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愛犬がいればなんでもできる!…気がする!  作者: にゃんころもち
第三章
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ウールデリヒ


やっと全員、地獄から解放された。


外観を見る余裕もなく上陸し、少々残念な気もするが仕方がない。帰りにでもまた見られるだろう。



「俺は国王に挨拶しに行ってくる。ジルコット、みんなを頼むな」


「できれば急いでくれ」



おう!と、すっ飛んでいった団長に、まわりの人々が驚いていた。とっても申し訳ないです。私達は慣れちゃったから…。


まだ具合が悪そうな従魔達を道の端に寄せ、街を観察してみる。


住民はやはり大人から子どもまで色黒で、活気が良い。漁師のような格好の人もいて、露店にも海産物がたくさん並んでいた。


白い壁は、貝殻だろうか。太陽が反射するとキラキラ輝いている。



「海の匂いって、いいですよね」


「だな。お、見ろよサシャ。アレ美味そうじゃないか」


「どれですか……あっ、ほんとだ!」


(おい…食い物の話はやめてくれ……)



ごめんと謝れば、辛そうに目を閉じ伏せるモモ。可哀想に……どうやったら治るかな。従魔用の薬とか、あるのだろうか。


探しにいく許可をとろうとジルコットさんを振り返ったところで、誰かに袖を引っ張られる。


……現地の、子ども?



「どうしたのかな?」



私達が怪しかったのか、それとも困りごとか。わからないので優しく話しかけてみれば、男の子は泣きそうになった。



「えぇっ?!急にどうし、」


「姉ちゃん、魔獣と話せるんだよな?!今喋ってたよな?!」



やばい、と思うも男の子の口は止まらなかった。



「頼む…!サイちゃんを……助けてくれっ!」


「さ、サイちゃん…?」


「さっき急に具合悪そうになって……目も閉じちゃったし、動かないんだ…」



魔獣と喋れるなら、サイちゃんとも喋れるよな?!と、グイグイ腕を引かれる。そんな無茶苦茶な。大体サイちゃんって、魔獣なのか。



「坊主。場所は遠いのか?」


「ううん!すぐそこの浜辺だよ!」


「…そうか。ならサシャ、ちょっと行ってこい」


「えぇ?!私お医者さんじゃ、」


「それでも、だ。見ちまった以上こいつはきっとお前のことを諦めないし、付き纏われても困る。それに団長がいたら必ず首をつっこむ」



それに関しては、なにも言えない。



「喋れれば解決もはやいだろ。どんな魔獣かは知らんが…」


「……うーん…ジルコットさんがそう言うなら、わかりました。ボス連れてきますね。モモと雛達は、」


「安心して!僕がララとそばにいるよ!」


(さっさと行ってあげなさいよ)



話を聞いていたらしいオッドとララにみんなを任せ、こうなったら仕方がないと男の子に案内を頼む。変な病気とかじゃないといいんだけど……


彼が言った通り現場は近く、砂に足をとられながらもなんとかサイちゃんのもとへ辿り着く。こ、この子は……!



(サイミュリアじゃないか。珍しいね)


「サイミュリア……」



そうか、だからサイちゃん。


見た目はただのウミガメだが、確かになにかに耐えるようにぎゅっと目を閉じ、動かない。どこか痛いのかな。



「君の従魔なの?」


「違うけど……でもっ、サイちゃんは友達なんだ!」



助かるかな、と不安そうにボスと私を見てくる。



「まだ何も聞けてないから、なんとも……ボス、どう?」


(……大変だよ、レディ)



ボスが大変と言うからには本当にそうなのだろうと、身構えた。なにか病気にかかっているか、見えない場所でも怪我しているのか。


……しかし…


予想は、外れた。



(彼女……妊娠、しているんだ…!)


「にっ……………え?」



それは、間違いなく大変だ。



(どうやらもうすぐ産まれるようだ。苦しいと、)


「……あ!お、お姉ちゃん…!サイちゃんが泣いてるよ!」


「ちょっ…!み、みんなあんまり凝視しないであげて!」



泣いているように見えるが、涙ではないことは有名な話だ。けれど胸が切なくなるのは事実で。


男の子と手を繋ぎ、頑張るサイちゃんから視線を外す。


絶賛、出産中のサイちゃん。見られていると集中できないだろうからと、心の中で応援する。



「サイちゃん、どうしちゃったんだ…?」


「大丈夫だよ。あのね、サイちゃんはお母さんになるんだって」


「えぇっ?!そうだったのか?!どの魔獣が父親なんだろう…!」


「…?同じサイミュリアでしょ?」



違うよ、と首を振られる。



「サイミュリアはすごいんだ。違う種族とでも結婚できるんだよ!」


(そのボーイの言う通り、特殊なのさ。誰と結ばれたのか、ベイビーが誕生するまでわからなくてね)


「そうなんだ……!」



なかなかすごい話を聞いてしまった。特殊にも程があると思うのだが、こんな小さな男の子も知っているくらいだ。きっと有名なんだろうな。


また一つ、知識を増やせたのは嬉しいが……サイちゃんは大丈夫だろうか。



(…よし。レディ、終わったと言っているよ)


「!もういいの?!」


「さっ、サイちゃーん!!」



抱きつく男の子を優しく見た後、バッチリと目が合い会釈されたのでこちらも返す。まさかカメとペコペコし合う日がくるとは……



(友達が迷惑をかけたから、お礼がしたいと言っているけれど…)


「そんなのいらないよ。なにかもらったら私が怒られちゃう」



そう言ってもカメは私から目を逸らさず、それどころかまた……ポロリと、涙をこぼした。


な、なんだか罪悪感が……!



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