第二部の2話
一方そのころ。
湊曜です。
少し前から、兄である湊陽一の熱狂するソーマファンタジーというゲームとそっくりの世界で冒険者をやっています。
ほんのしばらくの間だけ、よろしくお願いします。
ここは私立、白鳳高校
中高一貫の県下では割と有数の進学校です
兄、陽一の母校であり、私、妹の曜が現在通っている学校でもあります
白鳳高校には年に1回1か月ほど、海外の提携校と留学生を交換するシステムがあり、5名ほど有志の学生が海外から研修に来ることがあるのですが……
その中に彼女はいました
「シャイニングフォレストシティから来た『マリチ・マコチ』です」
ザワ……
「こちらのことはまだまだ分からないことだらけなので、よろしくなの」
ざわざわ……
「ちっちゃい……」
「かわいい……」
「でもなんかよく分からないけど強者感が……」
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少しだけ時を戻します
あの日、兄がアメノミカヅチを封印した日から
兄のアパートの風呂場は使用不可能になりました
なぜなら『輝く扉』が出っぱなしになったからです
そして、マリチさんも自由にこっちの世界に来れるようになったそうです
当然ながら好奇心旺盛な彼女の事
「遊びに来たなの」
こちらの世界の事をいろいろ冒険したいとのことらしいです
……。
マリチさんは一見はちゃめちゃだと思われそうな性格ですが、実はとても理性的だと思います
己の持つ選択肢の中で最も効率の良いものを速やかに実行するのです
けどそれって、現代日本にはあまり適合してない価値観かもしれません
複雑になった現代社会ではコミュニケーションや対話が重視されますので
と、いうわけで
兄の同級生、日枝薫さんと僭越ながら私、曜による徹底的な現代社会教育が施されました
以下、マリチさんに兄がお願いしてるルール
・魔法の使用禁止
・あなたの指先一つで通常の人間は死ぬという自覚
・異世界の事は北欧の小国という設定
・尖った耳は人間の耳にそっくりな装備を表示して誤魔化す
・とりあえず兄と私の遠い親戚ということにする
ここら辺をきっちり守っていただいて、現代社会を堪能してほしい
と、そこで終われば良かったのですが……
「マリチも学校とやらに行ってみたい」
などと、とんでもないことをおっしゃったのです
そこで今度は学校とはどういう場所かを熱心に説得した結果……
「行けそうなので行ってみる」
全然行けそうじゃないけど、そこまで言うならということで
兄が学校の教務課に問い合わせたらなんかあっさりと許可されたので
海外から来たということにして1か月の体験学習ということになりました
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さて話を戻して
「短い期間ですが、よろしくお願いします」
確かに一見北欧風の可憐な少女に見えなくもないマリチさんなのですが
高校生にしては小柄すぎる気もするし、それでいて何かこう……
強者オーラが隠しきれていない気がします
ただ、学力だけに関して言えば、なぜかある程度の参考書を読んだだけですぐにマスターし、並の高校生程度の学力は備えているという驚異の理解力
さすが、兄いわくぶっちぎりの高INT(知力)ステータスらしいので
こんなところにまで反映されているとは、異世界パワーすごいです
「いろいろと行動力がすごい…けど、大丈夫なんかな……」
兄は現在不在の為、マリチさんの手助けをする役目は私の仕事ということになりますが、何かあった時に私でどうにかできるとは思えないんですけど




