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愛犬がいればなんでもできる!…気がする!  作者: にゃんころもち
第二章
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遊ぶのも一苦労



「一生のお願い…!代わって!ねぇ代わってよ!」


「……ごめん!」


「そんなっ…!サシャは…サシャだけは、僕の味方だと思ってたのに…!」



足に縋り付くオッドから目を逸らす。本当にごめんオッド…!それだけは、私も無理なんだ…!


そうギュッと目を瞑ったところで、ジルコットさんがひょいっとオッドを肩に担いだ。



「よし、今日も茶番終わったな。行くぞオッド」


「あんた達も毎日飽きないわねー」


「あはは………頑張れ、オッド…」


「…うん。行ってくるよ」



初日から欠かさず行われているやり取りに、離れて見ていたベルさんも呆れ顔だ。私も苦笑しながら三人を送り出し、ゴリラ達の元へ向かう。


森の巡回後に、団体戦に出る三人は連携を深めると日々訓練に励んでいる。


残念ながら森で行われている為見学する事は出来ないが、こちらはこちらで団長やベルさんが手合わせしているのでとても勉強になっていた。


全員かなりの本気だ。


なので私は邪魔にならないよう早めに自分の訓練をやめ、ちょっと寂しそうにしているみんなの従魔と触れ合っている。



「おぉっ、リンリン新しいリボン可愛いじゃん!」


(本当?!これね、ベルがね、絶対賞金貰えるからってプレゼントしてくれたの!)



嬉々として通訳を引き受けてくれるボスには感謝だ。こうして会話出来れば、この子達の寂しさも少しは紛れるだろう。


それにしてもベルさん…団長を倒す気満々なのが怖いんだけど。毎日手合わせの気迫もすごいし。何が彼をそこまで本気にさせているのだろうか。



「私ももっと剣の扱い上手かったらなぁ…ちょっとは出場考えたんだけど」


(いや、実際レディは上達してきているさ。弓より剣の方が向いていたんじゃないかい?)



励ましてくれるボスの頭を撫でれば、両手を頬にあてクネクネと動き出した。最近こんな変な動きも可愛いと思えるようになってきている。モモは、見ないようにしているけれど…



(楓、そういやトトが相談したいって言ってたぞ)


「え?トトが?」



集まっていても誰かの背に乗り毛繕いばかりしている、トトが?


何を相談したいのだろうと姿を探せば、今日はカトリーヌの尻尾を入念に手入れしていた。習性なんだろうが…可愛すぎる。



「トトー。何か話したい事あるの?」


(おう!悪いな、聞いたのか。………実はよ、)



毛繕いをやめボスの耳元で何やら囁いたトトは、喋り終えると同時に両手で顔を覆ってしまった。そしてボスはニマニマしている。一体何の相談、



(レディ…春がきたよ)


「はい、やり直しを要求します」


(そうだね。トト君はどうやら…恋をしたみたいだ)



恋を、した、みたいだ。


慌ててなんだって?とトトを見るも照れているのか、全く目が合わない。ちょっとちょっと、どういう事?どこの誰に?


小さい声で鳴くトトの声をなんとか拾って通訳してもらうと、なんとも微笑ましい話で胸がキュンとした。



(どうやら森に住むフリーの女性だそうだよ。話した事はないけれど、見かけるたびに愛らしい笑顔を向けてくれるので好きになってしまったそうだ)


(わかりやすく言えよ。野生の雌だろ?)


(私にそんな野蛮な言い方をしろって言うのかい?常に丁寧に美しくが信条の、私に?)



そういう話じゃ…と戸惑うモモはさておき。そうか、トトは好きになっちゃったのか。そりゃ会うたび笑顔を向けられたら無理もないのかもしれない。 


可愛いんだ?と聞けば、頷いてボスの頭に顔を押し付けだす。どうしよう、めちゃくちゃに撫で回したい。



(今度会えたらデートに誘いたいそうなんだが、オッド君にどう伝えたら良いのか困ってるそうだよ)


「え?オッドなら喜ぶと思うし普通に言えば…」



言いかけて気付く。今は言えないか…真剣に訓練してるもんなぁ。


トトもそれが気がかりらしい。しかし、せっかく出会えた子を逃したくない気持ちもあって、どうしたら良いのかわからないそうだ。



「んー…でも、言わない方がオッドは気にする気が…」


(あいつならそうだろうな。別に、普通に言えばいいだろ)


(そうだね。まずはデートの約束を取り付けないといけないし、その時間だけもらいたいと伝えてみたらどうかな?)



ボスの言葉にトトは少し考えた後、真剣な表情で頷いた。よし、じゃあそれは後で私が伝えるとして…



「じゃあ今日はみんなで遊ぼう!陛下からこの間のご褒美で、オモチャ貰ったから!」



頼んでいた大きなボールと頑丈なロープが、ついに今日届いたのだ。残念ながらクッションはまだ時間がかかるとの事。


ボールは運動会の玉転がしかという程大きいが、元々大きめの物を蹴って遊ぶのが好きだったモモは大喜びである。尻尾ブンブンだね!



(楓っ!いいのか?遊んでいいのか?)


「勿論!みんなで仲良くね!怪我だけはしないようにー!」



早速モモが鼻で飛ばせば、ボスが力強くキャッチする。それを優しく投げるとチャトラが頭突きし、リンリンがお尻で跳ね返した。丸まったムムスケの背に落ちたボールをトトが風魔法で浮かせ、またモモが鼻で飛ばす。


繰り返し同じ事をしているだけなのだがみんな楽しそうで、見ている私もニンマリしてしまう。ムービーに撮れたら最高なのになぁ。



(混ざらないのか?)


「ごめんねモモ、私にはこの大きさは厳しいや」


(いつも公園で一緒に遊んだだろ…)


「うっ…!」



耳と尻尾、更に顔まで下がり誰が見てもシュンとしているモモに心が痛む。けれど、さすがにこの大きさは…。


モモが怪我しないようにと柔らかく作ってくれているそうだが、危ない。私には危ない。


遊んでいて怪我をするなんて笑えないので、断ろうとしたのだが……無理だった。


きゅうん、と…鳴いたのだ、モモが。


いつから使い分けれるようになったのかなんてどうでも良かった。気付いたらみんなの輪に加わって、風魔法を使ったり時には物凄く吹っ飛ばされたりしながら結果楽しく遊んでしまった。


全身痣だらけになったけど、従魔達は楽しんだようだし…また遊ぼうな!なんて柴犬スマイルで言われては、頷くしか…選択肢は、なかった。


モモの為なら痣くらい、…………いや、やっぱ痛いかも…。


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