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愛犬がいればなんでもできる!…気がする!  作者: にゃんころもち
第二章
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長期遠征


「やっと白状してくれたよ」



穏やかな日々は数日しか続かず、鉱石を持ち込んだ犯人がわかったと陛下が突撃訪問してきた。


いや…こんな簡単に王宮出ていいのかな。しかも今日は見たことのない女性もいるし。


陛下より一歩下がり控えているが、どことなく気品が漂うというか…ただの護衛とかではなさそうだ。



「商人から買ったというのは早々に聞き出せたんだけどね。居場所もほのめかしていたから、ちょっとしつこく尋問してみたんだ」


「それで、わかったのか?」



にっこり笑った陛下は、机に地図を広げた。



「うちの次はユナイシアムルに向かうと言っていたそうだよ」


「ユナイシアムル…一番鉱石に敏感な国じゃないか」


「そうだね。だから、鉱石は出さず…別の目的があるのかもしれない。あくまで可能性だけれど」



地図上にバツ印がつけられる。



「そして次に、ウールデリヒ」



陛下がそう言ったところで、気になっていた女性がついに言葉を発する。



「わたくしの故郷ですわぁ」


「そうか…王妃の国にまで行こうとしてるのか」



思わず団長を二度見した。今、なんて言った…?


王妃様?この人が?


いやいやみんな普通にしすぎでしょ。挨拶も何もなかったし王妃って呼び捨ては………まずくは、ないのか。陛下がこういう人だもんな。


多分、私も気にしなくて良いんだろうけど…一応会釈だけはしておこう。



「商人を自称する男は、ムルスタブルグに住んでいると言っていたそうなんだ。本当かはわからないけど…また鉱石をバラ撒かれても困るからね。捕まえたいと思って」


「思って……?」


「君達にお願いしに、来たんだ」



とっても良い笑顔だが、私達は文字通り頭を抱えた。陛下が直接来た時点で嫌な予感はしていたのだ。これは、お願いという名の命令である。


絶対に断れない、王命。



「それでわざわざ王妃まで連れてきたのか…」


「わたくしの故郷も危ないかもしれないのです。直接頼みにくるのが筋ではなくて?」


「断れない頼みに筋もなにもないだろう」


「まぁガイリス…貴方って本当に正直ねぇ」



お二人と会話しているのは団長だけなのだが、ハラハラしているのは私だけだろうか。陛下だけならともかく王妃様まで緩いなんて有り得るのか。



「魔法師も騎士も、臨機応変には行動しづらいからさ。君達が適任だと…まぁ、僕の独断なんだけど」


「この前も俺達が動いたばかりな気がするが?」


「勿論危険手当は出すよ。商人を名乗る男の確保…それだけでいいんだ。従魔がいれば追いつける可能性がある」



参ったなぁ、と団長が頭を掻く。



「国のためだし受けるが……生死は?」


「生きてることが望ましい」


「相手の力量にもよるが、承知した」


「武器以外にも加工している可能性があるからね。それらは見つけ次第破壊していいよ。何度も言うけど、大事なのは身柄の確保」



どんどん進んでいく話に私は混乱している。え、また遠征行くの?従魔騎士団だけめちゃくちゃ忙しくない?


嫌だなぁと思っていれば、私だけではなかったようで。隣に寄ってきたオッドがボソリと呟いた。



「なんだか、大変なことになっちゃったね…」


「ね。でもあの鉱石が出回れば、もっと大変なことになっちゃうよね」



鉱石を悪用している奴も許せないし、他の国が危険な目にあうかもしれない。だから行くしかないのはわかっているが…


もうちょっと、のんびりしたかったなぁ。



「森の警備はルルガドルル部隊に任せるよ。騎士の言うことなら聞いてくれるようになったからね」


「わかった。だが、ユナイシアムル…ウールデリヒ…それに、最悪ムルスタブルグまで行かなきゃならん。かなりの長期遠征になるぞ?」


「わかってるよ。物資はこちらで用意するし、各国に知らせも出しておく。…これ以上被害が大きくなる前に、なんとかしないと」



君達ばかり頼ってすまない、と申し訳なさそうな陛下に、団長は気にするなと笑った。



「頼られるのは嬉しいさ。みんなの平和を守るのは騎士として当然のことだしな。ただ…」



帰ってきたら、部下に休みを与えてくれないか。



「だ、団長っ…!」


「ちゃんとしているのねぇ、ガイリス。安心したわぁ」


「安心したついでに、ウールデリヒの問題もどうなっているか…見てきてくれると嬉しいな」



せっかく団長の素敵な発言でテンションが上がったのに、落とされた。陛下…これ以上仕事増やさないでくださいよ…!



「問題って…それ、大変な内容じゃ…?」


「あれ、サシャは聞いていないのかい?まぁ…別に大したことないんだけれどね」


「ありますわ。わたくしの妹が、あのユナイシアムルの王子に狙われていますの」



ユナイシアムルの王子って………あっ!アイーダさんが言ってた、女性を魅了するスキル持ちの!



「妹はまだ幼いのに、婚約の誘いがしつこいんですの。何度断っても本当に…」


「話がなくなったのか、まだ続いているのか…その確認だけしてきてくれるかな?聞いても最近は誤魔化されちゃってね」


「それだけなら、まぁいいが。他にはないよな…?」


「ふふ、ないない。ごめんね、ついでの用事まで」



くれぐれも命を大事に、無理はしちゃいけないよ。



「あとサシャ、面白報告待ってるからね」


「そんなのありませんから…!」


「あら、わたくしも楽しみにしていますわ。帰ってきたら…そうね、お茶会でも開きましょう」



帰ってきたくなくなったのは、言うまでもない。王妃様とお茶会なんて、一般庶民の私には無理な話だ。緊張してお茶の味もわからなくなるに違いない。


しかしお二人の笑顔の裏に断れない圧力を感じ、頷くしかなかった。こうなったら誰か一人は犠牲にしよう。絶対。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 長期遠征……モモとのピクニックみたいなものですね!ww また何か家族が増えそうな…… いやぁ、楽しみですね! [気になる点] ちょっと気になったんですが、 この作品のジャンルが ローフ…
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