。クェ〜、ギキョキョキョ!」


「嬉しい、痛てぇ。助かる、痛い痛い痛い!」


 嬉しさのあまり茨の中で動いたのだろう。シームグルが、喜んでは痛がるという顔芸を繰り返すのを、ジルが丁寧に訳してくれる。

 そしてそこからはジルを挟んで、ダミアンとシームグルの話し合いになった。こうなると、穴はいらない可能性が出てくる。


「ウォルド。穴掘りは、ちょっと待って!」


 可愛いワンちゃんが、せっかく掘ってくれるのを止めるのは心苦しかったけど、仕方がない。ありがたいことに、マキシムが揚げ芋の小袋を出してくれたので、それを食べるウォルドに謝りながら、盛大に撫で回す。


 その横で、シームグルにヒナの様子を見せてもらったらしいダミアンが、スケッチを取りながら、


「確かに、コレはかわいいかも……ただ、ヒナだけだとわかり辛いから、親鳥の姿も少し入れれた方が良いかも……」


 なんて呟いてる。こうなると、商会頭としては、大事な絵師の邪魔をするわけにはいかない。


「ねぇ、ジル。デッカマイマイの群れのいる場所って、ここから近いの?」


「いや。だが我ならは、半日程で行って戻ってこれる」


 どうやらジルは、ダミアンを乗せて走ることができるらしい。さすが、フェンリルだけの事はあるわ。


 **


「じゃあ、案内してくる。ついでだから、色々見てこようと思うから、三日後に合流って事で!」


 いつもより、少し大きくなったジルの背に跨ったダミアンが手を振るのに合わせ、


 ザワワン。


「クゥエ〜」


 囲っていた茨を一気に枯らすと、シームグルは嬉しげに羽ばたきだした。


 だけどこのまま逃がすのもなぁ……なんて思いながら尾羽根に手を伸ばして……思わず、ムンズと掴んでしまった。その結果。


 ブッチん!


「ギョエー!」


 ちょうど飛び立とうとしていた時だったので、わたしの手の中には、ちぎれた尾羽根が一本、残る事になった。

 上空のシームグルが、恨めしそうにこっちを見てるけど、気にしない。そもそもわたし、謝ってもらってないからね! だからこれは、わたしが拐われたことへの詫びの品として、もらっておく事にした。


「なあ、エミィ、それって……」


「あげないよ」


 エドガーが尾羽根に伸ばしてきた手を、ピシャリと叩く。


「ひでぇ。ちょっと見せてもらおうと思っただけなのに……」


「エドガーは、見るのも触るのも禁止! そもそもあんたは、わたしがカタツムリに間違えられた事を、笑ったじゃない。忘れたの?」


「えっ?! だってあれは、しかたないだろ?」


「しかたなくない! 絶対に許さないんだから!」


 そんなやり取りをしている間に、アルノーさんとマキシムが、枯れた茨の周りに抜け落ちた羽根を拾って、渡してくれた。一応霊鳥の羽根だから、何かに使えるかもしれないからと言って。

確かに!


 ***


「さて。予定とはだいぶ変わってしまいましたが、三番小屋へと向かいましょう。日が暮れたら、森の中は危険ですから」


 わたしにリュックを手渡しながら、アルノーさんが説明してくれる。それによると、今いる場所は、予定していた道筋からはかなり外れているけど、夕方には三番小屋夕方に着けるらしい。


 ホント、今日は疲れることが山盛りだったから、早くノンビリしたいよー!

お読みいただき、ありがとうございます。

次作の投稿は3月11日午前10時を予定しています。


評価及びブックマーク、ありがとうございます。

感謝しかありません。

また、<いいね>での応援、ありがとうございます!何よりの励みとなります。


誤字報告、ありがとうございます。

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