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愛犬がいればなんでもできる!…気がする!  作者: にゃんころもち
第三章
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目隠し


人の来なさそうな路地で三人と合流したのだが、やはりというべきかすぐにストーカー王子に気付いた。わからなかったのは私だけで、なんだか情けなくなってくる。



(成長する見込みがあるってことさ)


「ポジティブに言えばそうだけど…」



ミアさん曰く、気配を隠す気がないのかと聞きたいくらいバレバレらしい。ただ、ボス程正確に場所はわからないとのこと。


私もいつか、気配くらいは感じ取れるようになりたいものだ。どうやって鍛えたら良いのか全くわからないけれど。



「それで、収穫はあったか?」


「あぁ、メモを見つけたぞ。そっちはどうだった?」


「同じくメモっス。内容照らし合わせないとっスね」



みんな王子は無視する方向らしく、私もボスに任せもう一枚の紙を覗き込む。


今度は………泥棒?え、なんのこと?



「メモに残すってことは、やっぱりこれは文字なのか?読めんが」


「記号に見えなくもないがな。だが、何か意味があるはずだ」


「王宮と連絡取った方がいいんじゃない?私達じゃわからないままよ」



わからないままでいた方が良い内容だが、放っておくとどんどん大変なことになっていく気がする。みんなが振り回される様子をただ眺めているのも……申し訳なさすぎて。


こうなったら、嫌われるのを覚悟で全て言うしか…


そう考えた時だった。



「いっ…痛っ?!痛い痛い!こ、これ以上の無礼は許さんぞ!離せぇっ!」


(レディ…もう、地の果てまで投げてしまってもいいかい?それか、この空っぽの頭を握り潰す許可を)


「わーっ?!ちょ、ちょっと待ってボス!」



見えないが、どうなっているのか大体想像できてしまった。絶対ボスは頭を掴んでる。…他国の、王子の。


さすがにそれはやりすぎだとボスにタックルすれば、ふわっと優しく抱きしめられた。違うんだけど……いいや、もう。王子に手出ししないなら。


そしてついに隠蔽魔法が解かれたらしく、その姿があらわになる。尻もちをついてはいるが…


キラキラと輝く銀色の髪に、程よく鍛えられた体。ラフな服装だが安っぽいわけではなく、つけているアクセサリーは高そうだ。


こうなると顔が気になるところなのだが…


素早く動いた団長が、手ぬぐいで王子に目隠しをして満足気に頷いた。よし!とか言ってるけど…王子にそれは、いいの…?散々ボスがやらかしているし、今更だろうか?



「おっ、誰だ?気がきくな。目隠しがないと落ち着かないのだ」



……ツッコミたいのを、必死で堪える。目が合うと異性を魅了するというし、もしや普段から目隠し生活をしているのだろうか。


なんか、つくづく変わった国だなぁ……ユナイシアムル。



「誰かは聞かんが、いい加減ついてくる理由を教えてもらえないか?」


「ふん、俺様の身分を明かせばそんな口…すぐにきけなく、」


「身分には興味がない。というか、言わないでくれ。頼むから」


「しっ…知りたくないのか?!気になるだろう?!」


「いいや全く」



言いたい王子と聞きたくない団長の攻防がしばらく続き、先に折れたのは王子だった。


しかし私達もそう時間があるわけではない。王宮に連絡しなければいけないし、私も自分のことを話すか決断しなければ。


と、いうわけで。



「団長、構っている暇もないですし、あとはアイーダさんに任せませんか?」


「そうだなぁ…」


「なっ?!失礼な奴らめ…!俺様をなんだとっ、」



まだ喋っている王子を横目に、団長が人差し指を口にあて手招きしている。これは…見えていないのをいいことに、この場から離脱しようとしているのだろうか?



(レディ、舌を噛まないように気をつけるんだよ)



ささっとボスに抱えられ、静かに移動する団長達に続く。そのままアイーダさんの屋敷まで来てしまったが…目隠ししたまま放置しちゃって大丈夫かな…?



「ふぅ、やっといなくなったな。最初からこうしていれば良かった」


「一国の王子だ、仕方ねーよ。んで?伝達魔法は使えんのか?」


「あっ!やってみます!」



王子のことは考えていても仕方がないので、一旦置いておく。なんなら自分でどうにかできるだろう、両手両足は自由なんだし。


対象となるフラン団長を思い浮かべ、少しずつ魔力を放出していく。



「フラン団長、聞こえますか?」


「………失敗、かしら?」


(いや、正しく発動できているよ。向こうの調子が悪いんじゃないかい?)



ボスの言葉を代弁すると、夜にもう一度試すことになり。


どうせ私達じゃメモの解読はできないからと、早めにアイーダさんにクレームを入れることになった。しつこかったし、また来そうだもんなぁ…ストーカー王子。



「緊急だというから仕事を放り投げてきたのだが…いや、なに。感謝と謝罪をせねばならんな」


「謝罪はわかるっスけど、なにに感謝してるんスか?」



彼女が言うには、今朝早くから王子が城を脱走し行方不明だったそうだ。隠蔽魔法を使えることは誰も知らず、こっそり大捜索が行われていたらしい。



「まさか自ら、サシャに会いに行くとは……」


「ルルガドルルの機嫌を損ねてな、何発か入れてるんだが……勿論、お咎めナシだよな?立派なストーカーだろ?」


「うむ。咎めはしないが、他言しないことが条件だ。それならば上も納得するだろう」



頷いた団長を見て、ホッと息を吐く。大事にならなくて本当に良かった。なにか言われたら、悪いのはうちのボスになってしまう。


彼は私を守ってくれていただけなので、全力で庇うつもりだった。戦闘で役に立てない分、それくらいはと思っていたのだ。



「良かったね、ボス。なにも言われなかったよ」


(そうだね。もしこちらが不利になるようだったら、群れを呼ばなければと思っていたから…この国は命拾いしたね)



思わず自分で自分を抱きしめた。あの、過剰に強化され強くなった群れを……呼ぼうとしていた?ここに?


アイーダさんのおかげでどれくらいの人が命拾いしたのか。考えただけで、恐ろしかった。

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