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愛犬がいればなんでもできる!…気がする!  作者: にゃんころもち
第三章
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犬かきのプロ


(砂浜に舞い降りたエンジェルが眩しい)


「……え、どう突っ込んだらいいの?」



翌日、水着で現地集合と言われミアさんと共に砂浜へ向かったのだが…そこで見た光景に、私は脳内がハテナマークだらけになった。


卵を任せようと思っていたのに全然見当たらなかったから、見学するモモと雛達に預けておいたんだけど。


まさか、ボスまで水着をはいているなんて。



「いつも裸なのに……」


(裸だなんて、破廉恥だね。毛皮のコートと言ってくれたまえ)


「あぁ、うん……私が悪かったよ」



見なかったことにするのが一番良さそうだ。気になるけど。すっごく気になるけど。


あと、団長がボディビルダーにしか見えない。普段着痩せするタイプだったようで、三度見してしまった。



「んじゃ、軽く体動かしてからあそこの岩まで行ってー……と思ったが、サシャ。泳げないんだって?」


「は、はいっ!すみません!」


「謝らなくていいぞ。こう見えて俺も泳げなかったんだ」


「え…?!団長にもできないことがあったんですか?!」


「そりゃ、あるさ。人間だからな」



誰だ、怪しいけどって言った人。同意するけど。



「よし…サシャは俺が教えてやろう。ジルコット!みんなを頼めるか?」


「おー。朝聞いた通りだろ」


「あの……頑張ってね、サシャ。さすがに死にそうだったら、助けるけど…」



どういうことだとオッドを振り返るも、早々と海に入ってしまい手遅れだった。死にそうだったら…?え、泳ぐ練習だよね?普通の水泳だよね?


嫌な予感がし、先手を打たねばと挙手をする。



「団長!一般的な方法で!お願いしますっ!」


「ははは!却下だ!なぜなら、一般的な方法なぞ知らんからな!」


「ちょ、なんで持ち上げっ……」



ドボンッ!と、海に放り投げられ死を覚悟した。泳げないって言ってるのに、なにを考えてるんだあの馬鹿団長は。なんにも話聞いてなかったんじゃないか。


海中でジタバタもがいていれば、すぐに引き上げられ盛大に咳き込む。すごい海水飲んじゃったし…!


引き上げてくれたのは団長だったが、殺されかけた恐怖からかパニックになった私は、つい……髪の毛を鷲掴んでしまった。



「おっと…掴むなら肩にしてくれ。髪はちょっと痛い」


「すいませ…じゃなくて!な、なんてことするんですか…!私のことそんなに嫌いだったんですか?!」


「ん?嫌いなわけないだろ?」



人間、死にそうになればなんでもできるんだぞ!


そう眩しい笑顔を向けられ、今すぐ気絶したくなった。ダメだこの人。初心者には向いてない。


その後いくら止めようが何度も海に投げられ、やっとみんなが助けに来てくれた頃には私は半泣きだった。号泣しないだけ褒めてほしい。



「ご、ごめんねサシャ…!全然気がつかなくて…!」


「いいんだよ……みんな、泳いでたしね…」


「ちょっとー!完璧トラウマになっちゃってるじゃないの!どーすんのよ団長!」


「す、すまん!おかしいなぁ……何人かはこれで泳げるようになったんだが…」



きっと、殺されると思ったからだろう。私もそうは思ったが、体が無理だった。だって勝手に沈んでいくんだもの。



「私…一生、泳げなくていいです」


「あー……まぁ、いいんじゃないスか?泳げなくても」


「そうだな。これ以上トラウマをでかくしちまう方が酷だ」


「だが…誰もそばにいない時、サシャが溺れたらどうするんだ?せめて沈まないくらいにはなった方が…」



いいと言ったのに、ミアさんが同意してしまい今度は全員で教えられることになってしまった。もう海水飲みたくないし体力も限界なんだが…言えない雰囲気である。下っ端はつらい。



「じゃあ、僕と手を繋いで入ってみよう。大丈夫、ゆっくりだから」



オッドを信用した、私が馬鹿だったのか。


最初はちゃんとゆっくり入水してくれた。しかし足がつかないところまできた途端、急に手を離し笑顔で言ってくれた。



「スィーってやって、バタバタするんだよ!頑張って!」


「誰か助けて!」



ボス!と呼べば、かっこよく助けに飛び込んできてくれた彼にしがみつく。訓練だから頼らないと決めていたけれど……今のは、危なかった…!



「人選ミスですよね…?!忘れてた私も悪いけど!」


「仕方ないわねー…ジルコット、ベル。私達で教えてあげましょ」


「自信はないっスけど…」


「お前らはそこで見てろよ」



シュンとした団長とオッドを陸に残し、三人と練習するも全く泳げる気がしない。


結局お昼になったため訓練を終え、みんなの足を引っ張ってしまったことに罪悪感を感じていれば、モモに背中を小突かれる。



(明日は俺も教えてやるよ。だから元気出せ)


「嬉しいけど……犬かき、だよね…?」


(そうだが、文句あんのか?こちとらプロだぞ)



ものすごく納得した。確かに、モモ以上に犬かきがうまい人はいないだろう。


モモと並び、犬かきで海を泳ぐ。


想像しただけでニヤけた。なんて幸せなんだろう。一度でいいから、やってみたい。



「明日頑張る…!モモ、お願いします!」


(おう、任せろ。礼は屋台の肉でいいぞ。魚は嫌だ)



最初からそれが目的だったのかと少し肩を落としたが、明日は本気で頑張ろうと思う。


みんなで並んで、犬かき。


私だってモモとキャッキャうふふしたいから…!

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