座標を睨む(8)
彼女がテーブルに飛び乗ると、ジャンプして俺に抱き着いた。
「じゃあ今日から!」
俺は彼女を抱え上げ、膝上に座らせる。
どうだ!
周りを見る。
兄弟と始祖は白けた目で俺を見ている。
「ヘイ、ブロそこはキスじゃねえの?シマらねえよ」
「話にならんな…幼稚過ぎる」
周囲の被支配始祖人格も「一生懸命なだけ」と言う。
俺にどうしろと言うんだ。
お前たちの前で接吻はしたくない…。
俺にだって要望はある!
彼女は俺の首に両手を回して
「良いよ~ソッチの方が君らしい!」
抱擁が凄く心地良い。
俺は多分だらしない顔をしている。
隠すことなく俺は兄弟に聞いた。
「兄弟、今回の支援内容は何だ?」
「ハァン?支援?」
兄弟はテーブルの上で資料をまとめて、トントンと重なりを直している。
紙の資料なんて無かった筈だ…。
「まっ、人類存続支援だな。真面目に働くと肩が凝るぜ」
兄弟がグルグル肩を回す。
「その表現は正確ではないな」
俺はそう言った。
俺はホワイトボードに書かれた内容を袖でふき取る。
ペンを握ると古代語で大書する。
vacances
綴りは間違っていないだろうか…
俺はホワイトボードをバン!と叩く。
「兄弟…今回の支援は「休暇」を取るための支援だ」
兄弟の手元からパラパラと紙片が落ち、ノイズと共に消えていく。
「ブロからその単語が出るたぁ…俺の演算を超えてるぜ?」
信じられない。
そんな顔をしている。
「ハッ!バカンスにゃあ邪魔な連中が多すぎねえか」
兄弟が椅子に座り直して肩を竦める。
「…その通りだ」
怨霊、ライバル、未確認存在…。
多分他にも俺たちを妨害する「ロクでもない連中」が予測できる。
「俺の休暇はヒロインとのデートで埋まっている」
俺は抱える彼女を見を見た。
キョトンとしている。
いつもの俺から出る言葉ではない。
彼女が俺が最も可愛いと感じる表情になる。
この時間を大切にしたい。
邪魔な連中とは遊んでやる…ただし俺の流儀でな…。
「兄弟なら分かるだろ?彼女と過ごす時間に比べれば、奴らとの付き合いは極めて重要度が低い」
彼女が俺の頬に接吻を繰り返す。
す…凄く嬉しい。
「ブロ…聖騎士を、だめだ…クソみてぇな支援じゃねえか」
兄弟の得意な演算は「最悪」な答えを導き出したようだ。
「パートタイムで聖騎士をやる。兄弟、支援を頼む」
俺は兄弟に支援を頼んだ。




