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愛犬がいればなんでもできる!…気がする!  作者: にゃんころもち
第二章
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団長と買い出し


遠征の物資は、大荷物になる。


途中で補給することは可能だが、持っていけるものは持っていきたい。そのためにはマジックポーチが必要なのだが…


私のお給料では、今すぐには無理だ。



「なので団長、お給料の前借り………お願いします」



できれば借金なんてしたくないのだが、そうも言っていられない。自分の荷物を少なくしたって、ボスとモモのオヤツを持てば団服のポケットには入りきらないから。


せめて一つくらい、すごく小さくてもいいからマジックポーチが……どうしても欲しい。だから借金は仕方がないのだ。


しばらくは食費を切り詰めようと覚悟してのことだったが、団長はそんなの俺が買ってやると言ってきた。いやいやそんな…



「知ってます?マジックポーチってすごく高いんですよ。それに私、団長に買ってもらう理由がないので…」


「いや、ちょうど良かったんだ。ほら…俺、魔拳武闘会で優勝しただろ?その時の賞金が…ちょっと人に言えないくらい、入ってな」


「え…!そんなにですか?!」


「そんなにだ。だからな、遠征にも出るし…みんなにマジックポーチでも買おうかと思ってたんだよ。な、ちょうどいいだろ?」



気前が良すぎる発言に純粋に驚いた。自分が得た賞金なのに、みんなに使ってくれるなんて…!優しすぎます、団長!



「ありがとうございます…!すっごく助かります!」


「なら良かったよ。あぁ、あとな…二匹と揃いの装飾品は持ってるか?」



そんなの持ってたら毎日つけてますよと言えば、だよなぁと苦笑される。



「他国に入国する際、パッと見で判断できるよう従魔と主人は揃いの装飾品をつけなきゃならんくてな。ないならそれも買ってやろう」


「えぇ…!そんな、なんでもかんでも買ってもらうわけには…それに私ばっかりって苦情きますよ?」


「なぁに、普段チャトラの気持ちを教えてもらっている礼だ。あと、これからも頼むという下心もあるがな」



なんだろう、団長ってこんなことする人だっただろうか。いや助かるし嬉しいんだけれど…甘えすぎも良くないよなぁ…。



「生きてく上でお金って大事なので…団長、大金を手にしたからって散財は良くないですよ…?」


「意外としっかりしていて俺は驚いたぞ」


「まだ妹扱いしてます?ていうか私のこと、なんだと…」



その枠から抜けたい、切実に。


結局いくら言っても買うと言ってきかない団長に、私が折れた。今後彼が困ることがあったら積極的に助けに動こう。役に立つかはわからないけれど。


なんにせよ、借金をしなくて済んだのはかなり有り難かった。



♢ ♢ ♢ ♢ ♢



「いやぁ、助かったぞサシャ!俺一人じゃあいつらの好みはわからなくてなぁ」


「買ってもらうんだし、これくらい全然いいですよ」



遠征の準備があるため森の警備を免除してもらっている私達は今日、買い出しに来ていた。


本当は団長と別々の予定だったのだが直前に頼まれ、断る理由もないので着いてきたのだ。好きなデザインを選べるしちょうど良かった。


全て揃うぞとのことでエルイット商会へ向かっているのだが、大会優勝者である団長の人気が凄まじくてちょいちょい足止めをくらっている。



「モモ連れてこなくて良かったですね…」


「そうだなぁ…ちょっとこれは、俺も予想外だったな」



大人だけでなく子どもまで寄ってくるので、本当にモモが留守番で良かった。こんなに可愛いのにモモは子どもが苦手なのだ。


彼曰く、すぐに耳や尻尾を引っ張るからだそうなんだが…昔着ぐるみバイトをしていた友達も同じことを言っていた気がする。モモと着ぐるみを一緒にしちゃいけないんだろうけど。


それにしても、嫌な顔一つせずみんなに応じている団長はさすがである。律儀に子どもの質問にも……って、



「団長。あんまり時間もないですからね。帰ったら荷物を整理しなきゃ、」


「さ、サシャお姉様だわっ…!」



私が嫌な顔をするはめになるとは、思わなかった。


どこからともなく現れたのはノルンちゃんで、お友達と一緒なのだがみんなして私を見てキャアキャア言っている。いや…相手、間違えてない…?



「やっほーノルンちゃん」


「こんにちはですわ、サシャお姉様。今日も気高くお美しいんですのね…!」


「気高っ………あのね、ノルンちゃん。私を誰かと勘違いしてないかな…?ほら、お姉様なんて呼ばれるようなことは何も、」



何を言っているんですの!と大声を出されビクッとする。ちょ…なんで怒ってるの?!



「サシャお姉様はサシャお姉様ですわ!魔拳武闘会での勇姿…本当に、心打たれましたの!」


「ゆ、勇姿……?」


「自分より屈強な男性を平然と倒し、仲間の危機にも駆けつける……あぁ、かっこよかったですわぁ…!」



それか、と、少しホッとした。殴りあいのことじゃなくて良かったけれど……でもそれ、私じゃなくてボスなんだよな。どう説明したものか。



「ノルンちゃん、実はね」


「すまんサシャ、待たせた!…お?ノルンじゃないか!今からエルイット商会に行くんだが、お前も行くか?」


「我が家に?!い、行きますとも!さぁサシャお姉様、こちらですわ!」



団長に遮られたせいで私の手はノルンちゃんにしっかりと握られ、引っ張られる。意外と力が強い。


…いっか、今は訂正しなくても。時間がないのもそうだが、この子、変に勢いがあるし伝わらなさそうだ。遠征から帰ったらゆっくり時間をかけて説明した方がいい気がする。


ウキウキしているノルンちゃんは可愛く、団長と二人でほんわか癒された。今日もピンクのフリルドレスがバッチリ似合ってるなぁ。

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