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愛犬がいればなんでもできる!…気がする!  作者: にゃんころもち
第二章
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打ち上げ③


「そうだ、サシャ。ブラシは後で渡すとして…肉はいつがいい?」


「あ、いつでも良いです。団長の都合のつく時で」


「うーん…なら、明日にでも買いに行ってくるかぁ。あまり遅いとモモに怒られそうだしな」



それは一理あるが、モモはブラシの方が楽しみにしてるんじゃないだろうか。こちらに来てから小さなブラシでちまちまやるしかなかったから、不満は溜まっているはずだ。



「ありがとうございます、ちゃんと覚えててくれて」


「約束したからな。ちゃんと守らないと、」


「モテない…だろ?」



そうだ!とドヤ顔の団長だが、改めて考えると不思議である。



「団長って…どうしてそんなに、モテたいんですか?」



黙っていれば、本当にかっこいいのだ。団長は。


たまにデリカシーのない発言があるくらいで、それさえ気にしなければかなりの玉の輿だと思う。女性が寄ってきそうなものだが…



「俺がモテたい理由か?モテないからだ」


「なんでモテないんです?」


「お前それ本人に聞くか?」



確かにと思うが、私だってわからないのだ。何故団長がモテないのか。



「なんで、かぁ………まぁ原因はなんとなくわかってるんだよなぁ」


「こいつ、団長になったばかりの頃はすごい人気だったんだよ。毎日誰かしらとデートしててな」


「え……めちゃくちゃモテてるじゃないですか」



それがな、と団長が困った顔をする。



「誘われたら、断るのも悪いからと応じてたんだが…良くも悪くも、注目されててな。女性達の間で、何人とデートしただの内容はどうだっただの…」


「ガイリスが女の、それも個人の好みなんてわかるわけないだろ?デートコースを使い回してたら、」


「いつの間にか、つまらない男と言われていてな。急にモテなくなったんだ」


「うわぁ…それは…」



ちょっとだけ同情した。女のネットワークは恐ろしいもので、発言にも気をつけなきゃいけない。団長には厳しい気遣いだろう。


だがデートコースを使い回すのはいかがなものかと思う。お店もいっぱいあるし、自然も豊かだ。同じところを回らなくたって良かっただろうに。


…さては団長、面倒くさがったな。



「でも、大勢にモテなくてもいいんじゃないですか?結婚できるのは一人だけなんですよ?」


「勿論俺も、一人だけを愛したいし愛されたいさ。だがそのためにはまた、モテる必要があるだろ?じゃないと話しかけてもくれないし…」



結構切実な問題だった。軽々しく聞いてごめんなさいと謝れば、逆にサシャはどうなんだと言われる。



「私ですか?別に…結婚願望とか、今はないですよ。自分の生活で手一杯ですし」


「そりゃそうか。……しっかし、お前と付き合う相手は大変だろうなぁ…」



ジルコットさん、なんでそんなしみじみ言うんですか。



「何があってもモモ優先だろ?」


「当たり前じゃないですか」


「すっげー強いボディガードもついてくる」



…ボスのことか。それは、まぁ………ううん、



「あと、お前と従魔にしかわからない会話をされたら、寂しいよな」


「…いいですもん。恋人とかいりませんし」


「待て待て。冷静に考えてみろ、いつか自分が年老いた時…一人なんだぞ?周りは子どもとか孫とかいるんだぞ?それでもいらないって言えるか?」



食い気味な団長に気圧されるも、ぶっちゃけそんな未来のこと…今は考えられないのだ。まだまだモモと生きていくのに精一杯。ボスも家族の一員だし、養わなきゃいけないから。



「そういうのはまだいいんです…ってか、なんでお二人とこんな女子トークを…」


「何言ってんだ、うちの真面目代表だぞ」


「なんていうか…サシャは、放っておけないんだよなぁ…」



妹がいたらこんな感じなんだろうと思うよ。



「妹、ですか?私一人っ子なんですけど…」


「いや、合ってるな。しっくりくる。そうだ、お前は妹タイプだ」



妹タイプと言われても、どう反応したらいいのかわからないのだが。



「ミアなんかは特にそう思ってるんじゃないか?今日だって、サシャの歓迎会だと喜んでなぁ。先に潰れたが」


「あ、ミアさんはお姉さんって感じしますよね。わかります」


「実際弟いるしな。兄弟といえば、ベルは多いぞ」



これまた意外である。ベルさんこそ一人っ子な気がしていたのに。



「噂をすれば、だな。おいベル、お前兄弟何人いた?」



宿舎から走ってきたらしいベルさんの手には、ネクタイが。もしやボスのために取りに行ってくれてたのだろうか。



「兄弟っスか?妹が五人いるっスよ」


「ごっ………多い、ですね。しかも妹さんばっかり」


「そうなんスよねー。口うるさいのなんのって…」



約束の品っス、と手渡されたネクタイは新品だった。本当に良いのか問えば、使わないからと返される。それなら有り難くいただこう。ボスが喜ぶはずだ。



「なんの話だったんスか?」


「サシャが妹っぽいよなって」


「あぁ、わかるっス」



ベルさんまでそう言うなんて、普段の私はどういう行いをしているのか。嫌なわけではないが…こうも揃って言われると、とても気恥ずかしい。



「なんスかね…つい、可愛がりたくなるというか…頭撫でたくなるんスよね」


「撫でやすい高さだしな」


「それ関係あります?」



可愛がられるのも、嫌ではない。嫌ではないが…もうそういう年頃でもないので、やっぱり恥ずかしさは変わらなかった。


こういう時にミアさんがいれば助けてくれるのにと考え、そういえば彼女は大丈夫だろうかと心配になる。



「私ちょっと、ミアさんの様子見てきますね!」


「お、サシャ照れてるんスね?」


「ベルさんうるさいですよっ!」



笑う三人は、絶対楽しんでいると思う。


いじるのは良いがいじられるのは慣れていないので、勘弁してもらいたい。

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