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愛犬がいればなんでもできる!…気がする!  作者: にゃんころもち
第一章
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再会と和解


魂なんて売ってない。勝手にこうなったんだ…と言いたかったが、喉がキュッとなり上手く声が出てこない。


この黒光りする体をどうしたらいいのかわからず、顔から手を外せないままでいれば男達の悲鳴が聞こえた。


大体予想はついたが指の隙間からチラ見してみる。


ゴリラ達が、突進していた。逃げる奴は掴んでぶん回し、攻撃しようとしている奴にはそのまま体当たり…そして、そのカオスなド真ん中でボスが、雄叫びをあげていた。とても大変な事になっている。


…どうしよう。こうなったのは私のせいだろうか?いやいや、実際ほんと…何もしていないはず。私のせいじゃないと、声を大にして言いたい。


動く気になれずそのまま座り込み事の成り行きを見守っていれば、遠くからたくさんの人が駆けてくるのを発見する。あの大きい図体はっ…!



「団長っ……!」


「うおっ?!新種の魔獣か?!」


「………」



よりによって新種の魔獣ときたか。そりゃ一目でわかってもらえないかもと思ってはいたが、あんまりである。


黙っている間に恐る恐る近付いてきた団長が、サシャか…?!と気付くも私の機嫌は物凄く悪い。この人は、思った事をすぐ口に出す癖を直した方がいいと思う。



「……どうしてそうなったのか、聞くのは後でいいか?」


「…後で、いいです」



そうか、と神妙な顔でうなづく団長。もしかしたら今なら一発殴れるかもと立ち上がれば、急に体の黒光りが解けていく。よく見れば周りのゴリラ達も…という事は、硬質化…解けた?!


私は勢いよく立ち上がり、空に向かってガッツポーズをする。あぁ、清々しい!心からの安堵とは、こんな気持ちだったのか…!


もしかしたらもう戻れないかもと思っていたから、本当に…本っ当に良かった…!



「おぉ!なんだそれ、かっこいいな!どうやったんだ?」


「ボスに聞いてください。私は関与してません」


「なに……っとと、今はそれどころじゃなかった。こっちは無事全て終わったからな。加勢に来たんだが…いらなかったなぁ」



ははは、と笑う団長に今度は私が食いついた。なんだって?……終わったの?本当に?


さっき団長の後ろを走っていた見覚えのある兵士達が、次々とそのへんで転がっている敵を捕縛している。


更に城の方から見知った顔が何人も走ってくるのを見て、涙腺が爆発しそうになった。泣かないけど。絶対、今は泣かないけどっ…!



「サシャっ…!あんた…!」


「うぅ……ミ、ミアさぁあん!」


「無事で良かった…!ルルガドルルの群れといるって聞いた時は、どうなる事かと思ったよ!」


「あんなに溺愛してたモモと引き離されたって聞いて、サシャちゃんが何するか…もう、気が気じゃなかったっスよ」


「檻はもう壊してあるぞ。あっちで解放した魔獣達に異常がないか診てる。……行ってこい」



ミアさんに、オッド。ベルさんとジルコットさんまで…全員集合じゃないか。急速に私のメンタルが癒されていく。


そして、ジルコットさんが指差した方には既に団長が向かっていて。慌てて駆け寄り追いつくも、その表情は険しい。…そうだった。


従魔契約、強制解除されていたんだった。


チャトラもモモも、どうなっているかわからない。怖い。けれど、モモに会いたい。こんなにモモと離れた事なんてなかったもん…寂しい。


たとえモモが私なんてもういいと言っても、近づくなと威嚇されても、抱きつきたかった。


最初に檻を発見した場所に近付くにつれ、ガヤガヤと騒がしさが増す。ユナイシアムルの人達が魔獣に避けられているのを横目で見つつ、モモを探すもなかなか見つからない。


あんなに大きな体がどうしていないのだろうと首を傾げていれば、ふいに大きな影が降ってくる。…え?



「サシャっ!」


「ぐぇっ」



ま、また首根っこ掴まれた…!


涙目で咳き込んでいれば、今度は頭上から強い風が吹き込む。



「もう、一体なに…………………モモ、」



会いたくて会いたくて仕方なかった愛しいモモが、そこに、いた。危うく潰されるところだったのは、やっぱり怒っているからだろうか…


会えたらまず謝ろうとか、抱きつこうとか…いろいろ思っていたのに、いざモモを目の前にすると言葉が出ないし足がすくんで動かない。


どうしよう。お前なんかもう知らないって言われたら、



(…おい)


「は、はいっ!」



モモの声は低い。いや、元々低かったか…?もう長い事声を聞いていない気がする。あんなに毎日一緒にいたのに、今のモモの感情がわからない。


それでも数日ぶりに見た黒くつぶらな瞳、つい触りたくなるマロ眉、ふわふわで肉厚の耳は…超絶可愛かった。



(何勝手に俺の前からいなくなってんだ)


「うっ…ご、ごめんなさい……?」



何か違う気がしたが…まぁ、森でモモから離れたのは私だ。間違ってはいない。



(俺がどんだけ心配したと思ってやがる。それにあの忌々しい檻は壊れないわ、飯はマズいわチャトラはうるさいわ…散々だったぞ)


「ほんと…本当に、ごめんね、モモ」


(…早く帰って美味い飯食いたい。ほら、さっさとしろ)



え、ちょっと、待って…


引き止めれば不機嫌そうに睨まれたけど、お願いだから待ってほしい。



「ま、まだ一緒にいても、いいの…?!怒ってないの…?!」


(あ?怒られたいのか?)


「それは絶対嫌だけど、でも…すぐ助けに行けなかったし…モモを、守れなかったから…」


(めでたい頭だな。いいか、よく聞けよ)



ぶっちゃけ連れ去られたのは、ジャーキーに夢中になってた俺が悪い。助けと言ったが、弱いお前に期待はこれっぽっちもしてなかった。むしろ俺がいないと、簡単に死ぬとすら思ってた。



(だから今後、心配させるなよ。俺の目の届く場所にいろ。楓は、俺がいないとダメだからな)


「うん……うんっ…!絶対、離れないから…!嫌がっても離れないからね!」



わざわざ伏せてくれたモモの顔に飛び込めば、前足で抱えるようにギュッとしてくれた。そしてボソッと、悪かった…なんて呟く。



(解けた従魔契約も、楓がしたいなら…またすればいい。まぁそんなもんなくてもずっと一緒にいたんだし、今更だがな)



もっとぎゅうぎゅう抱き着いた。モモ…前々から思ってたけど、なんでこんなに男前なんだろう…!かっこ良すぎる!


ふわふわの毛並みを全身で愛で、深く何度も息を吸い込む。これこれ、この…お日様の匂いが、モモの匂いだ。はぁ〜、落ち着く…


戦争はまだ終わっていないし、団長とチャトラも気になるし、鉱石もどうなったのか聞かなければ。名残惜しいがモモから離れ、ムキムキを探しているとー…


違うムキムキが、建物の陰からこちらを見ていた。


…ボスの事忘れてたっ!

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[良い点] ボスとモモとサシャの三角関係! 揺れる恋心?www
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