座標を睨む(7)
「これは手段じゃねえぜ、あくまで解決のための基本設計図だ」
兄弟が言う。
「さっきブロが言った通りさ」
「アネゴが死ぬとき後悔しなきゃハッピーエンド!乱暴だけどな」
兄弟が俺にウインクをする。
あれをやれと?
もう40だぞ…俺は。
俺は右腕の力こぶを叩きアピールをした。
「オーーゥ、イェ!騎士団のチャントポーズ覚えててくれたのかいブロ…涙が出るぜ」
話を戻すぞ。と兄弟が言う。
「この思考チャンネル空間を怨霊に繋ぐ」
「さっきからアシスタントしてくれてるバニーちゃんは正常に稼働しているアネゴの思考チャンネルなんだ」
兄弟がが続ける
「ブロとヒロインは怨霊に存在する正常な個体を探し、その勢力図を変えてもらうって寸法よ!」
「できるのか?」
「うん!わからん!」
「できるんじゃない?」
彼女が言った。
「おーーーい」
彼女が読書をしている被支配始祖たちに声をかける。
なになに~~~と言いながら、女子高生の制服を着た始祖たちがわらわらと集まる。
「この子たちって居た?」
ヒロインが始祖に言う。
「居た。だがこの者たちは日和見なところがある」
「最近は強制的にそなたらの乳繰り合いを見ておったから増えたのであろう」
ダン!と兄弟が机を叩いて立ち上がる。
「ワッザ!女子高生アネゴいたんすね?ねえねえオジさんとデートしない?」
やだ~~と言いながら女子高生始祖はぴゅ~~~っと居なくなる。
「え~~~とヒロインちゃん」
「オジサンたち世界レベルの災害の話してるんだけど」
「ヤバい推論立ててなーーーい?」
「困るよウチにも作風ってものがあるんだからさ」
兄弟がダラダラと汗を流しながら言う。
分かるぞ兄弟。
俺は覚悟を決めてる。
兄弟は「ステイ…ステイ」と彼女を宥めている。
「始祖って私たちが羨ましいんだよ!」
「だったら怨霊の中でさ、デートすれば解決するんじゃないかな?」
‥‥は?
俺は始祖の顔を見る。
驚愕で感情の抜けた顔をしている。
良かった…俺だけじゃない。
兄弟は何かに堪えている。
どうせロクでもないことだ…。
「それだよ~~~~~~~~~!俺仕事してよかった~~~~!」
バンザーイと兄弟が両手を上げる。
「何を言っておるそなた?怨霊の中がそんな生易しいものだと思っておるのか?」
ハッとした始祖が抗議する。
「アネゴ…それは戦力比から考える勝率の話でさぁ」
「今はどうやれば解決するのかという議論ですぜ」
ふむ…と始祖が考え込む。
俺はニヤリと笑った。
実に東方聖騎士団らしいやり方だ…。
勝利条件などすり替えてしまえ。
俺たちナチュラルな人類は人理と教義の解釈を武器に戦っていた。
戦って勝つなど下策にも程がある。
「可能性はある」
始祖がはぁ、ため息を吐く。
「我も自分がここまでチョロいとは思わなんだ」
「幼稚な生命体の乳繰り合いを見過ぎたせいだ」
始祖が周りを見る。
バニーガールや女子高生が体育座りをして話を聞いている。
グリンと俺を彼女たちが見る。
「設定回ダルい!」
「主人公攻め回ねーのか!ワンパターンだぞ!」
「合体!合体!合体!合体!」
「デート回さっさとやれ!」
「お前本当に40歳か!JKにおんぶ抱っこで恥ずかしくないのか!」
…苦情だ。
俺が悪いのか?
俺は一生懸命やっている。
本当だ!
信じてくれ!
非難の言葉に耐え切れず俺は兄弟に話を戻す。
「兄弟…怨霊にタマを打ち込むだけが戦争ではないと教育してやれそうか?」
「ケケケケ、ブロ…思い出してきたな。戦闘なんて最終局面を引き出すための交渉だからな」
「俺に出来ることを言ってくれ、支援しよう」
「ブロ!ヒロインちゃんとの関係進めて」
兄弟が肩を掴む
「安心しろ」
「承認で良いんだよな!インディアン嘘つかない」
「ああ嘘じゃない」
俺はインディアンじゃない。
「結婚して子作りまで進めて!それで理論値最大なるから!」
ズルっとヒロインが椅子から落ちる
「ちょ!おま!」
「マジマジマジ!俺は兄弟の破滅する人生も、ヒロインちゃんが怨霊なるのも見たくねえんだよ」
「そりゃ…そうだけど」
彼女がモジモジとしている。
「やろうぜぇ!みんなでゴールポスト動かして特大ホームランぶち込むんだよ!」
兄弟が興奮気味に言いう。
「…人類はしぶといな」
始祖がテーブルに頬杖をついていた。
荒々しい雰囲気は消え去っていた。
「嫌か?」
俺は聞いた。
「そうさな、不快ではない」
始祖が穏やかに笑った。




