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愛犬がいればなんでもできる!…気がする!  作者: にゃんころもち
第三章
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克服


「しっ…信じらんないんだけど……!」


「いやぁ、仲間が増えるなんてめでたいなぁ!」



テントに隠れ、怯えて出てこないミアさんと。


仲間が増えて、めちゃくちゃ嬉しい団長の、温度差が……ひどい。



「……なんか、可哀想っスね」


「ですよね」



ミアさんもだが、そんな彼女の様子にオロオロしている蛇も可哀想だ。


連れ帰った時はみんな驚いたが、事情を話せば受け入れてくれたし従魔同士で挨拶もできた。ただ、ミアさんは……秒で、泣いた。


このまま遠征続行は難しいと思える程怯える彼女に、私達は戸惑うしかなくて。別々に移動するわけにもいかないしなぁ…



「サシャ…説得は、無理そうか…?」


「いやぁ……これはちょっと、難しいんじゃないですかねー…?」


「だがこのままじゃあいかんだろう…どっちも」


「それはわかりますけど、」



なんとかうまく言ってくれと団長に無理矢理テントへ押し込まれたが、ミアさんの表情は暗いままである。そもそも説得って……なんて言ったら良いのだろうか。



「ミアさん、あの……」


「わかってる。………わかって、るのよ…私が悪いの…」



あれ、もしかして……別のことで落ち込んでる…?



「必要以上に怖がって、あの子には申し訳ないと思ってるわ。でも……どうしても、無理なのよ」


「えーっと……見た目、ですか?」



違うわ、と首を横に振られる。おや…一番は、見た目かと思ったんだけど…



「………理由を聞いても、笑わないでくれる?」


「はい、絶対笑わないです」



それなら、と静かに喋りだしてくれた彼女に耳を傾ける。



「私ね、小さい頃……オモチャの笛を吹くのが、好きだったのよ」


「……?はぁ…」


「夜は近所迷惑になるからやめなさいって、言われてたんだけどねぇ…言うこと聞かなかったわけ」



そうしたら、イタズラされちゃって。



「近所の子どもがね、私の部屋にハルマンガングを投げ込んできたのよ。それも、たくさん」


「え……えぇっ?!ひどすぎませんか?!」


「私も悪かったから仕方がないの。でも……それ以来、どうしてもハルマンガングを見ると動けなくなっちゃって。別に見た目が嫌とか、そういうんじゃないのよ?」



どうしたらいいかわからないのよねと言う彼女に、こちらまで困ってしまう。トラウマ…なのだろうか。私はそういった経験がないから、本当にどうしたら良いのだろう。一度みんなに意見を聞くべきか。



(良い印象を与えてみたらどう?)



いつの間にテント内にいたのか、ララが可愛く首を傾げていた。良い印象ねぇ……



(たとえば……ハルマンガングといたら、恋愛運が上がる、とか)


「ちょっと…それはやりすぎじゃない?しかも嘘になるんじゃ、」


(嘘でもいいじゃない。それでこの子が動くんなら)



よく考えてみなさい、と足を突っつかれる。



(ミアがこのままだと、先へ進めもしないし全員がギクシャクするのよ。一度契約した以上ジルコットは解除なんてしないでしょうし、だったらこっちをなんとかするしかないじゃない)


「でも……嘘だってバレたら、」


(私が言ったとでも言えばいいわ)



まずは一つずつ試すわよと言うララに頷き、ミアさんに近寄る。小声で喋っていたつもりだったが、聞こえていなかっただろうか。



「ミアさん、あの……ララが、ちょっと…気になることを…」


「………なによぅ」


「あのですね…なんか、ハルマンガングが近くにいると、すごく恋愛運が上がるって言ってて、」



なんですって、と、目に生気が宿った彼女を見てイケるかもしれないと期待をするが…同時にとんでもない罪悪感に襲われる。


ごめんなさいミアさん。そんな事実、一切ないんです…!



「で、でもでもっ……必ずじゃ、ないんでしょう…?」


(適当にでっちあげなさい)


「っ…!…えーっと…!かなり!上がるみたいで!」


「そうなの?!」



見事に食い付いたミアさんが、テントから出ないまま外にいる蛇を観察しはじめる。こ…これ、大丈夫かなぁ…?!



「……なによ。よく見たら、可愛い目してるじゃない」


「そ、そうですよねぇ!」


「おどおどしちゃって……あら、出されたものは素直に食べるのね…」



そのまましばらくミアさんを見守っていれば、急に大丈夫かもしれないと立ち上がり、外へ出ていってしまう。こちらも慌ててテントを出れば、焦ったようにモモが駆けてきた。



(おい、どうだ?ミアは…)


「うーん…わからないけど、多分大丈夫…?」


(…そうか。あいつも苦労したみたいでな、俺としては見捨てることはしたくないというか、なんというか…)



モモはなんて良い子なんだろう。心配しなくてもそれはないから安心していいよと頭を撫でてあげれば、薄っすらと目を細める。そして…


スンスンと、なにかの匂いを嗅いだ。



(……トリミングしたのか?)


「トリっ……あぁ、うん。洗ってきたよ」



誰かさんが寝ている間にと、言ってなかったんだった。それにしたってトリミングはないだろう。いや、いつもモモを洗う時はそう言っていたけれど…


いい匂いがする、と珍しく甘えてきたモモが愛おしくてぎゅっと抱きしめれば、離れた場所で蛇を触るミアさんが目に入った。


良かった、触れられればあとはなんとでもなるだろう。蛇も嬉しそうだし、解決はした…よね……?



(レディ、落ち着いて入浴できなかったんじゃないのかい?なんなら私が見張りをして、)


「あっ、もう大丈夫ですー」



ボスは、いつまで変態キャラを貫くつもりなんだろうか。

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