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愛犬がいればなんでもできる!…気がする!  作者: にゃんころもち
第一章
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大真面目です


「なぁ、それ……やっぱり取らないか…?その、つい目につくというか…気が散るというか…」


「リンリンが悲しそうな顔をするので、拒否します」


「………………そうかぁ」



団長が微妙な顔をする理由、それは私の頭にある。


先程リンリンに斬新に飾り付けられた髪をそのままにしてあるのだ。勿論すぐにリボンを取ろうとしたが、リンリンがこの世の終わりみたいな顔をするので諦めた。喜怒哀楽が激しく可愛らしいあの子に嫌われるのは避けたい。



「まぁ、見た目は関係ないし…いいか!俺が見なきゃいいだけだしな!」


「そうですね、弓を教わるのはオッドですし。よろしくね」


「え…………ほ、本気なんだ…」



いつでも本気だよ!と言えばオッドにも微妙な顔をされた。いや仕方ないじゃない、私だって本当はこんな頭嫌だけどリンリンずっとこっち見てるんだもん。今日だけ我慢すれば良いなら我慢するよ、彼女の笑顔の為に。


…なんてかっこいい事を言ったが頭がちょっと重いのは内緒である。リボン何個ついてるんだろ。



「じ、じゃあ、まずは弓をこう持ってね」


「はい」


「そうしたら、ここの指はこう…こっちの指は、」



自ら持ち方を直してくれるオッドのおかげで、パッと見はなかなか様になってるんじゃないだろうか。


先端に丸く布が巻き付けられた練習用の矢を構え、設置された的に狙いを定める。うーん…全く当たる気がしないんだけど。せっかく的大きくしてくれたのに。


試しに何度か放ってみるも、偶然掠っただけで当たったとは言えない。せめて感覚は掴みたいなとオッドにお手本を見せてもらうと、



「すごい…!全部ど真ん中!さすが弓のプロだね!」


「あはは…ありがとう。何度も練習していれば、ちょっとずつ当たるようになるよ。自信がないうちは魔法を主軸にすればいいんじゃないかな」


「そうだよね…魔法の方がまだ当たると思うけど、弓もちゃんと使えるようになりたい。毎日頑張る!」


「うん、僕も付き合うから。でも指が痛くなるまではダメだよ?感覚を忘れない為には毎日触らなくちゃいけないのに、痛くて触れなくなったら意味がないからね」



同い年なのにしっかりしてるなぁと感心する。従魔騎士団が出来る前はみんな騎士団にいたと言っていたし、厳しく訓練されてきたのだろう。そんなとこにひょっこり一般人が入ってしまって申し訳ない。


あれ、でもほぼ強制だったような…?


数日前の出来事を思い返していた私は上の空だった。だから、聞き間違えたんだと思った。



「まぁ、グイーッてやってビューンってすれば当たるようになるよ」



…ん?



「…オッド?どうすれば当たるようになるって?」


「え?だから、グイーッてやってビューンってすれば…」



あ、ダメな子だった。


教えるのに向いてるんじゃないかと思ってたけど一番向いてない子だった。


あまりにひどいと後ろで従魔と戯れていた二人を見るも、全然こっちを見ていない。それどころか不自然に目を逸らしている。…知ってたな、この反応。



「オッドは、言葉で教えるとポンコツなんスよ。さすがにもう改善したと思ってたっス」


「すまん、サシャ。あと……頑張れ」



いくらジト目を送ろうと頑なにこっちを見ようとはしない。…助けを求めるだけ無駄だという事か、よしわかった。


私は諦めて、練習用の矢がなくなるまで弓を引き続けた。気にしたら負けな気がするのは何故だろう。



♢ ♢ ♢ ♢ ♢



「森の見回りー…ですか?」


「あぁ。元々騎士団の仕事だったが、従魔騎士団が出来てからは分担してな。従魔がいる方が効率がいいんだ」


「二人一組は絶対よ。今までは団長が一人で行っていたから、サシャが入ってくれて助かったわ」



仕事から戻ってきた二人にもこれでもかという程笑われ、現在。ミアさんに無数のリボンを外してもらいながら初仕事の説明を受けていた。自分じゃ後ろ見えないから助かります。



「ブロッグモーリアとムルスタブルグの兵がチョロチョロしてんだ。見つけたら、適当に追い払え」


「適当にって…いいんですか、それで」


「奴等毎日のように湧いて出やがるからな」



それに、と。


稀だがテントを張り、何日も居座っているのもいるらしい。そういう奴等はそこから陣を形成してく役目を担っているので、ちょっと強いし抵抗もしてくるし、しつこい。だからー…


遠慮なく、ぶっ潰せ。


そう吐き捨てたジルコットさんのいい笑顔は見なかった事にした。



「ま、団長もいるし大丈夫でしょ。そういえば魔法はどうだったの?」


「希少属性を除いた五つでした。魔力量はそこそこらしくて…」


「あら良かったじゃない。慣れて節約できるようになれば量なんて関係ないし、頑張りましょ!」



やはりミアさんは癒しである。こんな優しくて美しい天使が存在していいのか?…いなきゃ私の心がどこかでポッキリいってたかもしれないから、いてくれて良かった本当に。



「ところでお前、団長に感化されてないだろうな?」


「へ?…感化?どの部分にですか?」


「……いや、されてないなら、いい。いいか、あの人は特殊だ。間違っても大丈夫だ出来ると唆されて同じ事をしようとすんなよ。後悔するぞ」


「…?よくわからないけど…わかりました」



ジルコットさんが何の事を言ってるのか全然わからないが、とりあえず返事をしておけば彼はそれで満足したようだった。なんの心配をしてるのだろう。


それにしてもー…


明日が、初仕事かぁ…。普通の仕事じゃない分余計に緊張してしまう。けれど思っていたよりスムーズに魔法は発動出来たし、弓は、まぁ…うん。牽制くらいにはなるだろう。きっと大丈夫。


モモも一緒なんだし、この天国のような職場に居続けられるようしっかりと働こう!ほんと、愛犬と出勤だなんて最高すぎるよね!

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