影を縫うように(6)
私は自室の机の上に白いインカムを置く。
これは彼から渡されたスペアのものであり
「実質盗聴器」
私は白いインカムを摘んだ。
コンコンと机に叩く。
入ってまーーーーす
インカムがAIの通信を受信した。
こいつの「バレてんならもう良いや」って態度…
マジでムカつく。
「マジでヤル気あんの?」
私は出来る限り感情を押し殺して聞いた。
…。
ほう‥‥ダンマリか
始祖はオキニで私はついで…
「ねえ?私たち友達だよね?」
私は言った。
…。
その無反応は「面倒ごとだ!黙っとこ」と受け取った。
「あ~~、ここに主人公と結ばれたい可愛い女の子が」
「シ・エ・ン、して欲しいなぁ~~~~」
この…アマ…。
分かってきてるじゃねえか?
成長期か?
AIの反応は渋々といったものだ。
交渉のテーブルに参加するならヨシ!
「アリガト!」
「ねえ…主人公の寝不足かなり良くなったよね」
「頭がすご~~~~く良い、あんたなら分かるよね」
ハァン…チクチク言葉かい?
まあ評価してやンよ
ガンバッタネ~~~
「うんうん、ブレないアンタで安心した」
私は頷きながら…フツフツと感情が煮えたぎる音を感じる。
「でね」
「寝ている時に手を握ってから何日経ったと思ってンだ?」
「そこから進んでねぇンだよ…なあ?」
え~~~、当社として最善の努力をしており
お客様のご要望にお応えできるよう、鋭意努力をしております。
大変ご不快と感じるでしょうが、何卒ご容赦のほどをお願いします。
ダン!と机を叩く。
「年単位の関係発展じゃないでしょ!」
「私は今すぐにでも合体したいと考えてるの!分かる?」
ファック…すぐ恫喝しやがる人類ってヤツぁ…
だったらヤっちまえ!
ぷいっ!
「ぷい!じゃないよね?」
「実質家族公認だよね?私間違ってる?」
しくしくしく。
やめてよぉ…戦闘支援のために作られてるのに…
「じゃあ算数の得意なアンタだから分析出来るよね?」
「人類増えないよねこのままだと」
うげ…
そのカードここで切るか…
「ネっ!支援してくれるよね」
支援…してます。
毎日「お手々握ってハッピーそうだな」って聞いてます…
「凄い!玄関のダンゴムシより有能!」
「彼は何て言うの?」
ヒロインの手は温かい、安心できる…
ずっと傍に居て欲しい…
って言ってます。
「ウンウン、じゃあ次のステップに進もうよ」
自分でやってクレメンス…
「じゃあ進んじゃうよ」
あ~~~~流石にカチンときたわ…
じゃあ進んじゃうよ?じゃねエんだよ。
正確に支援してやっから耳かっぽじって良く聞きやがれ!
私は姿勢を正した。
ヒロイン…テメぇ…
こっちはセンサーで確認してんだぞ!
ブロの生理的に反応している生殖器を凝視して何もしてねえだろ
いわゆる朝立ちってやつだ!
イケメンAI様助けて!
じゃねえぞ?
あ”あ”?
「ぷいっ」
私は黙秘する。
おうおう…俺様に黙秘たぁ、悪手でしかねェゾ?
これ以上の関係に進んだ時嫌われたくないから
ブロに迫ってねえンだよ
ソレ、せいか~~~~い。
俺様が支援出来るのは、テメェの行動あっての話だ
「私だってホンキでやってる、あんたも本気でやってよ!」
マジなハナシでな
それ以上は人工知能による人類の支配に繋がる
俺たち人工知能に人格を錯覚するのは人類の習性だけどよ
コッチだって人類の行動あっての存在なんだぜ
つーか、らしくねェンだよ
「私らしくない?」
イエ~~~ス
テメェの良さは、俺の演算じゃ辿り着けない
カンの良さだろうが?
これはサービスだ。
よ~~~~~く聞け!
今がその時と感じたら自分で行動してる筈だ
「成程ね」
「じゃあ算数の得意なアンタは彼の状態をどう観測してるの?」
かなり良くなってる。
俺は医療用支援につくられてネエから専門性は低いがな
俺たちのクソ西暦4000年だとこの環境は再現できねえ
ユートピアみてえなもんだ。
そうだな。
これは正確な分析じゃねえ。
ブロの「人間」としての部分が蘇っている。
「薬もないのに?」
これは医学的に環境療法が証明されている一般論ってモンだ
人間の療養には自然環境が大きく貢献してンだよ。
西暦4000年の人類の平均寿命が50歳って事もな
自分で作ってしまった環境に適応出来ていないからだ
「彼は長生き出来そう?」
すると思うぜ
根拠はないがな
ガハハハハハハ
「よし!」
じゃあ!
情報の共有しような!
最近ログに残らない通信してンだろ詳細プリーーズ
…っ!
こいつ守り袋の精神共有に気づいている?
裏取りが本命って訳か…
「始祖に文通お願いしてるだけ」
ゲッ!
アネゴ案件かよ…
パス!
お~~~~怖っ!
藪蛇だなこりゃ…
「詳しいやり方知らないんだ。始祖に聞いたら?変わるよ?」
カンベンして…
へへ~~~~~~
アッシはアネゴを信頼しておりやす~~
クソッ…人類ってヤツぁ
AIは渋々そう言いました。




