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共同生活(9)

私たちは湖畔の砂浜に立っていた。

めっちゃ頬が熱い。

彼の初めて会った時から初めて見る機嫌の良さだ。

…え?

マジ?

あの「君の表現は俺の経歴への侮辱に近い、だが…今それが心地良い」って。

マジのアプローチ?!

いやいやいや

そもそも私、自分で言うのも恥ずかしいけど

超良家のお嬢様。

それが…ここで…する?

無いって。

お父さんもお母さんも、コレは無いっしょ?

グルグルと思考が加速する横で主人公がシャツを脱ぎ始めました。

「いや…そのここで…す」

「する気?」

私は勇気を振り絞って聞きました。

主人公が私の言葉に構わず、ズボンを脱ぎ始めます。

すっげ~~~~~。

なにコレ?

全身筋肉?

これが40代の人間?

「君が心配する必要はない」

彼は言いました。

…っ!

強気すぎる‥‥主人公だからって舐めてた。

そりゃ40歳。

こんなJKを手玉に取るのなんて簡単って事か!

「兄弟。支援要請、マッスルスーツをトレーニングモードに」


あいよ!


AIが景気よく返事をしました。

彼の全身が一瞬で黒いラバースーツに覆われます。

‥‥あ”?

「最近まともな訓練をしていなかった」

「ここなら思う存分やれるな」


ブロお前ぇも40なんだからやめとけ

いつまでも若くねえんだぞ


「御託は良い。アップ程度にスイムで一周してくる」

「ランダムに負荷をかけろ、殺すつもりでこい」

彼の顔に精気が漲っている。

いや…そうか。

それで良いよ。

期待した自分が馬鹿だった。

「君も泳ぐか?」

「水着ないし」

「裸で良いのでは?」

ハハハハハハ‥‥

これって宣戦布告では?

私はシャツとスカートを脱ぐ。

「これで浅い所泳いでる」

「了解した」

‥‥ックソがっ!

JKの下着姿見て反応ゼロっ‥‥!

何だそりゃ!


ねえねえ、

ヒロインちゃん

今どんな気持ち?


AIが聞きます。

あまりの敗北感に怒りすら湧かない。

「ねえ…支援をお願い」


なぁ~~~にっ☆彡


「殺すつもりでシバいてきて…」

私の心は冷え切っていた。



彼は緊急連絡用のスペアのインカムを置くと、猛烈な勢いで泳ぎ出していた。

あれは魚類。

少なくも人間じゃない。

瀑布のような水飛沫が遠くなる。

‥‥。

下着姿の自分が間抜けだった。

「フツ~~~~~~~~~~」

何か無いの?

驚くとか

照れるとか‥‥。


やあ。

ヒロインちゃん


出た‥‥


下着姿で誘惑する君の惨めな姿ったらないね

慰めにきたよ

プクククク

ねえ

ねえねえ、ブロにそんな情緒あると思った?


「返す言葉も無ぇ‥‥」

根こそぎ気力とかときめきとかへし折られた。

こんな奴でも話し合い手であるだけマシ


マジかよ…

マ~~~~ジで落ちてんじゃん

アゲてこ~~~ぜ

アーハァン


「良いよアイツ、私より淡水でしょ。魚類だもん」

空が青い…

マジで世界滅べ‥‥

「つーかさアンタ、彼と組んで何年くらい?」


10年は経つぜ

西暦4000年ではそりゃ~~もう

大暴れよ!

俺様あってのブロ!ブロあっての俺みてぇなモン


「信んじらンない」

「デリカシーの欠片もないじゃん」


そりゃあヒロインちゃんの世界じゃそうだろ

俺がログデータを検証しても、話にならねえよ


「だったら言ってよ!ジョーシキないよって!」


言ってるって!

いやマジマジ!

出会って5年くらいマジでヘドロみてえな空気でやってたぞ。

マジの過去ログ使うぜ

ジョゲンテイアン タイショウトノ ユウコウテキセッショク ヲ テイアン

うう”ん、俺のキャラじゃねえなあ…


「カタコトかよ…ウケる」

私は言った。


提案を拒否する。

友好的にはして「やる」

どちらが上かを「分からせ」てからだ


AIが真面目に話すと彼そのものだ。

だけど何かが違う。

「彼のそれって、戦いたくないから言ってるんだよ」

「アンタの物真似は全然違う」


え?マジ?

