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第11話


何千年もの時を超え初めて一体に戻った伝説の双竜退治を完遂した俺たち


まあその、伝説のドラゴンの真の姿とはいえ…

でしたけど



街に戻ると、国家レベルの問題が勃発した


天壇山脈は世界最大の難所の一つである

山頂付近は常に瘴気が漂っており人々を寄せ付けない

世界地図でみると国々の中央付近に位置しており、国家間の領土問題の緩衝地帯にもなっていた


しかし今回のクエスト達成によりその最大の障害の原因になっていたドラゴンが排除され、それにより瘴気が薄れはじめ、長らく失われていた精霊力も少しずつ元に戻りつつある


今後は国家の認定を受けた冒険者たちによる探索が進んでいくであろう


もし重要な遺跡や資源などが発見された場合、新たな領土争いが発生することになるかもしれない


冒険者ギルドに入った俺たちを待っていたのは、受付嬢(クラレさんという名前らしい)の大拍手と、集まっていた冒険者たちの賞賛、そして……山脈を囲む三国の大使間の使者


「すごいすごいすごいですーー!!これでAランクですね!…ほんとはもうマリチさんミナトさんは実力的にはSSSランクなのでしょうけど、ポイント制なのでとりあえずAまでしか上がらないんですよー!許してくださいー!」

「ポイント制なんだ」

「あ、カオルさんはEから一気にBランクですね!」

「え、私は補助魔法で支援してただけだから…」

「ギルドランクは基本PT内でのポイントなので問題ないですよー!」


興奮する受付嬢に気圧される我々であったが、SSSクエスト達成はギルド発足以来の快挙だそうなのでそれも仕方ない

そしてランクが上がることにより報酬にボーナスが付いたり、街でうけられるサービスが向上したりなどがあるのでとてもありがたい


「まさか伝説のドラゴンたちを倒す冒険者がいたとは…」

「竜がまき散らす瘴気で長時間そこにいるだけで死に至るともいわれる地で…」

「最初に嬢ちゃんがSSSクエストを受けるって言った時は大笑いしちまったが、あんたたちは本物の実力者だった。非礼を詫びるぜ…!」

「魔妖精の嬢ちゃんもツエエよな……。俺ファンになっちまった」

「実は俺も……」


なんか女子二人にファンが付いとる

そして

この世界に来てからずっと思っていたのだが

俺って影薄いよな……


冒険者稼業には当然ながら依頼をこなす実力が重要である

だがしかし、大事なことは実はそれだけではないのだ

有名な冒険者になると国家の広告塔になったり、様々な商人ギルドの宣伝活動を担ったり

……いわゆるスポンサーなどが付く人気商売でもあるのだ!


