第14話
<目標を排除します>
正面ゲートを開けようとした瞬間、今までで一番巨大なメカメカしいゴーレムが現れた
それをいつものように俺が受け、マリチが砕く
管理するものが滅びている世界なので『認証キーの書き換え』的な事はできないようで、基本的に俺が持っている青い水晶ですべてのゲートは開く
でも本来は何かしら手続きがいるのかもしれない
なので開けたり近づいたりすると大体敵が出る
そして連邦の魔導士や共和国の技師の調査により少しずつ遺跡の概要が明らかになる
古代王国の時代にも地上人たちの集落、獣人たちの国は存在していた
彼らに天空に攻め込む技術力はなかったが、地上での活動では多くの戦いがあった
それゆえに地上を制圧する兵器が開発され、配備された
天空都市には王宮や人々の生活する区域のほかに様々なエネルギーを生み出すための施設や、農場、研究所、そして砲台専用の島があるのだ
基本的に天空都市からの破壊光線はまっすぐ下にしか打てない
なので目標の位置の真上に直接移動する必要がある
世界中を支配下に置くためには一つの砲台だけではカバーしきれない
その為、砲台のある浮島が複数あるというわけだ
そしてそれらを制御するための、いわばオペレーションシステムを担っているのが今我々がいる区画なようだ
なのでこの場所の防衛システムが強固なのもうなずける
巨大ゴーレムをワンパン(といっても一撃が8回攻撃の技なので8発かも)で粉々にしたところでようやく中枢とおもわれる領域にたどり着いた俺たち
「廃墟ですね……」
部屋には周りと同じ、謎の超硬度の白い材質の石片がゴロゴロと転がっているだけだ
幾つか液晶パネルのように青い水晶がはめ込まれた構造物もあるが、俺の青水晶を近づけてみても反応はない
と、思いながら探索していたらそうでもなかった
誰かが何かを触ったのか、それとも何らかのセンサーがあったのか
フォン
と壁の一部が輝きを帯び、そのなかに何やら人影のようなものが浮かび上がった
<管理者のデュメルソスである。当施設が敵性勢力に制圧された可能性を感知した為、自己崩壊プログラムを起動させる。退避できるものは退避せよ。繰り返す……>
え?
かなり専門用語の多い難解な古代語なので調査団の人たちは少し翻訳に戸惑ったようだが、言葉が理解できなくても状況はなんとなくわかる
ヴィーン ヴィーン ヴィーン
何故なら室内の淡い青の光が急に赤くなり点滅を始めたからだ
「これって……!」
「さすがに危険な香りがするねえ」
「出よう」
『総員退避ーーー!!』
『調査団はただちに建物の外に走れーーー!!』
明らかなアラート警報の中、元来た道を走る俺たち
その間に感じていたのは、高度の低下だ
「これ……落ちてる!?」
たしかに落下感に近いものがある。けど浮遊するほどの感覚はないのでこれは
「落ちてはないと思う……でも降下は確実にしてそう」
外に出た
雲よりも上にあるため天空都市はいつも明るいはずだが、今は辺りが少し霧のように湿度を感じる
「これは……雲?」
そう。下降した天空都市は高度を下げて周りの雲と同じほどまで落ちている
そして、遠くから何かが近づいてくるのが目に入った
「んん……?」
「私、視力はそんなに良くないからわかんないな……眼鏡だし」
「島、きてるかも」
え?島?
