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愛犬がいればなんでもできる!…気がする!  作者: にゃんころもち
第三章
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食べ物は大事


昼食をすませ、全員で警戒しながら進んだのだが魔獣の姿は見られなかった。なにもなかったのは良いことだが、気疲れし早めに野営の準備をはじめることに。


しかしここでちょっとした事件が起きた。



「ありえないんですけど…!ちょっとミアさん、まだ出てきますよ?!」


「うーわ……ないわぁ。だからモテないのよ」


「うっ…こ、これはだな、」



言い訳する団長を横目にソレをつまみ上げる。腐ったリンゴだ。


なんとこれは、団長の団服のポケットから出てきたものである。


あまり持ち物がないと言うので調味料を入れてもらっていたのだが、一緒にでてきたこいつに全員がドン引きした。


しかもリンゴだけではなく、よくわからない干からびたものやゴミまで出てくる。


いつから整理していないのだろうか。



「ていうか普通気付くし…そもそもすぐ出しません?食べ物なら特に」


「お前リンゴに謝れ」


「すまなかった。…ジルコット、指をポキポキ鳴らさないでくれ」



嫌なら鳴らされないようにしろよと舌打ちするジルコットさんに、頷いておく。食べ物が絡むと彼は恐ろしいのだ。


つまみ上げたリンゴを捨てるためその場から離れれば、どこか軽い足取りでモモがついてきた。



(それ、変わった匂いがするな)


「腐ってるの。あんまり近づいちゃ、」


(捨てるのか?…もう少しだけ匂いを)


「絶対ダメ」



強く言っても着いてくるモモに溜め息を吐く。どうしてこう、変な匂いに寄ってくるのだろう。しかもしつこい。


仕方なく後であげる予定だったジャーキーで気を逸らし、さっさとリンゴを地に埋める。団長がごめんね。せめて良い肥料になってください。


そうして再びみんなの輪に戻ったのだが、ミアさんの前にズラリと並んだ数々の怪しい物体に頬がひくついた。



「サシャ、まだ出てくるわよ」


「どんだけですか……」



どんどん小さくなっていく団長を見て可哀想だとは思うが、さすがに限度というものがある。


これは、ひどすぎる。



(きたない…)


(もったいない…)


「ね。団長、雛達の教育上、今後はきちんと管理してくださいね」


「そ、そうだな。本当に悪かった!」



後ろでジルコットさんが、筋トレする前にやることあんだろ、と呟いていたのは聞かなかったことにした。私も食べ物には気をつけよう…。



♢ ♢ ♢ ♢ ♢



「焚き火って、なんでこんなに落ち着くんだろうね」


「そうだねぇ。魔獣避けの効果もあるし、最高だよね」



夕食後は各自でのんびりタイムである。


モモはすぐに丸くなって寝てしまったし、雛達はそんなモモの尻尾にくるまり同じく寝そうになっていた。


ボスも団長の食後の運動に着いて行ってしまったので、暇になった私はオッドと並んで座り焚き火をぼけーっと眺めることにした。


ゆらゆら揺れる炎を見ていると、不思議なもので心が落ち着く。そしてなぜだか甘いものが食べたくなってくる。これはきっと私だけだろうけど。



「トトとララはデートに行っちゃったんだぁ」



母アヒルはララと名付けられ、まぁまぁねなんて言っていたが喜んでいた。私もとても可愛い名前で似合っていると思う。オッドは、名付けのセンスがあるんだなぁ。



「僕もついて行こうとしたら、トトに怒られちゃって」


「あらら…それは寂しいねぇ…。うちもねー、みんな自由にしててねー…」


「のびのびしてくれたら安心するよねぇ」


「ねー。ボスはちょっとし過ぎな気もするけど…」


「あんた達、相変わらず仲いいわね」



カトリーヌのブラッシングを終えたミアさんが合流し、隣に座る。とてものんびりした良い時間だ。



「そうそう、今日の火の番は団長とジルコットがしてくれるそうよ」


「え、下っ端の私がやるのに…!」


「僕も!」


「あんたらは慣れてからでいいってさ。初日なんだし、あまえときなさい」



確かに、不慣れで無理矢理引き受けても逆に迷惑をかけてしまうかもしれない。だったら今日はミアさんの言う通りにし、早く慣れた方が役に立てるだろう。


オッドもそう思ったらしく、二人で顔を見合わせ頷きあう。



「あとで、お礼言ってきます」


「そうしなさい」



早めの方がいいだろうなと考えていれば、ちょうどジルコットさんが何かを手にこちらに歩いてきていた。



「野菜の皮のチップス、食うか?甘いのとしょっぱいの」



食材を無駄にしないジルコットさんはさすがだし、そして最高だ。ちょうど食べたかったものが出てくるなんて。そんなの、手が伸びてしまうじゃないか。



「気がきくじゃない!私しょっぱいのもーらいっ」


「あ、甘いのが食べたい……じゃなくって。ジルコットさん、今日の火の番ありがとうございます。早く慣れますね」



甘く味付けされた人参のチップスを受け取りながら告げれば、気にすんなと肩を叩かれた。



「初日だしな。サシャは、まず環境に慣れろ。野営の経験も少ないだろ?」


「多いとは言えないですね…」


「だろ。俺とあいつは、夜目もきく。だから今日は安心して寝るんだな」



上司の言うことは素直に聞いとけと言われ、もう一度頭だけ下げておく。火の番は夜通し交代で行うので、決して楽ではないし気も抜けない。慣れているとはいえ、本当に感謝しなければ。



「あ、ボスおかえり」


(ただいま、レディ。とても有意義な時間を過ごせたよ)


「それは良かった…と思うんだけど、なんで雛達起こそうとしてるの?」


(え?なぜって…このまま寝たら彼らは太って、)


「大丈夫だから。一日くらい変わらないから。お願いだから寝かせといてあげて」



今はジルコットさんが作ってくれた野菜チップスがあり、雛達が起きたら絶対に欲しがる。そしてモモも。


従魔用ではないので、これはあげられないのだが…そんなこと彼らには関係ないのである。私が負ける自信があった。


理由を説明すれば同意し引き下がってくれたボスは、変わり者だが良い大人で本当に助かる。……かなりの変わり者、だが。

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