世界にはいくつもの有名な冒険者パーティがあり、様々なギルドが彼らの活動を支援している


レア鉱石を探しに行く冒険団は鍛冶ギルドや錬金ギルドがスポンサーだし

遺跡探索メインの冒険者グループは魔術師ギルド(歴史学)の支援を受けていたり、などなど


当然人気が出るためにはビジュアルはとても重要である

冒険者たちが少し露出の多い鎧を着ていたり、野営などには明らかに向かなさそうな綺麗なファッションに身を包むのにはそういう大事な意味があるのであった


冷静に考えてみると


マリチは何度かのクエストの時のインパクトですでに有名人になりつつある

魔法の得意な魔妖精族なのにマスターレベルの格闘家であったり

高位の魔法を連発して派手な火力があるのも人気なようだ

そもそもに魔妖精族の女性はもともと見た目も可愛い


日枝さんはこの世界の住人とは少し雰囲気が違って純和風眼鏡美人なので

なんか今回のデビュークエストの特大インパクトで固定ファンが付きそうだ

魔法剣士の種族装備も女性が着るとこれまたカッコいい


そして俺はというと、どうにも二人の陰に隠れて目立っていない実感がある

敵の攻撃を受ける盾職はどうしても地味である

やはりダメージを与えるクラスの方が目立つし人気があるのだ


一人が受けて一人が攻めるほうがバランスがいいし、マリチは基本的に支援や攻撃に特化したクラスのマスターだ

日枝さんとしばらく組むのであれば支援系の仕事は彼女にお任せするのが適材適所だろう


しかも俺は様々な伝説的装備を、現実世界でも装備するため見た目は日常の服装のままに見えるように設定している

つまり傍目に見ると、凶悪なモンスターの前に立ってなぜかたいして何もせずに時間を稼ぎ

その間に仲間たちが派手に決着をつけるという構図になっている


……俺の扱いが地味なままなのはずっと変わらなさそうだ



「さてお三方にお伝えしたいことがあります」


俺が地味問題で一人悩んでいるうちに、いつのまにか目の前には正装をした3国の使者が立っていた


この世界には6つの大国がある。


中央大陸に3つの国、そして辺境に3つの国がある

もちろん少人数で構成されている部族や、亜人たちの王国もあるのだが大雑把に分けるとこうだ


今目の前に立っているのは中央大陸の三国の使者

ソーファンにおいては自分の所属国として選択できるのがこの三国である


一人は騎士、一人は魔術師、そしてもう一人は技師に見える

それぞれの格好はその国の政治形態や役人制度を反映している


三国を代表して私から…と騎士が一歩前に出て話し始めた

「この度の天壇山脈に住まう魔竜の討伐、実にお見事でした。実は世界最難関のクエストをもこなす貴方方にお願いしたいことがございます」


今回のSSSクエストはソーファンプレイ時にはなかったものなので、これに続くイベントもきっと新しいものだろう

これにはさすがに興味がそそられる

俺は平静を装い、相手の次の言葉を待った


「実は天壇山脈には古くから超古代王国の遺跡が極秘にあることが示唆されていて、その遺跡の探索のガイドというか…護衛をして頂きたく…」


「ほう~✨」

「超古代王国の遺跡?おもしろそう!」


俺よりも先にマリチと日枝さんが身を乗り出した

そしてくるっと俺の方を振り向く


「う、うん。面白そうだね」


なんか強引に話が進んでしまった


要は……実力はSSSだけどランクはAとBなので雇われコストも低いし(いちおう特別報酬は出すとは言っているが)人気急上昇中のグループを看板に置くことで、探索団に志願するものも多いだろうという算段らしい


一応話し合いの結果、歴史的な価値の高い文化財や重要な古代遺物に認定されるものは無理だが(もちろん発見されたのちに協議される)、それ以外であれば、探索で発見した物をどれでも一つ優先的に持ち帰る権利は確保した


まあ俺は新たな冒険を楽しめればそれでいいしな

今より強い装備があればなおいいが、現状の装備は数年かけて得たようなものばかりなのでそこにはあまり期待していない

「まあ新たなる地で心躍る冒険ができれば、私はそれでいいんだけどね」

マリチが俺と同じようなことをいう


さすが元俺の分身だ……

未だになんだか不思議な感じはするけど


出発は5日後


3日間で探索に参加する冒険者に公募をかけ、それなりの人数のチームを形成する予定だそうだ


そしてその際に貼られるポスターに俺たちのイラストが載ることになったのだが

マリチと日枝さんはめっちゃカッコかわいい風に描かれてるのに、俺だけめちゃくちゃ深く兜かぶって顔とか見えない感じにされてんすけど!

いくらキャラが薄いからって……でもその方が集客伸びるんだろうな…



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そして探索日当日


(あ、この準備期間中に毎日確認はしてみたけど扉は出ませんでした)

(あとさすがにマリチの家の布団で3人は寝られないし、日枝さんはさすがに知らない世界で一人で寝るのは怖いというのでギルドの宿で二部屋とって、俺は一人部屋、マリチと日枝さんが二人部屋で寝ました)


ギルド前の大広場に勢ぞろいした天壇山脈古代遺跡探索団のメンバー

実に100人!!


各国の代表のチームが一つずつに、各国から集まったレベルばらばらの冒険者チームが16チーム!


参加資格は天壇山脈のふもとの村に転移できることが条件

もちろん補給、救難、利便性などを考えてだ


そしてそこに集まったメンバー達が各国代表チームのよこに並んでいる俺たちに対して言った


『よろしくお願いします姐御!!!』

「みんなで頑張るよー!」

拳を天に突きあげるマリチ

それにこたえる冒険団

『ウォーーー!』


なにこれどういう状況?


一緒に横に並んでいた日枝さんがツツツとこっちに離れてきてぼそっと呟いた

「何この状況」

「さあ……」

真顔で集団を見つめている俺に対し

「でも、学校では得られない栄養分がここにはあるね」

と、彼女は笑った


なんだかんだ楽しめてるんならいいか

それに俺も、これだけの祭り(ゲームなどで時折発生する大型イベント)は久々だ


「では出発する!」


冒険談の事務的なリーダー、王国騎士団の隊長の掛け声により

続々とメンバーの転移が始まった



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