「別の天空島が近づいてきてるんだろね」
「もしかして、この島の真上に……来る?」
「あーそういう事か。日枝さんさすが頭いいな」
天空島の地上攻撃砲台は空を移動し、真下に破壊光線を発射する
この指令島の自己破壊プログラムというのはおそらく……
「転移魔法で逃げたらどうなる?」
「さすがに全員一気には無理。だし、島を突き抜けて地上に穴が開くかもねぇ」
「真下がさっきまで居た山ならそこまで被害は出ないかもだけど……」
「お三方ーーーー!!」
調査団隊長の騎士隊長が、連邦魔導士と技師副団長を伴って走ってきた
「これはいったい何事でしょうか……!」
「おそらくだけど俺たちが無理やり遺跡に入ったことにより自爆するみたいです」
「別の天空島がこの島を破壊するみたい」
俺の言葉に続けて、マリチがいつもの表情を変えずににこにこしながら言った
「はぁ!!??」
「全員で転移すればいいかとも思うんですけど、地上の被害が予想できないしもし間に合わなかったら大変なので…」
何か不穏なことを言いそうな気配を察したのか、日枝さんが神妙な面持ちでこっちを見つめながら俺の言葉の続きを待つ
「俺が受けます」
『ええええええええ』
マリチを除くその場にいた全員が大声で悲鳴を上げた
思わず俺とマリチは顔を見合わせる
が、別にこれは無謀な提案ではなく、普通に勝算があるのである
何故なら俺たちはミッションでこの破壊光線が地上に放たれるのを見たことがある
その時のダメージが純粋な光属性攻撃だったのだ
属性攻撃であれば装備やアビリティで無効化できる
これが隕石落下みたいな大容量物理攻撃だったら逃げるしかなかったが、光線でよかった
そうこう言っている間に砲台を備えた攻撃用の浮島がもう目の前にまで近づいてきた
なるほど島の下部に細長い筒のようなものがついている
「では準備~!魔法防御~光耐性アップ~オート回復~からの、大地の精霊召喚ん~」
マリチは矢継ぎ早に魔法を唱え、最後に大きな岩の巨人を呼び出し俺を持ちあげる
多少上空で受けないと判定がほかの人まで及んでひとたまりもないからな
太陽はほぼ真上にあるため、徐々に今いる場所が砲台の影になる
『な、なにが起こるんだ…!?』
まだ状況が把握できていない団員もいる中、空に浮かぶ古代兵器が真上に静止した
そして……
キュイイイイイイイイイ
筒状の砲台の周辺にリング状の光輪が出現した
そして光は徐々に光を強めていきながら、輪が大きくなっていく
「だ、大丈夫かな……!」
日枝さんは両の手で光を遮って眩しそうにしているマリチの横にしゃがみ込み、その両肩を不安そうに抱く
「へいきへいき」
マリチは自分の肩に乗っている日枝さんの手をぽんぽんと叩いて励ました
ーーー。
耳障りな高い音が急に静かになったかと思った瞬間
巨大に広がっていた輪が一気に収束し、筒状の砲台に吸い込まれた
そして
「絶対魔法防御・光」
カッ
おれのアビリティ発動と同時に光線が発射された
ーーーーーーーーーーーー!!
大地の精霊の頭の上に立っていた俺の頭上に光の槍が降り注ぐ
なんとなく俺は両手を伸ばしてそれを受け止めるかのような姿勢をとってみる
音もなく照射され続ける、直径数メートルはあろうかという青白い光線
それが俺の身体に当たって物凄い光の粒子を飛び散らせている
ドンッ ズヴォオオオオオオ!!!!
音が後から鳴り響いてきた
あー……これは……
なかなかの高出力攻撃だなあ……
ドババババババババ
ズバババババババ
キュドドドドドド
当り続ける光線
周囲に飛び散る光の粒子(大地の精霊が焦げている
……!!!
…!
………
光の粒子を浴び続けていた大地の精霊は少しずつ崩れていきやがて小さな石の山になった
そして……果てしなく続くかと思われた照射がようやく終わり、立ち尽くす俺
「終わったぽ?」
マリチが近づきながら下から声をかけてきた
「か、回復魔法とか、要らない感じー…?」
日枝さんが恐る恐る声かけてくるが、俺は小さくうなずき、そして言った
「手が疲れた」
俺はなんとなく上げてた両手を静かに下ろし、瓦礫となった岩山を降りた
……!
『おおーーーー!!耐えたーーーー!!』
『あの光を受けて生き延びるとは……』
冒険団はドッと沸いた
各国の代表団もさすがにほっと胸をなでおろしている
最初はこの兵器を各々の国が利用できないか等考えていただろうが、このシステムを管理する島が自壊プログラムを起動した以上(消滅は一旦免れたとはいえ)、それがいかに難しいかは理解しただろう
まあ、これ以上俺たちは政治に介入する気はないしこれ以上どうするかは知らないが
岩土の山を降りきった俺を見て、マリチがにっこり笑いかけた
「おかえり」
「あ、お疲れさま…!」
日枝さんも
走り寄りながら声をかけてくれる
とりあえず俺の感想は一つだった
「目がちかちかしすぎて一旦休みたい……」
演出すごすぎるイベントとか見たときによくあるやつ…




