↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛犬がいればなんでもできる!…気がする!  作者: にゃんころもち
第三章
90/100

毛がなくても


卵を温めなきゃいけないが、両手は自由でいたい。かといってポケットに入れるわけにもいかず、私は困っていた。



「どうしましょ…」


「服にでも縫い付けたら?お腹のあたりとかあったかいんじゃない?」


「団服ですよ?しかもそれ、転んだらアウトですよね」


「……そうね」



一旦この話は保留にし、滞在中に泊まる宿を見上げた。


従魔連れでも泊まれるのだが、彼らは外の厩舎になる。モモの突撃の恐れがあるので、私は部屋には入らないことにした。


柔らかい布団はとても魅力的だが……布団が大好きだったモモの気持ちを考えると、私だけというわけにはいかない。



「許可はもらってきたが……一日くらい、中で寝たらどうだ?」


「モモと一緒がいいのでっ!」


「……そうだな。そういう奴だったよなぁ、サシャは」



呆れられたが、仕方がない。モモと一緒に寝ることだけは譲れないのだ。


しかしさすがに食事は中でとることになり、モモに理解を得てから久々にまともなご飯をいただく。予想通り魚が美味しくて、お腹が幸せだ。



「食べながらでいいから聞いてくれ。国王と会ってきたんだが……不審な人物の入国は、なくてな。この国は警備も厳しいし、不法入国も難しいだろう」


「来ていないってことっスか?」


「絶対に、とは言えないがな。魔法を使用した可能性もあるが……」



実は、厄介な時期に来てしまったようでな。



「五日後に、王女の生誕祭が開かれるそうだ」


「それは……おめでたいけど、確かに厄介ね…」


「?警備は強化されないんですか?」



されるが、それ以上に盛り上がる人々が問題なのだという。



「お祭り騒ぎ、ってな。特にこの国の王女は人気があるから、すごいだろうな」


「うむ…しかも、最悪なことに………ユナイシアムルの王子が、祝いで駆けつけるんだそうだ」



全員の動きが止まった。それは最悪すぎる。なんせ、あのストーカー王子だ。


国を出られて良かったねと言ってあげたいが、いろいろ考えると面倒で仕方がない。



「求婚話も継続中のようで、王も困っていたよ」


「………で?お人好しのお前が、聞くだけ聞いて終わりってことはないんだろ?……なにを引き受けた?」



ジルコットさんの冷ややかな視線に、私までドキッとしてしまう。なんで団長の隣に座ってしまったんだろう。


チラリと見上げれば、案の定冷や汗ダラダラだった。



「………王女の、警護を……」


「はぁっ?!おま……馬鹿か?!」


「ま、待て!それは俺だけだ!みんなは街の警備でっ」


「……しっかりしてくれよ、団長」



フォローできない内容に、ただご飯を食べることしかできない。うぅっ……美味しいはずなのに、味がしないよ…!



「っ……だって!引き受けないと、俺を王女の婚約者にするとか言うんだぞ?!」


「……なにが不満なんだよ」


「そーよ。良かったじゃない、相手が見つかって」



馬鹿野郎っ…!と、急に泣き出した団長に困惑する。え、私も良かったじゃんとか思っちゃったんだけど…。



「どれだけ年が離れてると思ってるんだ?!俺はカイルのようにはなりたくないっ!」


「あー……カイル、ね…」


「それに!俺は、恋愛結婚がしたいんだ!」


「いいんじゃないスか、後からでも恋はできるっスよ」


「っ………!お前らは!俺が団長じゃなくなっても、いいのか?!」


「あ、もっと泣いた」



言い過ぎですよ、とたしなめつつ団長の背をさする。うーん…実際脅しのようなものだし、今回は団長…悪くないんじゃないだろうか…?



「まぁ、引き受けちまったもんは仕方ねぇ。詳しく聞かせろ」


「あの…ジルコットさん、今はまだ無理かと…」



私に舌打ちしないでくださいよ。だって団長、下向いて撃沈しちゃってるし……どう見たって無理だろう。



「しゃあねーな。んじゃ、サシャの卵どうするか考えるか」


「首から籠とかぶら下げるのはどうですか?僕、トトが小さい時はそうやって一緒にいましたよ」


「それ、簡単に作れる?」


「うん!紐を頑丈にするか、ベルトがいいと思うよ」



オッドの案をいただくしか、良い方法はなさそうだ。いや…考えたら他にもあると思うんだけど、あまり悠長にもしてられないし。


それより早く警備の話を聞きたいんだが。



「にしても、なにが生まれるんスかね」


「楽しみな反面、怖いわよね」


「………サシャ。俺は前々から、お前に聞きたいことがあったんだが」


「はい?」



ジルコットさんにしては珍しく、机に身を乗り出し両肩を掴まれる。あまりの真剣さに、いったい何を聞かれるのかと身構えた。が。



「…お前さ。毛が、なくても………愛せるのか?」



一瞬、なんて言われたのか理解できなかった。



「……えーと?」


「いや、すまん。直球すぎたな」



彼曰く、体毛のない魔獣でも従魔にする気はあるのかということだった。なんだ、そういう意味か。すごく変な想像しちゃったよ。



「勿論、愛せますよ。みんな等しく可愛いので」


「うわぁ……サシャが輝いてみえるんスけど…!」


「…そうだよな。お前はブレない奴だったな」



変なこと聞いて悪かったと解放された直後、服をツンツン引っ張られる。



「もう少し……気にしてくれないか…」



数人の、めんどくさっ!…という声は、聞こえなかったことにした。思っても言わない方がいいこともある。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。