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愛犬がいればなんでもできる!…気がする!  作者: にゃんころもち
第三章
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水着


機嫌をなおした団長に一から説明してもらい、生誕祭当日の全員の動きが決定した。


ユナイシアムルの王子については、団長に見張りを任せることに。ネズミになってまでストーカー行為に及ぶとんでもない男だ。


他国の王女の生誕祭でもなにかやらかすんじゃないかと、全員警戒はするが……チャトラで圧力をかけると言っていたし、多分なにもできないだろう。



「サシャ達はこのあたりだな。雑貨屋が多い場所だが、子どもがくることは少ないだろう。モモ、苦手だもんな?」


「そうなんです、すみません……ありがとうございます」


(脳筋にしては気がきくな)



聞こえてはいないが、たしなめておく。団長にそんなこと言っちゃいけません。



「ボスも優秀だし、大丈夫だとは思うが……なにかあればすぐに誰か寄越してくれ」


「わかりました」



飲食店がほぼない場所なので、みんなが集中できないこともないだろう。なぜだか食いしん坊ばかりだからなぁ。


生誕祭の飾り付けもはじまっているし、邪魔にならないようそそくさと宿へ戻る。


当日はウールデリヒの警備服を着なければならないのが、少しだけ楽しみだった。コスプレ気分なのは内緒だ。



「さて、各自確認もしたが……ぶっちゃけると、当日までやることが…ないっ!」


「だろうな」


「どうするんスか?別に、食べ歩きでもいいんスけど」


「やめてよ、太るじゃない」



それだ!と、ミアさんの言葉に反応する団長に首を傾げる。



「当日までは客人だからと、警備や祭りに関わることには参加できん。食べ歩きは魅力的だが…動かないと、すぐに脂肪になるだろう」


「………で?」


「明日から、午前は訓練!午後は食べ歩き!を、しよう!」



私もブーイングに参加したのは言うまでもない。


訓練は大事だとわかっているが、せっかく同盟国に来ているのだ。どうせやることがないなら観光したい。食べ歩きだけ、したい。汗は流したくない。


しかし団長はもう決定している、なんて聞く耳を持ってくれず。



「海があるからなぁ!初日はやっぱり泳ぐか!」


「げっ……」


「金は俺が出すから、今日はみんな水着を買ってこい。あ、遊び道具はダメだからな!」



またしてもブーイングだが、今度は参加できなかった。それどころじゃない。


なにを隠そう、私は……泳げないのだ。


いくら丁寧に、付きっきりで教えられようが、水に入ると体が思うように動かなくなる。浮かびもしない。


水泳教室に通ったこともあったが……二日でやめたっけなぁ…。



「もうっ……こうなったら、とびきり可愛い水着で気分だけでも上げるしかないわね…!行くわよサシャ!」


「ま、待ってくださいミアさん!」



可愛い水着でも、泳げないなら意味がないんだけれど。



♢ ♢ ♢ ♢ ♢



「なんだ、そんなこと。私も最初は泳げなかったわよ?」


「絶対嘘だぁ…!」


「嘘ついてどーすんのよ」



喋りながらも水着を物色する彼女の手は、止まらない。


海に囲まれた国というだけあり、専門のショップがあって一安心したのは一瞬だった。


訓練というからには泳げなければ話にならない。一人だけそのへんでバチャバチャして、怒られないか…とても不安だった。



「大丈夫よぅ。きっと団長が泳げるようにしてくれるわ」


「……やっぱりみんな、泳げますよね」


「まぁねー。騎士団の訓練でもあったし」



これなんてどう?と、真っ赤なビキニを出してきたミアさんに首を振る。素敵だけど。絶対に似合うと思うけど、ジルコットさんに叱られそうだ。



「泳げない奴はたくさんいたわ。だからあんたも気にしなくていいのよ」


「その、泳げなかった人達って……?」


「みっちりしごかれて泳げるようになったわ。誰に、とは…言わないけど」



団長か。それとも、ジルコットさんか。どちらにせよかなり恐怖なんだが。



「ほらぁ、明日のことを今気にしても仕方ないじゃない!サシャも水着選びなさいよ!」


「……まぁ、そうなんですけど。あ、これどうですか?」



確かにミアさんの言う通りだと、パンツスタイルの水着を手に取った。デザインの幅広さは元の世界と変わらず、ちょっとだけウキウキする。



「ダメ、地味すぎる」


「だって訓練ですよ」


「訓練だろうと、プライベートだろうと!水着は、女の武装でしょうが!」



思わず数歩引いた私は、悪くないだろう。



「いーい、サシャ。どこに出会いが転がってるかわからないのよ」


「そ、それはそうですけど…!」


「私までとは言わないけど、それなりの水着にしときなさい。…あ、ほら。これなんて似合うんじゃない?」


「ミアさん、ビキニはやめましょう。ビキニは」



なんでよぅ、と頬を膨らますミアさんは可愛い。が、ビキニだけは阻止しなければ。団長は泳ぐと言っていたのだ、こんなの絶対怒られる。


しかしミアさんは買う気満々で、いくらダメ出ししてもビキニばかり持ってくるので諦めた。この人はいつでも本気だ。



「サシャもお揃いにしましょうよ!私、憧れてたのよねー。友達とお揃いの水着」


「いや…私には難易度が、」


「じゃあ、ほら。さっきのパンツタイプを上から着ていいから。ツルツルしたやつ」



倍のお金がかかると言えば、私が出すとまで詰め寄ってくる彼女に……


最終的に、折れてしまった。


だってミアさんの勢いすごいんだもん。買い物で豹変すると自己申告はされていたが、本当に別人だった。


まぁ、自分がいいと思ったものは買えたし。二重に着ることになるが、ミアさんがとても喜んでいたのでたまにはいいかと笑っておこう。


ボスには絶対に、見せてはいけないけれど。

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