↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛犬がいればなんでもできる!…気がする!  作者: にゃんころもち
第三章
75/100

ユナイシアムル


ちょいちょいマーキング活動するモモのせいで何度も止まったものの、無事ユナイシアムルに到着することができた。


通常ならば入国審査を受けなければならないのだが、なぜかアイーダさんが待っており、私達はすんなりと通してもらえたのだった。


久しぶりのアイーダさん。相変わらず、美人で大変眼福である。



「フランから連絡がきていたのだ。久しいな、お前達」


「すまん、助かった。従魔がいると時間がかかるからな」



街並みは綺麗だが、パッと見でもわかるくらい飲食店が多い。次に鍛冶屋。


この国の収入源は鉱山だと聞いているから、それにちなんだ店も多いのだろう。宝石店を見つけたミアさんの目が輝いている。


各国から物々交換で手に入れているという食材は、ジルコットさんが楽しみにしていた。美食の国だもんなぁ…私も美味しいものは食べたい。


けれど、どこを見ても美男美女ばかりでかなり歩きづらいのも事実。そして…たまに、キラキラしている。


懐かしく感じるのが悔しかった。



「従魔と共に泊まれる宿も探してあるぞ。案内してやろう」


「なんだ、やけに優しいじゃないか」


「………実は、頼みがあってな」



人目があるし宿へ行くぞと言うアイーダさんに着いて歩くも、確かにすごく見られている。竜人族は魔力の高さから魔獣に嫌われると言っていたし…そのせいだろうか。


そのまましばらく歩き、街の外れまで来たことに不安を覚える。従魔も一緒だから街中ではないだろうなとは思っていたが…なんか、丘とか見えてきたんですけど…?


やがてたどり着いた建物は、どう見たって宿なんかじゃなく大きなお屋敷だった。どういうことだ。



「アイーダ、ここは…」


「私の屋敷だ。騙したようですまないが…滞在中は、どうかうちで過ごしてほしい。勿論何一つ不自由はさせん」


「………何を頼むつもりだ?」



すごく嫌な予感がするんだが、と団長が数歩後ずさる。それを気にすることなくアイーダさんは、しっかりと私に視線を合わせてきた。………んん?



「サシャに、なんだが」


「待て待て。俺じゃダメなのか?」


「あぁ、ダメだ」



そんなにハッキリ言われると困ってしまう。アイーダさんはユナイシアムルでも偉い人だからな…私は下っ端だし、断りづらいのだけれど。


団長を見れば、首を横に振っていた。



「俺達にそんな時間はない。大体、サシャじゃないとダメな頼みというのはなんなんだ?怪しすぎるぞ」


「うむ…そうだな。あまり大きな声で言えないんだが…」



うちの王太子が、会いたいと言っているのだ。



「…へ?」


「おいアイーダ。俺だって怒るんだぞ。なんで一国の王子が、ただの騎士…それも、他国のサシャのことを知ってるんだ。何か言ったのか?」



掴みかかりそうな勢いの団長にアイーダさんが慌てだすが、みんな止める気はないようで私が冷や汗をかく。ちょっと、ここはユナイシアムルだから…!手は出さないでくださいよ!



「ま、待て!私じゃないんだ!誰が言ってしまったのか、把握はできていないのだが…恐らく以前行動を共にした奴がだな、」



アイーダさんも、いきなり呼び出され私のことを聞かれたのでかなり驚いたそうだ。


どうやらモモと会話しているのを見た兵士がいたらしく、少し噂にはなっていたようで。そしてそれを耳にした王子が、


従魔と喋れる女を連れて来い、と。そう言ったらしい。



「私の直属の兵なのは間違いないからな。かなり申し訳ないと思っているし、詫びをせねばとも……しかし、我が国の王太子の言葉だ。私は断れなくてな…」


「断ってくれ」


「だから断れないと言っただろう。貴様、筋肉のつけすぎで耳までおかしくなったのか?」



そこで嬉しそうにしないでください、団長。話がおかしくなる。



「私、そんな…他国の王子様に会っていい身分じゃないですし。今仕事中ですし。さっき団長も言いましたけど、時間に余裕があるわけじゃ…」


「わかっている。そちらの王からも連絡がきたからな。まぁ、そのせいでお前が来ることを知られてしまったわけだが…」



ただのワガママ王子ではないのだ。



「サシャ本人が嫌がるなら、無理強いはするなと言われている。またその際は理由も聞いてこいと、」


「嫌です」


「な、……早くないか?一応、王太子だぞ?」


「誰だろうと嫌ですよ。めんどくさい…は、理由にならないかな…。うーん、とにかく本当に、今…仕事中で」


「あ、あぁ」


「それに私が珍しいのはわかりますけど、会ってどうするつもりなのかわからないし。ぶっちゃけ気分が悪いというか…気持ち悪いというか。多分仕事中じゃなくてもお城には行かないですね。別に同盟国でもないですし…」



随分ハッキリ言うな、とアイーダさんが引いているが、私だって自分はそこまで馬鹿ではないと思っている。


これは、私がハッキリ断らないと…流れで連れてかれる羽目になるやつだ。絶対。


それに少しだけムカッときたのもある。


女。連れて来い。…他に言い方があるだろう、と、思ってしまった。確かに身分は低いけれど、うちの国でそんな言い方をする人は絶対にいないと断言できる。


しかも変なスキルも持っていたはずだし、偶然でも会いたくない人物には間違いない。



「とにかく嫌です。ごめんなさいと、お伝えください。ちなみにさっきのは聞かなかったことに」


「う、うむ…そうだな。うまく伝えておこう。サシャの気持ちは、わかった」



アイーダさんは、この話のせいで気分を害するのはわかっていたから、詫びとして屋敷を使ってくれと言う。


さすがにそこまでではないと言おうとしたのに、私以上に憤慨したみんながズカズカとお邪魔してしまったので何も言えなくなった。


怒ってくれるのは嬉しいけれど…遠慮って言葉、知ってます…?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。