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第32話



俺が覚悟を決めたその時だった


――!

―――!!


‥‥‥?


遥か上空で何やら音がする


「神龍撃墜脚~!」


ガシャーーーンッ!!!!!!


とんでもなく硬いものが、とんでもなく硬い割れ物にぶつかったような音がした


「え?」


墜ちる?


龍の巨体が??!!!


少し目が慣れて朧げに見えていた虹色の巨体がこっちに近づいて……


「うおおおおお」


俺は本来は敵との間合いを詰める移動攻撃技を敵から回避するために発動し、ギリギリ敵の落下範囲外に脱出する


ガシャアァァアーーーン!!!!


全身にまとう結晶の多くが割れ飛び、なかなかの轟音をあたりに響かせた


龍の巨体が地に墜ちると、今まで影になっていた月光がその姿を照らしだす

その背中には巨大な翼……の付け根になんかいる!!


あのチンチクリンは……


「もぎ取っちゃる……」

「マリチィィィーーーー!!!」


バギョン


一枚の翼がちぎれて宙を舞った


「ダブル烈風刃!」


マリチが両手を伸ばして巨大な真空の刃を飛ばす


バギャバギャバギャ…!!ブチブチブチ


結晶に覆われていた巨大な翼がキラキラと光を飛び散らせながら細切れになっていく


「とうっ」


そして龍の背中を蹴って高くジャンプし、くるくるっと回った後、こちらにスタっと着地した


「待たせたな!」

「マリチ!?どうやって!!!!」


俺はさすがに呆気にとられて固まってしまった


「ちなみに私もいます……」


背後から甲高い声がした


この声は……

「日枝さん!?むしろ今までどこに!」


『えーっと……』

マリチと日枝さんの声がハモる


「なんて言ったらいいか……」

「話せば長くなるなの」


着地の衝撃なのか、カオスドラゴン・アメノミカヅチは沈黙している


「マリチさんの庭から湊くんが飛ぼうとしたとき、私、直前で扉に入らなかったんだよね」

「え。」


さすがの衝撃の事実の連続に思考が追い付かない

全然リアクションを取れない俺を見て、彼女はそのまま言葉を続ける


「あの時の戦いを見ててさ。このままこっちの世界に行ってもドラゴンは倒せないって思ってさ。マリチさんを探しに行ったんだ」

「そのころマリチさんは夕飯の献立を考えるのに必死だったのであった」


なんでこいつこんなに呑気なん……


「向こうとこっちの時間の流れの差が、功を奏したね」

「そして私は高級キノコを泣く泣く森に置いてくる羽目になったのであった」


なるほど日枝さんがマリチを呼んできたのか‥‥

たしかにあの状況はジリ貧だった

負けないけど勝てないという一番面倒なパターンになるのは目に見えていた


そして星の核の上で戦っている限り、龍のエネルギーを放出させ切るのは不可能だったし(また吸収すればいいだけだからな)、かといってこっちの世界でエネルギーをすべて放出させるというのは大破壊を意味する


いやそうじゃなくて

「なんでマリチがこっちの世界に来れてるんだ!??」


「えーっと。そこが一番大変だったところでですね…」

日枝さんはほっぺたをポリポリと掻きながら言い淀んだ

言いにくいことがあるというよりかは、何から話せばいいか考え中といった感じだ


「まあ」

日枝さんの思考をマリチがぶった切る

「女神さまと話し合ってきたよね」


ようやくそこまで話を聞けて、ほんの少しだけ見えてきたところで


ガラガラガラ‥‥‥


龍が再び動き始めた


着地の衝撃で体中の結晶がかなり剥がれ落ち、白い鱗が剥き出しになっている


「ま、話はあとでゆっくり聞こうか……」


マリチがいるなら話は変わる

俺は素早くステータス画面を開き、クラスをルーンナイトに切り替えた


「もう大体話し終わったけどね」


そういうとマリチは龍に音速で殴りかかっていった


……え、あれで?


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