座標を睨む(2)
『テッテー、テレッテー!』
『テレレッ テレレッ テレレッ テッ!』
俺にとって聞きなじみのある声だ。
ハッとして照らされた階段を凝視する。
二度と聞けないと思っていた声が何かのリズムを歌っていた
『テッテー、テレッテー!』
『テレレッ テレレッ テレレッ テッ!』
冠を目深に被り白い法衣を揺らす男が躍っていた。
左右をバニーガールが躍っている。
「あれって始祖?」
彼女が驚いている。
『ズンッ!──』
『オ〜レ〜! オレオレ〜!』
ハイキックをしながら踊るバニーガール始祖をかき分けるように、男がマイクを握って歌っている。
カクテル光線が階段を下りる男を追っている。
『パーパパーッ!』
『テレレッ テレレッ テレレッ テッ!』
『ドゥン!』
『チャチャッチャ〜♪』
二分ほど踊りながら俺たちの前でターンすると、その男は冠を外した。
「チャーーーラーーー!どうも愉快なAIです!」
「いや~~~アネゴ!体があるって素晴らしいね!」
男が始祖の手を馴れ馴れしく握る。
「あくまで仮初だがな、気に入ったのなら我もやった甲斐がある」
始祖は穏やかに微笑んだ。
「‥‥猊下」
俺は愕然として言った。
彼は俺を庇ってカレンと一緒に死んだはずだ…
それが何故?
「主人公…」
教皇が両手を広げる。
余りの懐かしさに俺はそれに吸い寄せられ…
「オラア!」
蹴り上げられた足は股間に直撃し、俺は悶絶する。
「こいつは10年来の俺の痛み!」
よろめく俺の顎に右ストレート。
ぐわんと体が歪む。
「これも法務部人格と戦い続けた俺の痛み!」
アッパーが顎を跳ね上げ倒れることを許さない。
「これがヒロインに振り回された俺の痛み!」
リバーブロー、痛みで意識が飛びそうになる。
「タスク管理で燃え尽きた俺の痛み!」
ボディーブロー、息が吸えない…。
意識がはっきり…す…る。
「そして…これが…」
なぜか背後にリングロープが出現し、それに跳ね返る。
「全部俺の痛みだああああ!」
鼻に全力の左ストレートが命中して、俺はどさっと倒れた。
ふぁさっと俺にタオルが舞い降りた…ような気がする。
明瞭な意識で、チャンピオンベルトを巻いた教皇が周囲のバニーガール始祖から頬に接吻を受けていた。
「あ~~~スッキリした。よおブロ俺だよ」
俺はよろけながら立ち上がる。
「そうか…最低の気分だ兄弟」
「体があるなら殴りてぇって夢が叶ったぜ」
「良かったな、虚を突かれた。始祖の教訓を忘れている。油断した俺が悪い」
「言うじゃねえか、俺を殴って良いんだぜ」
「良い。お前には殴られても仕方ないと思う」
俺は言った。
じゃーねーーーと言いながらバニーガール始祖たちが去っていく。
「これで四人が揃ったな」
始祖が言った。




