第27話
異世界ではパーティーを組んでいた俺たちだが
現実の世界ではそれぞれの生活を生きる
というか…リアルだとそんなに仲良くないしな!
そして今の曜にもはや俺の手助けは要らないだろう
「その…大丈夫だとは思うけど、謙虚にな…魔法とかバレるとめんどいぞ多分」
「わかってるよさすがに」
これだけの時間、行動を共にしたのは幼少期以降だったと思う
少しだけ俺に対する態度が柔らかくなった気がする妹は、俺の言葉に少し苦笑していた
「あ、あとな。カーバンクルが普通の高校生を攻撃したら死ぬかもしれんから気ぃ付けや」
「え」
これまでの経験で、レベル1の冒険者や一般人のHPは30ぐらいだと分かった
レベル5の聖獣の通常攻撃はおそらくレベル1の戦士が棍棒で殴るぐらいの攻撃力だが、多分それでもダメージに換算すると15ぐらいある
「一回それありかけたけど、俺は回復魔法もつかえるからなんとかなったんよ」
「へー……」
ゲームだとHPは0になった瞬間に死ぬけど、現実の命はそうじゃないからな
生物は心肺が停止してもすぐに死ぬわけではない
大きなダメージを受けた場合に脳などの一度ダメになってしまえば回復の難しい組織の死がゆっくりと始まり、それがある一定のラインを越えるとはじめて本当の死が訪れる
もちろん一撃で大きく損傷を受けたときは即座に死が訪れることもある
なんていうか……回復魔法の力は、完全な死に至る前であればかなりの損傷でも元通りに復活できたイメージだ
ただ、蘇生魔法に関しては未だ未知数だ
いちおう使うことはできるがまだその機会が訪れてはいないからな
「まあ、何かあったら呼んでください」
ソーファン世界で得た力で何か事件が起きてしまった場合、その責任は俺がとらねばなるまい
「あ、うん。ってどうやって?」
多分何かファンタジー的な方法を想像しているのだろうが
はっきりってこういうところは科学が優秀だと思う。よって
「普通に通話とかメールとか」
「あ、はい」
俺は転移魔法で曜を実家に送ると、ようやく元のアパートに戻って一息ついた
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俺の知ってるソーファン世界の伝説
暴走する星のエネルギーを喰らって生まれたというカオスドラゴン
では星の核の力を吸い取る前はなんだったのか
そこはゲーム内では触れられていない
大いなる精霊たち、神獣たちが言っていた言葉を読み解くに
……考えたくはないが
混沌の龍の元になった何かは、この俺たちが住む
『現実世界』
から来たのではないか?
おそらくソーファン世界は、場所や次元が違うだけでなく
時間の軸もずれていると感じるところが多くある
いつどこからなのかは分からないが、きっとその元となった何かは
かつてこの町にあった何かだったのではないか
だからこそ女神はこの世界から俺を呼んだのではないだろうか
そしてあえてこの場所にいた俺だったことにも意味があるのではないか
今から俺は冒険とは全く違う、地味な作業に奔走しよう
それは今までの冒険生活とは一線を画する地味な座学……
すなわちこの町の郷土史や伝承などの調査である
そしてある程度の目星がつけば、次はフィールドワークだ
さあ探しに行ってみようじゃないか、この物語の真実を




