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第12話


現実の世界の超古代文明とは『とても古い時代にあった文明』という意味に過ぎない事が多いが、ファンタジー世界の超古代文明といえば、だいたいは『高度なロストテクノロジーを使って栄えていた古代の超文明』なのである


ソーマファンタジーの世界には1万年前に超古代文明があった

その文明は空に都市を浮かしたり、世界中に星のエネルギーを吸収する遺跡などを建造していた


そして多くの遺跡が今も残っており、一部はまだその機能を維持しているものもある


天壇山脈には地理的に規模の大きな遺跡があることが文献でもわかっていた

しかしその入り口は数千年もの間氷に閉ざされており、それを破壊したり溶かしたりする作業が双子の竜たちを起こしてしまうと恐れられていたため、永らくその探索は行われないままであった


その扉が今開かれるのである


魔法連邦国の魔導士チームたちが文献より割り出された場所にあった岩壁に魔法装置を取り付け、そこに魔力を送り込み氷を溶かしていく


氷が解けていくと少しずつ岩壁が崩壊していき、そこには地下へと続く巨大なスロープが現れる


そこを少し進むと途中から徐々に明らかに文明的な構造物と思われるなだらかな階段が現れ、通路自体が淡い光に照らされている空間にでてきた


そして…


「なんかシャッターみたいなのがあるね…」

「まさにそんな感じだな」


そこにあるのは材質が不明な白色で網状の構造物

ハチの巣のような六角形の構造が組み合わさった強靭な柵が行く手を阻んでいる

そして向こう側には広い空間がさらに奥に続いているのが見えている


持ち手のようなものや、柵が動くような仕様は見た限り一切ない

だが、ちょうど人間の顔の高さ辺りに、青い水晶のようなものが埋まっている


少し触れてみたが、白色の物体は恐ろしく強靭な材質でできており少し力をかけたぐらいでは凹んだりたわんだりすることもない


周囲の冒険者たちも少しずつザワつき始めた


魔法連邦の魔導士チームは文献をコンパクトにまとめたメモ帳の束のようなものを調べ始めている

共和国の技師団は柵構造の材質や中心部の水晶体を調べ始めた


「進めないじゃないか!」

「これで行き止まりか?」


ざわめきの中に喧騒が混じり始めたとき、誰かが柵に向かって炎魔法を放った


……が、炎は網を潜り抜けることも出来ず謎の魔法障壁で阻まれる

もちろん微かに煤がついただけで謎の白色の物質には傷一つつかない


からの……


ヴィーン ヴィーン

<侵入者を排除します 侵入者を排除します・・・>


「な、なんか音が聞こえるぞ…」

「明らかな警戒音だよなこれ…」


これは古代文明で使われていた言語だ

今でも世界の遺跡などでは文字として刻まれていたりするのである程度解読はされている

だが音声データとしてはほとんど残っていないので、ほとんどの冒険者たちは何か不快な音としか認識していないであろう


「ガーディアンが出てくるね」

マリチがぼそっと呟いた


実は俺とマリチはすでに全ミッションをクリアして超古代文明の秘密を既に知っているし、古代人の残魂などに触れた事もあって、この世界の古代言語や異国の言語などは何故か理解できるようになっているのであった


