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愛犬がいればなんでもできる!…気がする!  作者: にゃんころもち
第二章
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命名


みんなと合流してすぐに、今度はボスに華麗な土下座をされた。いや…うん…もう、いいんだよ…。土下座恐怖症になりそうだ。



(レディ、許しておくれっ…!あんな下等な生物がレディに求婚したかと思うとつい…!)


「下等な生物って…ボス、それ私も含まれてない?」


(何を言っているんだい!魔力ばかりが多くて腕力のない魔法師のことさ!)



初めて知ったが、ボスは魔法師が嫌いらしい。そこまで言う必要はないと思うが………ん?


ボス、それ…もしやフラン団長も…?


私は考えるのをやめた。これは、心の内に秘めておいた方が良さそうだ。



(楓、下等生物が来たぞ)


「やめなさい」



真似しだしたモモの頭を撫でれば、タイミングよく現れたフラン団長に私はつい微妙な顔になる。こんな優秀な人が、ルルガドルルからしたら下等生物なのか。



「皆さんお揃いで。食事中にすみません」


「どうせサシャだろ」



えぇ、と返事をしこちらを向いたフラン団長は、私の膝に乗る雛達を見て微笑んだ。



「ロンメリックの雛ですか。可愛らしいですね」



雛達は私の食べているサンドイッチを狙っており、下からたまに突っつかれるのでパンには無数の穴が開いていた。届かないようにするとけたたましく鳴き、ジルコットさんに睨まれるので仕方なく受け入れている。意地悪してるわけじゃないのに。


ちなみに母アヒルは、オッドの膝上でトトとラブラブしていた。あっちの方が平和そうで少し羨ましかった。



「先程は、部下が失礼しました。きつくお仕置きしておいたので、もうあんなことはしないと思います。どうか許してもらえますか?」


「年頃の娘にあれはセクハラっスよ。相応の仕置きじゃないと許せないっスね」



私よりも早くベルさんが割り込んできたため、やり取りを見守ることにする。お仕置きよりも、あれはボスだったと言ってくれた方が穏便に済みそうだけどなぁ。



「勿論、彼らには一番きつかったはずです」


「…なにしたんスか?」



フラン団長は困ったような笑みを浮かべた。



「それがですね…ドリューがかなり、怒りまして」


「ドリュー団長が?」


「えぇ。この大会の、決勝戦という場を…なんだと思ってるんだ、と」



あー、と納得した。そうだよね、普通はそう思うよね。



「それで、そんなにされたいなら俺がやってやると」


「…え?」


「あの二人の希望通りになりましたよ。放心していたようですが、まぁ、効いた証拠でしょうから…」


「それは…自業自得っスねぇ…」



ベルさんはとても嫌そうにうげぇ、と舌を出したが、私も同じ気持ちである。そうか…彼らは、ドリュー団長にローブを引き裂かれ…拘束され目隠しをされた後、足蹴にされたのか。なんとも強烈な絵面である。


だがそこまでされたなら何も言うことはないので、とりあえずお礼を言っておいた。ボスも文句はないだろう。



「あとですねー……ガイリス!ちょっとこちらへ来てくれますか?」


「おう、なんだ?」


「午後の表彰なんですが…」



どうやら私に対する用事は済んだらしいので、食事に戻る。これで大会は終わったわけだし、カイルの問題もノルンちゃんのおかげで片付いたし…


あとは鉱石かぁ……尋問はどうなっているのだろうか。



♢ ♢ ♢ ♢ ♢



ガイリス団長と、団体戦の優勝者三人が訓練場の中央で足を止める。


正面に立つ陛下は笑顔で、とても楽しそうな雰囲気だ。私も自団の団長の優勝とあって嬉しいし、やっと肩の荷が下りて晴れやかな気分である。



「確か、どっちも賞金出るんですよね?」


「そうだね。あと…団長には、大会の命名権が与えられるはずだよ」


「命名権……大丈夫かなぁ、団長。変な名前つけなきゃいいけど」


「それは僕も気になってたんだ…」



オッドと二人で不安がっていれば、ベルさんに肩を叩かれる。



「大丈夫っスよ。その件についてはアドバイス済みっスから」


「そうなんですか?いつの間に…」


「さっき下行く前に相談されたんス。魔法と剣にちなんだ名前がいいと思うけど、あんまりストレートはよくないって言っといたっスから」


「よくやったわ、ベル」


「そうだな。あいつ一人に決めさせたら、とんでもない名前になっちまう」


「あはは…みんな言いすぎですよ。まぁ僕もちょっとだけ思っちゃいましたけど」



全員で団長を見守る。ベルさんに相談したんだし、あの人も発想は奇抜だが…命名くらい大丈夫だろう。チャトラだって名前は可愛い。



「従魔騎士団団長、ガイリス。優勝おめでとう。さすがの安定感だったね」


「ありがとうございます」



大勢の観客の前では、さすがに団長も大人しい。いつものように気軽に接することはなくて安心した。普段の態度、すごくハラハラしてるからね。国王なのにノリが軽すぎるのも考えものだ。



「賞金は後日渡すとして…もう一つ。この大会の、命名権を君にあげよう」



考えてきているかな?と聞く陛下に、団長が力強く返事をする。


しかし…


その口から放たれた一言に、私達のみならず会場全体が凍りついた。



「魔拳武闘会!と!名付けます!」


「……まけん…ぶとう、かい?」



ちょっと待って、団長。



「あいつ…やりやがったぞ…!」


「やばっ…ちょ、どーするんスかこれ?!やり直しきくんスか?!」


「陛下も動きませんよ…?!」


「み、ミアさんっ!訂正!訂正するって言ってきてください!」


「やっ、やーよ!この空気の中、あそこに行けるわけないじゃない!」



時を戻せるなら、戻したい。


私達の混乱は収まりそうになかった。

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