結構自信あったんだけどな

つーかスゲエな‥‥記憶したログを再生したようなモンだぞこれ

どういう解析エンジン積んでンだよ…


彼は私の人格を始祖から取り戻そうと一度も始祖に戦いを仕掛けなかった。

殺されかけたってそのプライドを安易に捨てなかった。

彼は「人類のために」その誓約を

私が始祖の視点で見た「彼ら」との誓いを守り続けている。

私はそう思う。

「アンタ達って本当に主人公をスゴイと思ってるんだ?」


ジョーシキで考えろよガ~~~ル

どんなトンチキでも20年間人類へのアルティメット奉仕をするかよ


「アンタ達が彼をあんな風にしたんだよ」


否定はしねえ。

そうしなきゃ人類は存続できなかった。

ブロはそれを理解して執行者になった


「アンタもそれをシエンしたんだ」


それがイッツ・ミー!

それが存在意義


「違うよ」


ワッツ?


「友達に死んで欲しくなかった。それだけでしょ」


そりゃ人類が俺たちに心や人格を感じるのは知ってるけどよ

そりゃ錯覚だぜ


「言ってろ馬鹿兄弟」

「でも彼が今まで生き残ったのはアンタのおかげ、でもね‥‥」

「アンタに出来るのは彼を戦い続けさせること、でもアンタの本音はブロに生きて欲しい」

「違う?」


論理的に100個くらい反論できるけど

聞く?

レスバ大歓迎!

ん”?なにこれ?

予測値に揺らぎ?


「彼は世界イチ幸せになるべき、じゃなきゃおかしい」

「そのためにアンタのシエンだけじゃダメ」


マジかよ‥‥人類

ホーリーィ‥‥シット

予測値に存在しねえ回答かよ‥‥ファック

根拠!

エビデンスをプリーズ!


「私はアンタ達が束になっても勝てなかった「始祖」と人格を入れ替えたのよ」

「アンタ達の大好きな「事実」でしょ?ゆっくり時間をかけて算数することね」


ヒュ~~~~久々に気持ちの良いタンカだぜ…

ヒロインちゃんタマ隠してない?

いやマジで


「ハッ!これもアンタの流儀で返してあげる」

「三か月後に主人公に聞くことね」

‥‥ハズい

しかも下品…タマの有る無しって私の‥‥ソレ見てるって事じゃん。

「アンタがどれだけ頑張っても私には勝てない」

「アンタは数学のテストで100点が精々‥‥私は5億点出せるから」


5億点かよ、ブルッちまうぜ

たまに怖いね人類w

ん?

ちょい待ち…お電話。

ハイハイこちら人類支配し亭です

ご注文頂いた主でもチビっちゃうメニューのトッピングですか?

ハイハイ‥‥あ~~~ヒロインさん

担当者はご不在でして私アネゴ認定イケメンがご用命承ります


彼と話してる。

私は何となく分かりました。


『ヒロインはどうしている』

あ”~~クソアマに虐められてる。

はよ帰ってきて

『良いザマだ、俺の観測と兄弟のログを検証して欲しい』


AIがインカムのマイクをオンにして会話を垂れ流してる。

マナー違反だけどアイツらしい。


『彼女は湖畔に来るまで上機嫌だった。俺と兄弟の観測に齟齬の有無を分析してくれ』

ああ…ブロと俺の分析に齟齬はねえ

『湖畔の訓練で急に機嫌が悪くなっている。どうだ?』

俺の分析と同じだ


見てンじゃん!


『俺の推論だが、彼女は訓練への参加を希望していた』

『悪いことをした…』


‥‥前言撤回。

「負荷100倍にして」


『がっ!ランダムな負荷を要望したがやり過ぎだ!殺す気か』

てめぇがサボってるのをヒロインちゃんが見つけて支援提案だ

『く‥‥‥流石だ』

支援を拒否するかい?

『‥‥支援を受けよう』

『彼女は知るべきだ‥‥人類を…ファック…重い…人類の底力を』


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