とはいえこの遺跡は初めて見る場所だ

何が起こるかわからないので普通にワクワクする


ジャコン ジャコン ジャコン

ジャコン ジャコン ジャコン

ジャコン ジャコン ジャコン


まったく継ぎ目や隙間がなかった床に丸い穴がいくつも開いて、そこからロボットが上がってきた

正確にはメカニカルなゴーレムだ


そして間髪を入れず即座に攻撃が始まる


俺からみた強さは「練習相手にもならない」

これは最も弱い敵を表す表示である


なお、特別なイベントボスやネームドモンスターを調べると

「強さは計り知れない」と出るので判断ができない


横に立っていた日枝さんにも聞いてみたところ

「えっと、とても楽な相手、だね」


てことは……


『うわーーー』『ギャーー』


阿鼻叫喚


冷たい壁と床に囲まれた広い空間は、突如起こった戦いで大惨事になっている

日枝さんから見てとても楽というのは中堅冒険者からみると「とてもとても強い」である

大勢で寄ってたかってようやく倒せる強さなのだ

それがざっと見ても10体ほど

しかも防御魔法などの準備もせずに突如戦いが勃発したのも大きい


「急ごう」


俺は少し小走りに青い水晶の前あたりまで進み

魔法攻撃無効障壁を張った


俺の強力な防御アビリティには敵の攻撃を強く引き付ける効果がある


ザザザザザザザザザザ


全てのガーディアンゴーレムが俺の方を向き

レーザー攻撃を放ってきた


「そうそうこの感じ」


ゴーレムのレーザー攻撃は火属性である

魔法無効障壁は属性のある魔法力を吸収し回復する


なんというか遠赤外線ヒーターに当るような癒し効果で思わずニッコリしてしまう


だが周りの冒険者から見たら凶悪なレーザーに一斉照射されて真っ赤に光りながらにこやかに笑っている変質者である


そんなことには気づかない俺に気をつかったのか

マリチがすかさず詠唱を始める


「求めに応じ、いでよ雷帝」


複雑な手の動きで魔法陣を作りそこから巨大な雷がヒト型に現れる


薄暗い洞窟の中に突如現れるすさまじい輝き

当然冒険団の視線はそこに集中する


そしてタイミングを見計らってマリチの一言


「ジャッジメントサンダー。なの」


その瞬間、紫色の閃光が部屋中に迸った


突如として現れた超攻撃を受けた古代文明の柵は恐ろしいまでに呪文に抵抗し、振動する青い障壁を展開する

そしてすべてのガーディアンゴーレムは全身を雷光に貫かれ、活動を停止した


「レーザーの一斉攻撃を浴びてへらへらしてたミナトくんと、雷帝召喚で敵を一撃で殲滅するマリチさんのカッコよさの対比……!これぞ完璧な形式美……!」

「何に感心してるの日枝さん」


ほんのり湯気を出しながら俺は力なくツッコむ


皆がマリチの元に集まってその活躍をたたえている間に、俺は手のひらの上に『古代の青水晶』を浮かび上がらせ、柵の真ん中にある同じ形をした青水晶に共鳴させた


<認識しました>


静かで機械的な古代語が響き、ゆっくりと柵が消えていく


「やっぱり古代文明の遺跡では共通の認識キーとして使えるようだな」

別のミッションで持っていたイベントアイテムが普通に使えることに安堵した


戦いのどさくさに紛れてバリケードを解除できたのはよかった

国家認定のチームに根掘り葉掘り聞かれるのも面倒だしな


いつの間にか柵が消えていることに築いた面々


ガーディアンゴーレムを倒したことによるものだと解釈されたようで、負傷者の手当てや新たなる戦いへの備えなどが確認されたのち、冒険団はさらに奥へと進むことになった


ただ、先ほどまでとは隊列が変わっている


今までは後ろについていた俺たち3人が、最前線に組まれるようになった


正確にはマリチと俺が並んで先頭でその後ろを日枝さんが歩く


「まあこの方が安全なの」

「それはそうなんだけどな」


かなり長い距離を歩いた先にあったのは、巨大な転送装置だ


青く揺らめく床はその機能を今なお十分に有していることが見て取れる


「ここらで一旦待機し、調査をしてみましょう」


王国騎士の隊長がそう全員に伝えていたころ


マリチと俺は歩を緩めることもなくそのまま転送装置の上に立った

「え、あ、じゃあ私も」

すぐそのあとに日枝さんも乗る


「え」

「ちょ」

「待っ」


驚きの表情を浮かべる他の冒険者が動揺する中


フォン…

俺たちの身体が青い光に包まれる


そして


キュオオオオオオオン


光の柱が突如真上に放たれ、俺たちはそのまま光となって上昇した


「これ前に同じやつ見た事あったんだよな」

「そうだね」


光が消えるとそこは先ほどまでと同じような材質でできた小さな部屋

そして先に見えている細い通路を少し進むとそこには再び真ん中に青水晶が埋め込まれた壁がある


俺は再び手のひらをかざした


ゆっくりと消えていく壁の向こうに映し出されたのは


果てしなく広がる青

時折浮かぶ雲を見て、初めてそこが空だとわかる


「はわわわ……すごい!!!」


「あの転移装置は地上の遺跡とここ」

「天空都市トュリーヤをつなぐものなの」


ひさびさにきたな天空都市

以前に来た時はミッションイベントで廃墟になった宮殿にしか行けなかったが、今回はまた全然違う別の場所に出たようだ


「さあ探検だ」

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