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愛犬がいればなんでもできる!…気がする!  作者: にゃんころもち
第三章
80/100

妙な気配


「で、書かれている内容についてはわかったわけだが……どういう意味なんだ?」


「いや、まんまだろ。バカでアホで……泥棒、か?」


「……誰がだ?」



みんなの視線が突き刺さり、いたたまれない。そうですね、私ですね。


女と指定されており、尚且つ私だけがわかる文字で書かれている。ミアさんなわけがなかった。



「相手のことは知ってるんスか?」


「いいえ、全く。この件で存在を知ったくらいなので…」


「じゃあ、サシャは何もしていないのに…こんなひどいことを言われてるってこと?」



頷けば、全員が首を傾げた。



「泥棒…も、意味がわからないんですよね。身に覚えがなくって」


「そうよねぇ。そもそもこいつ、うちの国の奴じゃないでしょ?何をどう盗めばいいのよ」


「なんか、アレだな。幼稚な嫌がらせって感じだな」



確かに、そんな感じがしないでもない。なぜ私にしてくるのか、わからないけれど。



「だがやってることは面倒くせぇぞ。ユナイシアムルで何もできなかった分、ウールデリヒでやらかすかもしれん」


「早めに向かった方が良さそうだな。…もしかして、伝達魔法が使えないのも…?」



可能性はある、とジルコットさんが私を見る。



「まぁ、本当にサシャに向けたメッセージなのかわからねぇし…鉱石を悪用するのも、嫌がらせとは別件な気がする」


「そうだな。国が気になるが、こうなったらさっさと捕まえて戻ればいいだけだ!明日にはユナイシアムルを出るぞ!」



全員が頷き、広げていた荷物をまとめだす。仕事で来ているから仕方がないけれど、観光できなかったのはやっぱりちょっと残念だ。いつかゆっくり来れたらいいな。


そのへんでコロコロ転がって遊んでいた雛達に、危ないからやめなさいと注意していれば屋敷の主人であるアイーダさんが帰宅する。


すぐに団長が事情を説明すれば、彼女にしては珍しく悲しげな表情をした。



「そうか…もう行ってしまうのか。仕方がないが、寂しいな」


「世話になったな。それにしても、お前一人じゃこの家は広すぎないか?」



もっと小さな家で良いだろうと言う団長に、何を言っているんだと肩を小突く。



「お前……まさか、屋敷の一つも持っていないのか?」


「いらないからなぁ。宿舎暮らしだし」


「いや、普段は私もそうだ。こうして客人が来た時に使用したり、部下を招いて慰労会を催したり……いろいろできるだろう?便利だぞ?」


「確かにそうかもしれんが、すごく高いじゃないか」


「お前の給料で買えんわけがあるまい。男ならケチケチするな」


「別にケチってるわけじゃないんだがなぁ」



なんだかんだいってこの二人は仲が良く、会話も楽しそうだ。つい緩んでしまう頬をグニグニ揉んでいれば、急にモモが唸り出しついビクッとしてしまった。



「え、どうしたのモモ?」


(なにか………いる)



その一言に鳥肌がたつ。だって、モモが見ているのは天井の隅。私の目には……なにも、見えない。



「ちょ……怖いこと言わないでよっ…!」


「どうしたんだ?サシャ」


「アイーダさん!モモがっ……なにもないのに、なにかいるって言うんですぅぅう!」



近寄ってきてくれた彼女の背に隠れれば、なぜかボスもピッタリと寄り添ってくる。雛達も私の足をよじ登り、しがみついてきたので支えてあげた。



「ふむ……なんの気配を感じる?」


(わからん。妙な気配だ。人のような、動物のような…)



モモの言葉を告げれば、みんなも天井を見上げだす。だから気配なんてわからないんだってば。


そうして数分たった頃、ちょっと待ってろ、とアイーダさんが広間を出て行ってしまった。そしてすぐにドタバタと物音が響く。え、もしや戦ってる…?!



「こ、こわぁ…!」


(怯えるレディも愛らしいね。さぁ、もっと私に抱きついても)


(やめろ。楓が汚れる)



唸るのをやめたモモが鼻でボスを押し退け、綺麗なおすわりで誘惑してきた。それに勝てず抱きつけば雛達ごとふわふわに埋もれ、一瞬で癒される。


後ろから聞こえた舌打ちは、聞かなかったことにしよう。



(こわいね)


(こわいね…!)


(なにがいるの…?)


(ベイビーちゃん達、大丈夫だよ。そんなに怖がらなくても、アレは…)


「アレとか言わないで…!」


「ちょ、ちょっとサシャ…!私も混ぜて!」


「ぼ、僕もっ!」



ミアさんとオッドまで加わり、モモが嫌がるかなと思ったのだが…意外にも満更ではない様子で、ボスにドヤ顔していた。


やめなさい性格悪そうに見えるから。そしてボスも舌打ちしないで、雛達が怖がるから。


上ではまだ物音がしており、アイーダさんが何をしているのかとても気になる。協力はできないけど…応援ならっ…!



「なんだお前ら、情けないな」


「なによジルコット…余裕ぶっちゃって!ムカつくわね!」


「まぁまぁ、落ち着けミア。喧嘩になるぞー」


「そっスよ。大体、ほら…雛は別として、従魔は落ち着いてるじゃないっスか」



言われてみれば、確かに。モモだって唸りはしたが、今はスンとしておりいつも通りだ。


余計に気配の正体がわからなくなったところで、ついに物音がやむ。


え……アイーダさん、どうなっちゃったの…?!

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― 新着の感想 ―
[一言] きっと、お化けか黒い悪魔のあいつが居るに違いない!!
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