十五話 後悔
——進藤の部屋——
「うっ……!」
進藤は息を乱しながら、ソファから起き上がった。
「また……この夢か」
高台から帰宅後、ソファで眠ってしまっていたようだった。
「もう、こんな時間」
部屋の時計を見ると、十九時を過ぎていた。
進藤はソファから立ち上がると、風呂場に向かった。
シャワーを浴び出てくると、冷蔵庫から缶ビールを取り出し、渇いた喉に流し込んだ。
進藤は缶ビールを片手にソファに座ると、しばらく天井を見つめながら、今までの出来事を頭の中で整理した。
・神谷家の火事
・両親の遺体から検出された睡眠薬
・父親は医師だった
・母親は病院に通院していた
・燃えなかった小屋
・小屋の近くで発見された葵
・小屋には誰かが暮らしていた形跡があった
警察はなぜ母親による一家心中と考えたのか……遺体から検出された睡眠薬は、母親が通院していた病院で処方されたものだったのか……?
だが、それだけで母親が一家心中を図ったと判断できるのか?
そもそも、母親が一家心中を図ったのなら、なぜ葵さんだけが小屋の近くで発見された?
そう言えば、小屋には誰かが暮らしていた形跡があった。
……小屋にいたのは誰なんだ?
もしかして……葵さんが?
だとしたら、なぜ彼女は、家ではなくあの小屋で暮らしていたんだ?
分からないことが多すぎる。
それに、気になるのは、高台で葵が最後に口にした言葉。
「さ、さくが……わたしのために全てを……」
火事のときに弟が姉を助けたのか……
それとも、弟が姉のために何かしたのか……
「……本当に、母親が一家心中を図ったのか?」
進藤は呟いた。
もし、そうでないとしたら、彼女はとんでもない過去を背負ったことになる……
葵さんは一体何を思い出したのだろうか……?
そこまで考えると、進藤はしばらく目を閉じた。
『ヴヴヴ……ヴヴヴ……』
携帯を開くと、蓮から着信が入っていた。
高台での葵の様子を心配する内容だった。
「……オレが、葵の過去を調べようなんて、言わなければ良かった」
蓮は後悔しているようだった。
「……いや、高台に連れて行ったのは俺だ。俺に責任がある。だから、蓮は何も気にしなくていい」
(……葵さんは、大丈夫だろうか?)
「でも……葵、これからどうなるのかな」
「……俺も、それは気になっている」
進藤はそう答えると、しばらく黙った。
「今日はもう遅いから、葵さんのことは俺に任せてほしい」
「うん、……分かった」
「じゃあ、また連絡する」
進藤は蓮との電話を切った。
(……明日、葵さんに会いに行ってみるか)
進藤は、携帯の連絡先から水沢みどりの名前を探した。




