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愛犬がいればなんでもできる!…気がする!  作者: にゃんころもち
第二章
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団長の戦い


午後まで出番がない私達はさっき別れたばかりのオッドらと合流し、観客席から団長を応援する事にした。最初から一緒で良かったじゃん…という台詞は飲み込む。言わなくても良い事だってあるのだ。



「あ、ほらモモ!団長出てきたよ!」



訓練場を囲うように高さを出し作られた観客席は、大勢の国民でほぼ満席。防壁を張っているので危険はないらしく、若い女性や子どもも多く見られた。


第一試合を開始する合図が陛下から送られ、両サイドからガイリス団長とドリュー団長がそれぞれ中央へと進んでいく。…なんか、かっこいいぞ。



「ドリューは魔法こそ得意じゃないが、剣の腕はガイリス並なんだ」


「団長、変なところで律儀だから…魔法は使わなさそうですよね…」



オッドに同意し頷く。正々堂々とか言って真っ向勝負を挑みそうだ。


二人が中央へ着いた瞬間魔法の狼煙が上がり、それと同時に大歓声が響いた。こ、鼓膜破れるかと思った…!



(もう帰る)


「始まったばっかで?!」


(モモ君、耳栓をあげようか?)



優しいボスの提案に尻尾を下げながら頷いたモモは、大人しく耳に何か入れられている。何を入れられているのか気になるけれど……なんだ、この微笑ましい光景は。うちの従魔最高。



「うっわ…いきなりやばいでしょ」



ミアさんの引いた声に振り向けば、中央で激しく斬り合う二人の姿が。なるほど、これは歓声が上がるわけだ。迫力がありすぎる。


どちらも大剣なのだが、聞いた事のない重たい金属音が脳に響く。ドリュー団長の渾身の振り下ろしも、ガイリス団長はなんなく受け止め踏み込んで柄で打つ。


しかしそれもかわされ、風圧だけで吹っ飛びそうな程の薙ぎ払い。


跳んでかわしたガイリス団長の体重を乗せた一撃を受けたドリュー団長の靴は土にめり込み、また観客が盛り上がる。


手に汗握るとはこの事か。


本当に魔法を使わないつもりらしい団長に、どうか使ってくれと願う。自団の団長にはやはり勝って欲しいし、それに…



「きゃーっ!ドリュー団長、素敵ーっ!」


「そこよ!やっちゃえー!」


「………」



若い女性の、ドリュー団長人気が…凄まじいのだ。


団長並のムキムキのくせに、団長より少し背が高くバランスが良く見えるのが原因か。それとも単純に爽やかフェイスだからか。


ドリュー団長にばかり黄色い声がとぶのがなんだか悔しくて、私も声を張り上げた。そして嬉しい事にそう思っていたのは私だけではなかったようで、隣にミアさんも並ぶ。



「ガイリス団長ーっ!頑張ってくださーいっ!」


「そうよ団長ー!勝ったらデートしてあげるからーっ!………サシャが!」


「えっ?!」



そんな話聞いてないとミアさんを見れば、いいじゃない減るもんじゃないしとか言われる。ならミアさんがしてあげれば良いんじゃ…



「馬鹿だなお前ら」


「なによジルコット。あんたがデートしてやるっての?」


「誰がするかよ。そうじゃなくて…そんな事しなくても、あいつならもうやる気は充分って事だよ」



彼の視線に合わせ団長を見れば、確かに…先程よりも闘志が剥き出しというか……あれ、怒っては…いない、よね…?!



「日頃モテたいとあれだけ口うるさい奴が、女の声援聞いて何も思わないわけないだろ?」



あ、と一瞬で納得した。道理で…なんかちょっと、イラついてるわけだ。というか泣きそうな顔にも見えるのは気のせいだろうか。


その後の団長の勢いは凄まじく、猛攻に猛攻を重ね最後にはドリュー団長の大剣を弾き飛ばし、勝負はついた。


野太い歓声が多く上がる中、しっかりとこちらに笑顔でガッツポーズをしてくれる我らが団長は、やっぱりドリュー団長よりかっこいいんじゃないかと思った。



♢ ♢ ♢ ♢ ♢



次々と個人の戦いが続く中、急にオッドが慌て出す。



「あ、あれっ…?!」


「?どうしたのオッド。ベルさんならそろそろ出て来るよ」


「違うんだ。誰か………トトを、見てない…?」



言われて見渡すもどこにもいないトトに、嫌な考えが頭をよぎる。この人混みだし…集中して試合見ちゃってたし…もしや攫われ、



(トト君からの伝言なら預かっているよ?)


「ねぇボス……伝言預かる前にまず私に…」



いや、お説教は後にしよう。まずはトトの居場所だ。小さく可愛らしい彼が側にいないのは不安すぎる。


一体彼はなんと言っていたのかと問い詰めれば、予想外過ぎて全員が頭を抱えた。



(どうやら例のトト君の想い人が遊びに来ていたようでね。ちょっと会ってくると、ついさっき…)


「…だそうです。ほんとごめんなさい、もっと早く聞いてれば…」


「目を離した僕が悪いんだよ!でも…困ったな、今僕は動けないし…」



今回オッドはルルガドルル達のお守り係であり、会場から離れる事は許されていないのだ。本当は今すぐ探しに行きたいだろうに。



「…そうだ、モモ。トトの匂いってわかる?」



耳栓を外し聞けば、あの乳臭さは嫌でもわかると返ってきた。乳くさ……いいやもう、ツッコミは後にしよう。モモが匂いを追えるなら、私達が探した方が早そうだ。



「私、モモと探してきます」


「あんたが行った方が良いのはわかるけど…昼までには帰ってきなさいよ?」


「俺達が何番目に戦うかもわかってないからな。準備もあるから、なるべく急いでくれ」


「ごめんねサシャ、モモ!トトを…お願いします!」


「うん!きっと遠くまでは行ってないだろうから、すぐ戻るよ!」



ルルガドルル達がいる為ボスも留守番なのでその場を任せ、先を行くモモを追う。もし大丈夫そうだったら例の女の子も連れてきてあげよう。きっとオッドは喜ぶだろうな。


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